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効果的な体重コントロールが心血管代謝の危険を低下

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 動脈硬化 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血 脂肪肝/NAFLD/NASH

 ブエノスアイレスで2月に開催された「第2回国際内臓肥満会議(ICAO)」専門家会議は、「世界中の何百万もの人々が過体重による心血管代謝の危険性を抱えているが、多くの患者が医師の診断を受けていない可能性がある」との声明を発表した。
5〜10%の減量が内臓脂肪を減らす 国際内臓肥満会議
 過体重や肥満は世界中で急増している。それにともない社会の関心は医療スタッフに限らず、より高度な肥満へと移っていった。

 しかし実際には、BMI(体格指数)が25以上*1で、肥満ではないという場合でも、すでに高血圧、脂質異常症、糖尿病の初期段階にある人々は世界全体で数百万人にも上る。

 「心血管代謝リスクに関する国際チェア(ICCR)」*2によると、早期から治療を開始するメリットがもっとも大きいのはそうした症例だという。

 「BMIが30以上の肥満が糖尿病前症(pre-diabetes)、脂質異常症、高血圧症の発症を増やし、心血管代謝の危険性を高めると、世界中の多くのプライマリケアの医師が判断している。しかし、内臓脂肪の蓄積が隠された原因となっていることは見落とされがちだ」とカナダ・ケベック州のラヴァル大学医学部のJean-Pierre Despres教授は話す。

 体につく脂肪は、大きく分けて「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類がある。内臓脂肪は腹部と臓器の周りにつく脂肪で、比較的男性にたまりやすい。皮下脂肪は皮膚の下につく脂肪で、女性にたまりやすい。健康に与える影響は、皮下脂肪よりも内臓脂肪で大きい。

 内臓脂肪の過剰な蓄積は、2型糖尿病、脳卒中、心臓疾患といった深刻な病気の危険性を高める。

 Despres教授は「医療者が肥満を想定するときは、BMI値40以上といった高度な肥満を思いうかべる傾向がある。しかし実際には、BMIは低いが内臓脂肪がたまっている“隠れ肥満”の状態で、あきらかな肥満の患者と同じように心血管代謝の危険性が高くなっている場合もある」と指摘する。

 そうした危険性を抱える患者への対応を急ぐことは、世界中で増加している肥満を抑え、糖尿病や心血管疾患をくいとめるためにも必要だという。

 このことは、内臓脂肪の蓄積と心血管代謝リスクの関連性を検証するための国際的研究「INSPIRE ME IAA」でも裏付けられた。この研究は29ヵ国の患者4504人を対象に行われたもので、糖尿病と診断されていない患者と、軽度の過体重の患者のサブグループで、内臓脂肪の過剰な蓄積が心血管代謝の危険をもたらすことが確かめられた。

 Despres教授は「あきらかな肥満の患者だけでなく、過体重の患者についても、内臓脂肪の蓄積がみられる場合は注意を向ける必要がある。そうした患者では体重を5〜10%を低下するだけでも、内臓脂肪を大きく減らすことができる。このことがもたらす変化は大きい」と述べている。

効果的な減量のためのガイドラインが必要
 声明では、メディアの肥満に関する偏った報道のあり方についても指摘している。もともと肥満ではない俳優などの有名人の体重が数キログラム増減したとか、高度の肥満の人を家から救い出すのに消防士の助けを必要としたとか、肥満に着目した報道が極端なものに偏っている傾向がみられるという。

 メディアやダイエット業界は、過激なダイエットで体重を劇的に減らした例を広告などに出し、実際的でない期待を引き出そうとする。しかし、専門家が体量や体重維持のために勧めているのは、適度の減量を徐々に行うやり方だ。*3

 ICCRによると、適度な減量のための現実的な方法を示したガイドラインや情報は不足している。それがダイエットに失敗しリバウンドを引き起こす一因となっている。今後は内臓脂肪の減少や実際的な減量も含め、専門家が健康な体重を実現するための方法について検討を重ねる必要があるとしている。

*1 日本肥満学会の基準ではBMI25以上を肥満と判定するが、WHOの判定基準ではBMI30以上を肥満と判定し、25.0以上30.0未満だと過体重(Overweight)と判定している。
*2 ICCRは、カナダケベック市のラヴァル大学付属の集学的や研究組織で、取り組んでいる分野は心臓病、糖尿病、脂質代謝、内分泌代謝、肥満、栄養学、身体活動、基礎研究など。
*3 日本でも日本肥満学会が2006年に「神戸宣言」を発表し、「肥満症やメタボリックシンドロームの予防と改善には、食生活の改善と運動の増加を図り、まずは3キログラムの減量、3センチメートルのウエスト周囲長の短縮を実現するサンサン運動」を提案した。
心血管代謝リスクに関する国際チェア(ICCR)が公開しているビデオ(YouTube)
画面をクリックするとビデオ再生が開始されます
ホームページでは、日常でできる内臓脂肪型肥満のチェックを解説したビデオも公開している。
youtube.com/myhealthywaist
myhealthywaist.org(International Chair on Cardiometabolic Risk)
神戸宣言2006(日本肥満学会)
[Terahata]

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