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中高年世代の体力は向上、子供は低下 全国体力調査

キーワード: 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 三多(多動・多休・多接) 身体活動・運動不足

 暑すぎず寒すぎない秋は、運動を始めるには絶好の季節だ。体力や身体能力の向上は一朝一夕に実現できるものではないので、息の長い取り組みが求められる。それぞれの年齢や体調に応じて運動習慣をとりいれることが勧められている。
子供と若者の体力は親世代より低下
 文部科学省が行った「2008年度体力・運動能力調査」によると、子供や若者の体力・身体能力は横ばいや向上の兆しがみられ、小、中、高校生の運動能力は、20m走や反復横とびなど多くの種目で緩やかに向上した。しかし、ピークだった1985年頃に比べると依然として低い水準にあり、体力向上に伸び悩む子供たちの姿がうかがえる結果になった。

握力の年次推移(男性)
子供の体力が80年代後半から低下傾向にある
のに対し、30歳代、50歳代では向上してきた。
2008年度体力・運動能力調査(文部科学省)
 調査は1964年から継続して行われており、世代ごとの体力水準の変動も把握できる。現在の子供や若者とその親の世代である30年前と比較すると、体力・運動能力は多くの項目で親世代を下まわっている。

 調査では、20歳までの子供や若者、30歳代、50歳代の各年齢層ごとの体力の推移を比較した。30歳代、50歳代の人たちが若かった頃と比べ、20歳までの世代は握力、持久走など、多くの項目で劣っていることが分かった。

 子供の体力低下の原因として、テレビゲーム機やインターネットの普及による室内での遊びの増加や、受験競争の低年齢化など、友達同士が集団で戸外で遊ぶ習慣が減ったことなどが挙げられる。民間のスポーツクラブなどに通う子供も増えており、運動する子としない子の二極化も指摘されている。

 子供の体力の低下は、将来的に国民全体の体力低下につながり、肥満や脂質異常症、2型糖尿病など生活習慣病の増加を引き起こすことが懸念される。そうなると社会の活力が失われるという事態に発展しかねない。今後は経済不況の影響で親の経済力による教育格差が広がり、子供の体力面にも影響が出るという予測もある。若い時から運動習慣を身に付けることが大切となる。

身長と身体能力の比較-親世代と現在の子供-
    ・親の世代は1978年度の11歳、今の子供たちは2008年度の11歳。
    ・小数点以下第2位で四捨五入(全国平均値)。
2008年度体力・運動能力調査(文部科学省)、2008年度学校保健統計調査(文部科学省)
運動には息の長い取り組みが必要
運動は息の長い取り組みが必要
 運動をするとブドウ糖や脂肪の筋肉へのとりこみが促され、血糖を下げる働きをするインスリンの働きが悪くなるインスリン抵抗性が改善され、高血糖を防ぐことができる。

 運動の代謝促進の効果は、活動する筋肉に現れるので、なるべく大きな筋肉を使うウォーキングや自転車エルゴメータなどの「有酸素運動」が勧められる。運動に向いた筋肉の量が増えると、ブドウ糖の取り込み能力を向上し、代謝効率が高まる。筋肉の量と質を高める「レジスタンス運動」を併せて行うと、運動の効果を得られやすくなる。

 文科省の調査では、子供の体力は1985年頃をピークに下降している一方で、40代や50代では逆に向上している結果になった。調査に当たった内藤久士・順天堂大学スポーツ健康科学部教授は「子供の頃から運動をする習慣のあった人が成人してから体力が比較的低下しにくいのは、運動に必要な体がつくられエネルギーを消費しやすくなっているから」と指摘。「調査でもトレーニング効果がすぐに出ない項目では伸び悩んでいる。運動に対し親が積極的であると、子供の体力向上につながる。運動には息の長い取り組みが必要だ」としている。

 運動の効果は、体力・運動能力の向上や、2型糖尿病などの生活習慣病の予防・対策にとどまらず、家計の医療費支出を減らすことにもつながる。運動を続けるために、お金がかからず手軽に運動できる環境を整備する対策が、行政に求められている。

 自由に安全にウォーキングなど運動ができる公園や歩道がもっと望まれる。運動に取り組みやすい環境作りには地域の協力も欠かせない。住民が運営主体となる「総合型地域スポーツクラブ」は、全国に3000近くあるという。

 文科省の「総合型地域スポーツクラブに関する有識者会議」は8月、運動施設の整備や、廃校や空き教室の積極的な利用、夜間照明施設の設置による利用できる時間の拡大などの環境整備、地域住民の交流の場となるクラブハウスの整備による地域活性化などをいっそう支援するよう提言をまとめた。こうしたことを着実に実行していくために、行政レベルでの横断的な連携も求めている。

平成20年度体力・運動能力調査結果(文部科学省)
今後の総合型地域スポーツクラブ振興の在り方について〜7つの提言〜(文部科学省)

(Terahata)

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