一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

腹部肥満がない日本人男性でも体重コントロールは有用

キーワード: 肥満症/メタボリックシンドローム 心筋梗塞/狭心症 健診・保健指導

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準となる血圧や血液検査の検査値の多くは、日本人男性では体重が増えるにつれ悪化する傾向が強いことが、立川メディカルセンターの小田栄司・たちかわ総合健診センター長らの調査で分かった。米国糖尿病学会誌「Diabetes Care」に発表された。

 メタボリックシンドローム(MetS)の判定基準について、日本では独自の診断基準を設け、腹部肥満(ウエスト周囲径)を必須項目にしている。一方で、米国心臓学会(AHA)、世界心臓連合(WHF)、国際肥満研究学会(IASO)などの共同委員会では昨年、腹囲を必須とせず、血液検査値などと腹囲を同列に扱うべきとの知見を発表した。

 ただし、肥満は心血管疾患(CVD)と2型糖尿病において、高血糖や高血圧、脂質異常が関連しあい悪影響を及ぼし、インスリン抵抗性にも関わるという知見は共通している。肥満を防ぐために運動や身体活動を増やし健康的な生活習慣に変えていくことを勧めている点も共通している。

 研究チームは、メタボリックシンドロームの危険因子のある1271人の日本人男性に健診を定期的に受診してもらい、体重の変化と、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、トリグリセリド、HDLコレステロール、高感度CRPの変化との関連を調べた。

 判定基準は収縮期血圧 130mmHg以上、拡張期血圧 85mmHg以上、空腹時血糖値 100mg/dL以上、トリグリセリド 150mg/dL以上、HDLコレステロール 40mg/dL未満。腹部肥満の判定は腹囲周径が85cm以上とした。標準偏差は、年齢 51.6±8.9、BMI 23.2±2.8、腹囲周径 84.2±7.9cm、収縮期血圧 122.4±17.4 mmHg, 拡張期血圧 77.8±10.7 mmHg、空腹時血糖値 96.0±15.1mg/dL、トリグリセリド 119.3±76.3 mg/dL、HDLコレステロール 57.8±14.5 mg/dL、高感度CRP 0.58±0.91 mg/Lだった。

 その結果、減量をすると、腹部肥満のある男性とない男性の両方で血圧や空腹時血糖値が低下する傾向があることが分かった。また、腹部脂肪のある男性では減量により中性脂肪が、腹部肥満がない男性ではHDLコレステロールが低下することが示された。

 1990年に全国の保健所で健康診断を受けた日本人の男女約8000人を約10年追跡して調査した「NIPPON DATA90」でも、メタボリックシンドロームの危険因子が増えると心血管疾患(CVD)の危険性が高まるが、腹囲周径だけでは十分に危険を予測できないとの結果が示されている。また厚生労働省研究班の「JPHC研究」の約13年の追跡調査では、メタボリックシンドロームのある男性ではCVDの死亡リスクが上昇するが、肥満がなくても危険因子が重なるとリスクは高まるとの結果が示されている。

 研究者らは「腹部肥満を必須条件にする日本のメタボリックシンドロームの基準は合理的とは言えない。腹部肥満のない男性でも、血液検査の数値が悪いと危険性は高まる。腹部肥満のない人を保健指導の対象から除外しない方が良いだろう」と述べている。

記事内容についてご指摘をいただき7月30日に一部内容を改訂しました。
糖尿病ネットワーク事務局

Weight Reduction May Be Beneficial for Japanese Men With Cardiometabolic Risk Factors Even if They Are Not Abdominally Obese
Diabetes Care, July 2010 vol.33 no.7 e95
Joint Scientific Statement: Harmonizing the Metabolic Syndrome
Circulation. 2009;120:1640-1645

[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2021年01月28日
【健やか21】「COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ 」の提言(⽇本産婦⼈科感染症学会・⽇本産科婦⼈科学会)
2021年01月15日
【新型コロナ】医療現場での感染リスクと予防効果を解明 医療者への感染を防ぐために 健診・保健指導にも応用
2021年01月15日
【Withコロナ時代】運動・スポーツを通じて健康二次被害を防ぐポイントは? スポーツ庁がガイドラインを公表
2021年01月15日
日本人に「低炭水化物ダイエット」は効果がある? 肥満やメタボの食事療法としては勧められる?
2021年01月15日
「肥満」の原因は自分だけのものではない 子供時代の虐待体験も成人後の肥満に影響 2万人を調査

テーマ ▶ 健診・保健指導

2021年01月22日
【健やか21】日本医学会連合が新型コロナ「重症化リスクをお持ちの皆様へ」注意喚起
2021年01月15日
【健やか21】「子どもの食育を考えるフォーラム」がWeb開催(日本小児医療保健協議会)
2020年12月18日
【健やか21】母子手帳の有用性が示唆―自閉スペクトラム症などの早期発見に(弘前大学)
2020年10月30日
【健やか21】4人に1人は食習慣・運動習慣を「改善するつもりはない」
2020年10月23日
【健やか21】「コロナ禍における自殺の動向に関する分析(緊急レポート)」の報告(中間報告)について(いのち支える自殺対策推進センター)

疾患 ▶ 心筋梗塞/狭心症

2020年12月24日
【新型コロナ】年末年始は「真剣勝負の3週間」 みんなで危機感を共有しコロナ収束の突破口に
2020年12月24日
【新型コロナ】医療機関の受診控えで健康リスクが上昇 日本医師会は安心マークを発行「感染防止を徹底しているから、安心して来て」
2020年12月14日
【新型コロナ】新型コロナとインフルの同時流行に備えて 発熱したら電話で「かかりつけ医」に相談 上手な医療のかかり方プロジェクト
2020年12月14日
【新型コロナ】ワクチンがついに実用化 海外では有効性の高いワクチンが利用可能に ワクチン接種には課題も
2020年11月26日
納豆などの「発酵性大豆食品」が循環器疾患や脳卒中のリスクを低下 日本人8万人を調査
全国生活習慣病予防月間
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート