国民健康保険の医療費に基づいて集計した医療費の地域格差が、2007年度は約1.6倍だったことが、厚生労働省のまとめで分かった。全国平均40万7000円に対し、最高は広島県の51万8000円で、最低は沖縄県の33万円だった。こうした格差を減らすために、都道府県でどのような取り組みがされているかをさぐってみた。
厚労省の調査によると、2007年度の1人当たりの医療費は全国平均40万7000円で、前年より1万7000円増えた。広島、高知、山口、鹿児島など西日本が上位を占め、千葉、埼玉、茨城、神奈川、東京などの首都圏が低い「西高東低」になっている。
医療費が上位の都道府県は、入院医療費が高いケースが多い。ベッド数が多かったり入院日数が長かったりする地域は入院医療費が高くなり、それが医療費を押し上げる要因になっている。
生活習慣病を予防し、入院医療費を削減 [北海道]
医療費5位の北海道の2006年の平均在院日数は、全国9位の40.7日。全国平均の34.7日の1.2倍に当たり、もっとも短い長野県に比べ14日長くなっている。在院日数が長いと病床数も増える。人口10万人当たりの病床数は、967.8床(一般病床)で全国3位。積雪地で病院までの距離が遠いため通院が難しく、入院率が高いという。
2型糖尿病などの生活習慣病も多く、脳梗塞など脳血管疾患などを含めた生活習慣病が医療費に占める割合は38%。外来の受療率は、高血圧は全国平均より8%以上、糖尿病は7%以上多い。入院の受療率は脳血管疾患が全国平均の1.7倍。道健康安全室は「医療費の増加を抑えていくために、若い時からの生活習慣病の予防対策が重要。重症化や合併症の発症を抑えられれば、入院患者を減らすことにつながる」とみる。
都道府県別の「地域差指数」
医療機関にかかる機会が多い高齢者の医療費は若年層より高い。全国的に高齢者の比率が高い地域では医療費も上昇し、1人当たり保険給付費も高くなる傾向がある。そこで、厚労省はこうした地域の年齢構成の違いなどをもりこみ数値を補正、都道府県ごとの差を数値化した「地域差指数」も公表した。
1人当たりの医療費で1.6倍あった都道府県格差は、地域差指数では1.4倍に縮小する。地域差指数1位の福岡県の1日あたりの医療費は49万4000円で、47位の千葉県は33万2000円。
県民の7割にかかりつけ医、保健師による生活指導 [長野県]
長野県は地域差指数では46位。1人当たりの医療費は34位だが、高齢者1人当たりの医療費が全国一低く、平均寿命も全国平均を大きく上回っている。65歳以上の入院と外来の受療率は年々減少傾向にある。脳卒中など脳血管疾患による死亡率は全国より高いが、糖尿病の平均在院日数は短い。
在宅医療も充実している。同県国保・医療福祉室は「家族との同居率が高いことに加え、県民の7割にかかりつけ医がいて、病気になったときに診療や指導をしてくれる医師がいる。減塩運動やボランティアなど地域に根ざした啓発活動も効果を上げている」と指摘する。
また、長野県では保健師による生活指導も活発だ。県内に設置された10の保健所を拠点に保健指導を展開し、生活習慣病を予防することで医師不足などによる病院の診療科の休廃止を補おうと対策している。
患者がより的確な医療を受けられるよう、疾病や事業ごとに医療機関の機能分担と連携体制を整備し、地域連携クリティカルパスを活用する試みも進められている。2型糖尿病などの生活習慣病で入院する人の比率が全国平均を15〜25%下回っていることについて、県では「医療機関相互の連携を強化した成果もあらわれている」としている。
平成19年度医療費マップ(厚生労働省)
北海道医療費適正化計画
第5次長野県保健医療計画
(TERA)
©2006-2011 Soshinsha. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。