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肥満の経済効果:年間死者が15.5万人減少 OECD報告書

キーワード: 肥満症/メタボリックシンドローム

 経済協力開発機構(OECD)は、OECD11ヵ国の肥満に関する医療費などのデータを分析し、報告書「肥満と予防の経済学」にまとめた。有効な対策をしないと「肥満や過体重は10年以内に3人に2人以上に増加するおそれがある」と強調している。効果的な肥満対策を講じれば、日本では年間の死者数を15万5000人減らすことができると推定。対策の費用は国民1人当たり年間19ドル(約1600円)と見積もった。
体重が15kg増えると死亡リスクは30%増加
 経済協力開発機構(OECD)は、先進国で肥満が健康や医療にもたらす障害が拡大しているの受け、日本、英国、イタリア、カナダ、メキシコの5ヵ国について、世界保健機関(WHO)と共同で調査を実施し、報告書「肥満と予防の経済学:肥満ではなく健康を(FIT, NOT FAT)」にまとめた。

 それによると、1980年まで肥満の割合は10人に1人未満だったが、現在では「OECD諸国の約半数で2人に1人が過体重か肥満」だという。有効な対策をしないと、肥満や過体重は10年以内に3人に2人以上に増加するおそれがある。

 報告書では「体重が15kg増える毎に早期死亡リスクは約30%増加し、重度の肥満者は正常体重者より寿命が8〜10年短く喫煙者と同程度になる。多くの国で総医療費の1〜3%は肥満によるものとみられ、特に米国では5〜10%にも達する」とし、「医療費の増加を抑えるためにも、肥満への対策が必要」と強調している

 肥満が増えた原因として、食品のカロリー単価が世界的に下りインスタント食品など高カロリーで栄養価の低い食品を入手しやすくなったことや、労働・生活環境が変化し運動量が減少していること、女性労働者の増加、ストレスや雇用不安などを指摘している。現在社会の生活習慣は変化しており、肥満の蔓延をまねく条件が揃っているという。

報告書「肥満と予防の経済学」発表:肥満でなく健康を(OECD東京センター)
Health: OECD says governments must fight fat(OECD)

肥満対策に必要なコスト 日本は19ドル
 報告書では、5ヵ国で実施されている肥満対策の健康面と経済面への影響なども分析した。肥満対策の効果で今後100年間で慢性疾患による死者数がどのくらい減少するかも推計した。

 包括的な肥満対策を実施すれば、慢性疾患による年間死亡者数を日本では15万5000人、イタリアでは7万5000人、英国では7万人、メキシコでは5万5000人、カナダでは4万人減らせる。肥満により引き起こされる主要な慢性疾患を予防・対策できれば、生活の質(QOL)を改善できるだけでなく、医療費の総額を約1%削減できると分析している。

 政府の肥満対策が担う役割は大きく、各国政府は食品価格に影響する農業補助金など補助制度や税制、食事ガイドラインの制定、乗用車ではなく徒歩での通勤・通学を奨励、都市環境を整備しファストフードではなく生鮮食料品を利用しやすくし、運動・スポーツ施設を増やすなどして対策している。学齢期の子どもを対象にした取組みでは、学校給食をより健康的なメニューに変更したり、体育館などの改善、健康教育などを行っている。

 肥満対策に必要なコストは、メキシコでは1人あたり12ドル、日本と英国では19ドル、イタリアでは22ドル、カナダでは32ドルと概算した。これは「医療費のほんの一部であり、OECD諸国が現在予防にあてている医療関連予算のわずか3%にすぎない」。

 しかし、「コストが高くつく、規制や財政措置が困難である、基幹産業と対立するおそれがある」などの理由で、現状では十分に対策できていない。最も効果的な対策は家庭医による個人カウンセリングだが、安い費用で健康を増進する効果的な手段は予防プログラムで、「政府の規制、税金、補助金の方がはるかに低コストで健康増進をもたらすことができる」と結論している。

 職場関連プログラムの年間費用が約500億円、家庭医による個人カウンセリングの費用が最大で年間1000億円なのに対し、多くの予防プログラムにかかる費用は年間200億円未満と見積もった。大半の予防プログラムは慢性疾患関連の医療費削減につながるが、削減額は比較的少額(最大で年間150億円)にとどまるという。

 報告書は10月7〜8日にパリで開催されるOECD保健担当相会合で議論される予定。

[Terahata]

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