2010年03月25日
甘い飲料とジャンクフード制限で肥満減少 “ソーダ税”も検討
キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム

学校で砂糖を多く含む飲料や、糖分、塩分、脂質分の多いジャンクフードの販売を規制すると、子供の肥満を減らすことができる――こんな研究が米国で発表された。米国では成人対象でも新たに課税することで、肥満や2型糖尿病への対策を進めようとしている。
学校で販売を規制し、子供の肥満が減少
塩分、脂質、糖分の多い栄養価の乏しい食品が、子供の体重増加を加速し、将来に2型糖尿病などの生活習慣病の発症に結び付くことを示唆した研究が米国で発表された。この研究は、保健学術誌「Health affairs」3月2日号に掲載された。
米国では小児肥満が過去30年間で3倍以上の割合で増えており、子供の3人に1人は太りすぎか肥満だという。
ニューヨークでは高カロリーの飲料に課税
ニューヨーク市の発表によると、糖尿病をもったニューヨーク市民では、治療をきちんと行っている人と行っていない人とで、大きな差があるという。糖尿病の人が高血圧や高コレステロールを治療しないでいると、心筋梗塞などの心疾患の危険が高まる。
しかし調査によると、治療を受けて血糖コントロールと、高血圧やコレステロールのコントロールを行っている人は10%未満で、90%以上は糖尿病合併症の発症の危険にされさせれているという。
肥満と運動不足が重なり、2型糖尿病はこの20年間で「伝染病」といえるほど急増している。糖尿病と診断された市民は約50万人。さらに20万人が糖尿病が疑われるという。糖尿病を発症していない人でも、血糖値の高い糖尿病予備軍は140万人に上る。
「糖尿病が我々の街をおびやかしている」とニューヨーク市保健当局のThomas R. Frieden医師は言う。「血圧、コレステロール、血糖がコントロールされない数十万人もの糖尿病の市民が、心臓発作や脳卒中、失明、腎不全などの危機にされされている」。
糖尿病をもった人の8割以上は太りすぎか肥満。肥満と2型糖尿病の増加させる原因のひとつとして、高カロリーの清涼飲料やジャンクフードの食べすぎが挙げられている。同市の調査によると、成人の27%が毎日1回以上、糖分の多い炭酸飲料などの飲料を飲んでいるという。そうした飲料を飲むと、缶入り飲料では2缶で300kcal以上を余分にとることになる。
そこでニューヨーク州は、炭酸飲料などに課税する方針を打ち出した。州の案では1缶(355ml)につき約12セント(約11円)の上乗せを検討している。
州保健当局では、肥満は2型糖尿病をはじめ、公衆衛生における重要な課題とした上で、「高カロリーの飲料の低価格化は、成人と子供にとって脅威になると」と課税の必要性を説明している。同州では若年者での肥満の割合が過去30年で3倍に増加しており、住民の間では新たな税負担を容認する声も少なくないという。
「糖尿病との戦いでは良いニュースもある。それは対策をすれば予防と治療・管理ができることだ」と保健当局では述べている。
「ライフスタイルを変え、健康的な食事とり、より多く運動する習慣を定着させ、高カロリーの飲料を避けることで糖尿病をもっている人々は長生きできる。ライフスタイルの改善と適切な治療を受け、血糖値や血圧値、コレステロール値をコントロールすることで健康的な生活をおくることができる」。
‘Competitive’ Food And Beverage Policies: Are They Influencing Childhood Overweight Trends?(Health affairs)New school policies may help stem obesity rates(サンフランシスコ州立大学) 関連情報
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[Terahata]