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塩分とりすぎでなぜ高血圧に? 遺伝子レベルで解明 東大病院

キーワード: 高血圧 二少(少食・少酒) 肥満症/メタボリックシンドローム

 高血圧は、脳卒中、心筋梗塞、腎不全を引き起こすだけでなく、最近の研究では認知機能障害の原因になることも知られている。塩分摂取による高血圧の発症を、遺伝子レベルで解明した研究が発表された。

 この研究は、東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科の藤田敏郎教授らの研究チームが発表したもので、米医学誌「Nature Medicine」オンライン版に4月17日付けで発表された。
塩分とりすぎで交感神経活性が異常に
塩分排泄に関わる遺伝子の転写活性を抑制
 高血圧の原因のひとつは塩分のとりすぎ。世界で行われたさまざまな医学的な調査で、塩分の過剰摂取と高血圧の発症との関連が示されている。

 高血圧を予防・改善するために、塩分のとりすぎを防ぐことが重要となる。戦後間もなくの東北地方では塩分の摂取量が多く、高血圧による脳卒中発症の頻度が高かったが、減塩運動を進めるにつれ脳卒中死亡率は激減したという。

 塩分に対する血圧の変化は人によって異なり、塩分を少しとりすぎただけで高血圧になりやすい(血圧の塩分感受性が高い)人がいることが知られている。血圧の塩分感受性は、遺伝的な要因のほか生活習慣などの環境因子によっても影響を受ける。

 特に、肥満やメタボリックシンドロームのある人では、塩分感受性高血圧を発症しやすいことが知られている。塩分の過剰摂取が高血圧につながるメカニズムには不明の点も多い。そこで今回の研究では、塩分による血圧上昇のメカニズムを世界に先駆けて遺伝子レベルで解明した。

 腎臓でのナトリウム排泄機能に障害が起こると、ナトリウム排泄が低下し体にたまっていき、血圧が上昇する。肥満や塩分感受性が高いために高血圧になる患者では、塩分を摂取すると交感神経系に緊張が生じ活動が亢進し、ナトリウム排泄の低下につながりやすいと考えられている。

高血圧発症の仕組み
世界に先駆けエピジェネティクスで解明
 研究者らは、塩分摂取により交感神経活動が亢進すると放出される神経伝達物質「ノルアドレナリン」により受容体が活性化され、DNAとの相互作用をもち遺伝子発現調節など重要な役割をになう「ヒストン」と呼ばれる蛋白質の働きを阻害し、塩分排泄に関わる遺伝子の転写が抑えられることを突き止めた。

 最近の研究では、高血圧や2型糖尿病などの生活習慣病の発症に、DNAの塩基配列の変化(変異)が影響することが解明されているが、こうした疾患に関わるのは遺伝子のDNAだけではないことが分かってきた。

 そこで、塩基配列の変化による要因ではなく、細胞分裂を経て引き継がれる遺伝子機能の変化や仕組みについて解明する新しい研究「エピジェネティクス」が注目されている。

 肥満やストレスなどの環境因子が、関連する遺伝子の活性化や抑制遺伝子の不活性化に影響しているという。今回の研究について研究者らは「塩分や肥満などの環境因子が塩分排泄性遺伝子の転写活性を抑制して、高血圧が生じるエピジェネティクスの関与を解明したもの」と述べている。

 「特に日本人では欧米人に比べ、塩分感受性の高い人が多い。研究成果をもとに、塩分感受性高血圧に有効な治療薬を開発できれば、塩分摂取の多い日本人高血圧患者に恩恵をもたらすことができる」としている。

高血圧の発症進展過程に“エピジェネティクス”が関与

塩分摂取による高血圧発症にエピジェネティクスが関与することを解明(東京大学医学部附属病院 2011年4月18日)
Epigenetic modulation of the renal .-adrenergic-WHK4 pathway in salt-sensitive hypertension
Nature Medicine, doi:10.1038/nm.2337

[Terahata]

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