2010年09月24日
肥満の経済効果:年間死者が15.5万人減少 OECD報告書
キーワード: 肥満症/メタボリックシンドローム
経済協力開発機構(OECD)は、OECD11ヵ国の肥満に関する医療費などのデータを分析し、報告書「肥満と予防の経済学」にまとめた。有効な対策をしないと「肥満や過体重は10年以内に3人に2人以上に増加するおそれがある」と強調している。効果的な肥満対策を講じれば、日本では年間の死者数を15万5000人減らすことができると推定。対策の費用は国民1人当たり年間19ドル(約1600円)と見積もった。
体重が15kg増えると死亡リスクは30%増加
経済協力開発機構(OECD)は、先進国で肥満が健康や医療にもたらす障害が拡大しているの受け、日本、英国、イタリア、カナダ、メキシコの5ヵ国について、世界保健機関(WHO)と共同で調査を実施し、報告書「肥満と予防の経済学:肥満ではなく健康を(FIT, NOT FAT)」にまとめた。
それによると、1980年まで肥満の割合は10人に1人未満だったが、現在では「OECD諸国の約半数で2人に1人が過体重か肥満」だという。有効な対策をしないと、肥満や過体重は10年以内に3人に2人以上に増加するおそれがある。
報告書では「体重が15kg増える毎に早期死亡リスクは約30%増加し、重度の肥満者は正常体重者より寿命が8〜10年短く喫煙者と同程度になる。多くの国で総医療費の1〜3%は肥満によるものとみられ、特に米国では5〜10%にも達する」とし、「医療費の増加を抑えるためにも、肥満への対策が必要」と強調している
肥満が増えた原因として、食品のカロリー単価が世界的に下りインスタント食品など高カロリーで栄養価の低い食品を入手しやすくなったことや、労働・生活環境が変化し運動量が減少していること、女性労働者の増加、ストレスや雇用不安などを指摘している。現在社会の生活習慣は変化しており、肥満の蔓延をまねく条件が揃っているという。
報告書「肥満と予防の経済学」発表:肥満でなく健康を(OECD東京センター)Health: OECD says governments must fight fat(OECD)
肥満対策に必要なコスト 日本は19ドル

[Terahata]