日本では高齢化が進展しており医療や介護に対する需要がますます増大している。生活習慣病や介護の予防など、生活を支援する医療サービスへの需要は拡大しているが、国民医療費は年々増加しており2007年度は34兆円を超えた。そこで経済産業省は、公的保険制度のみに頼るのは限界があるとして「医療産業研究会」を立ち上げ、公的財源でカバーしきれない医療・介護の周辺サービスの需要にこたえる新しいビジネスモデルの構築を検討している。
自律的に成長できる「医療生活産業」を創出
医療産業研究会(座長:伊藤元重・東京大学経済学部長)は昨年9月に第1回の会合を開催。地域のスポーツ施設や外食・配食サービス、ケーブルテレビ、商店街などの地域コミュニティなどから、医療・介護機関などの施設まで、健康や医療に関連するサービスを提供する産業を「医療生活産業」と位置付けている。
「医療サービスは雇用創出、技術革新、地域振興の観点から有力な成長分野」として、ICT(情報通信技術)などの先端技術を活用し潜在的なニーズを掘りおこし、公的保険制度の枠外で自律的な成長を創出する施策を検討している。
そこで、今秋からはリハビリや運動・食事療法など「医療生活産業」を育てるための実証事業を始める。対象となるのは、特定健診などで生活習慣病を発症する危険性が高いと判定された人への運動・食事療法や口腔衛生指導、認知症予防など。医療・介護機関やスポーツ施設などに事業を委託する。
例えば、医師の出す運動や栄養についての指示を具体化できるフィットネス事業者や給食・配食事業者が、個人のニーズに応じてサービスを行い、随時に医師の指導を組み合わせる仕組みや、それらの取組に地域の商店街・施設などの既存の施設を活用することなどを考えている。
日本では医療保険制度が前提で民間企業が進出しにくい分野だが、経産省では「生活習慣病の予防や疾病管理、リハビリ、介護予防、慢性期の生活支援サービスなど、個々人の生活感や人生観をふまえた多様なものへと広がりをもちはじめている。今後ますます増大する医療・保険分野での需要に対応できる仕組みづくりが求められており、医療市場を拡大させる必要がある」としている。
実証事業は2012年度まで。経産省は全国からあった58の提案のうち21件を選び補助する。例えば那覇市では、病院と地元商店街が連携。地域で高齢者らに、健康診断からエステ・スパなどまで健康・生活支援サービスを展開する。
近年では海外で医療サービスの提供、先端医療の研究や治験が国境を越えて実施されおり、医療の国際化は大きな流れになっている。日本の医療サービスを海外にも広め、医療産業の発展を支える裾野の拡大をはかる「国際医療サービスネットワーク」の創出も視野に入れている。
医療産業研究会について(経済産業省)
医療産業研究会報告書−国民皆保険制度の維持・改善に向けて−
(TERA)
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