2009年12月04日
ED治療薬:ネット販売の約6割は偽造医薬品
キーワード:
糖尿病
国内でED(勃起不全)治療薬を製造・販売している製薬企業4社(ファイザー、バイエル薬品、日本イーライリリー、日本新薬)は、インターネットで入手できるED治療薬の約6割が偽造医薬品であるとする、4社合同で実施した鑑定調査の結果を公表した。4社では、個人輸入した偽造品による健康被害の可能性があると、注意を呼びかけている。
偽造品は品質にばらつき、有効成分の超過・不足、有効成分なしも
合同調査では、昨年12月から今年4月にかけて、日本語で運営されている日本とタイの「個人輸入代行」サイトから、「バイアグラ」「シアリス」「レビトラ」として販売されているED治療薬を計各ブランド60サンプル購入。各社が各ブランドの真贋を鑑定し含有成分の分析を行った結果、全体で約6割、日本での発注分では約4割、タイでの発注分では約7割が偽造品だった。
偽造品の成分を分析した結果、品質にはばらつきがあり、有効成分含有量が承認用量を超過あるいは不足、または全く含まれていないもの、他の成分あるいは複数の不純物が含まれるものが確かめられた。
各社では、専門の対策部署やプロジェクトチームを立ち上げ、偽造品の商標権の侵害に基づく税関での輸入差し止めや、警察の販売業者の摘発に協力している。しかし、偽造品は主にネットなどの非正規ルートを通じ多く流通しており、その実態は分かっていない。今回発注したサイトは全て日本人向けに日本語で作成されており、振込み先は日本になっていた。偽造品の多くは真正品に似せて作られており、外観で識別するのは難しいという。
日本人がタイで偽造品を販売したとして起訴されている事件や、タイから日本に偽造品を輸入し摘発された事件が、タイ、日本の両国で発覚している。日本人がタイで偽造品の販売に関与したり、日本人がタイで偽造ED治療薬を購入している事例も各社に報告されている。
調査結果について、丸茂健・東京歯科大学市川総合病院泌尿器科教授は「約6割が偽造品であったことは大きい。偽造品による健康被害の可能性は大きな問題と考えている」と話す。
EDは多くの男性に起こりうる病気で、日本では現在、40歳以上の男性の半数以上が何らかの原因でEDになっているとみられ、潜在的な患者数は1130万人に達する。EDのリスクは加齢により高まり、加齢以外に運動不足や不規則な生活、過度な飲酒や喫煙など、生活習慣の乱れが原因になることも多く、心臓病や糖尿病などの重大な疾患が隠れている場合もあるという。
丸茂教授は「EDは誰にでも起こり得る病気である一方、治療が可能な病気。相談しづらいからと、医師の診断を受けず安易にインターネットなどでED治療薬を購入し使用することを避け、まず医療機関を受診していただきたい。それがED治療の早道であり、また患者さんの健康の維持にもつながる」と述べている。
日本で販売されているED治療薬(PDE5阻害剤)の概要:
製品名 |
一般名 |
国内で販売している 組成・性状 |
販売 |
日本での発売年 |
バイアグラ |
シルデナフィル |
25mg、50mg |
ファイザー(株) |
1999年 |
レビトラ |
バルデナフィル |
5mg、10mg、20mg |
バイエル薬品(株) |
2004年 (20mgは2007年) |
シアリス |
タダラフィル |
5mg、10mg、20mg |
日本新薬(株) (2009年7月より販売) |
2007年 日本イーライリリー(株)より発売 |
ファイザー(株)
バイエル薬品(株)
日本新薬(株)
日本イーライリリー(株)
[Terahata]