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肥満対策は「ファーストフードの制限」では効果なし 米調査

キーワード: 肥満症/メタボリックシンドローム

 肥満や過体重が急増している米国で、肥満に対策する政策の動向が注目されている。カリフォルニア州ロサンジェルス郡は昨年8月に、ファーストフード店を制限する法令を施行したが、「こうした対策だけでは市民の食習慣の改善や肥満抑制の効果を得られない」との調査報告が発表された。
食習慣をめぐる環境整備も必要
 米国では肥満者が爆発的に増えている。肥満の割合は、1960年には成人人口の13%に過ぎなかったが、2003−04年には34%に増加した。肥満や過体重は、心臓病、2型糖尿病、がんなどの病気の発症と深い関連があり、医療費の増加に影響している。

 ロサンジェルス郡議会は、肥満の割合が急増している南ロサンジェルス地域で、ファーストフード店を開業したり拡張するのを禁止する法令を2008年8月に承認した。これに対し、米国の有力シンクタンクであるランド研究所(RAND Corporation)の研究者らは、「同地域での人口あたりのファーストフード店の数は平均よりも少なく、むしろ小規模の食料品店の数が多い」とし、地域の特性に見合った対策を実施しないと効果を期待できないと指摘している。

 研究者らはロサンジェルス郡に在住する成人1480人を対象に、食習慣、食品の購入、外食の頻度などについて調査を行った。その結果、比較的貧しい階層の多い南ロサンジェルス地域では、ジャンクフードや清涼飲料などからの糖分や塩分、カロリーなどの摂取について無頓着で、食事の管理を行っていない傾向が強いことが分かった。

 この地域の住人は1日のカロリー摂取量のうち多くを、食料品店から購入したスナック類などジャンクフードからとっており、またテレビを視聴する時間が長く、運動をあまり行っていないことも判明した。一方で、裕福な階層の多い他の地域では、毎日の食事で野菜や果物をとっており、運動もしている傾向がみられた。

 調査を行ったDeborah Cohen医師によると、「栄養に対する生理的な必要があるかどうかにかかわらず、一般に食物に対する欲求は強く、抵抗しがたいものがある」と話す。「住環境や利用しやすい食品の種類、提供される食事の量など、食品の頻度や特徴が地域によって異なることに着目するべきだ」。

 ランド研究所のRoland Sturm氏は「裕福な階層の多い西ロサンジェルス地域には、座席の多い高級レストランが多く、そこで夕食をとる人も多い。そうしたレストランでは、ファーストフードに比べ“より健康的な”食品が提供され、肥満につながりにくいと思われているが、これも誤解だ」と言う。高級レストランの平均的なランチであるサンドイッチには、カロリーがビッグサイズのハンバーガー3個の合計を超えるものもある。「そうした店で夕食をとると、2000kcalを超えることがあり、1食で1日分のカロリーをとってしまうことになる」。

 研究者らは、「肥満を予防するために、食環境の整備は有用だが、ファーストフード店を制限するといった法令は正しい選択ではないかもしれない」と結論付けている。レストランの献立メニューに対する栄養やカロリーを表示するラベルの義務付け、高カロリーの食品への課税、新鮮な野菜や果物を販売する小売店の奨励、健康的な食生活をおくるための適正な知識を普及する対策が求められている。

 この調査は、米国立衛生研究所の資金提供を受け行われたもので、米HOPE財団が発行する学術誌「Health Affairs」オンライン版に10月6日付で発表された。

Los Angeles Fast-Food Restaurant Ban Unlikely to Have Impact on Obesity(RAND Corporation)

Zoning For Health? The Year-Old Ban OnNew Fast-Food Restaurants In South LA(Health Affairs: Published Online October 6, 2009)

(Terahata)

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