一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

肥満のあるシニアでは食事と運動の組合せがベスト

キーワード: 脂質異常症(高脂血症) 二少(少食・少酒) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 三多(多動・多休・多接) 食生活 身体活動・運動不足

 高齢者では食事療法と運動療法を組合わせて行うと、身体能力が改善し体力低下も抑えられ、もっとも効果が大きいとする研究が米国で発表された。食事と運動のどちらか一方を行うよりも、両方を行った方がより良い成果を得られるという。

 米国では肥満が、若い世代と同様に、高齢者でも増えている。65歳以上の人の約2割は肥満で、その割合はベビーブーマーが高齢化するにつれ上昇するとみられている。体重増加の原因として、日常での身体活動の減少、乗用車の普及などで歩く機会がなくなっていること、身体能力や体力の低下などが指摘されている。

 高血圧症や心疾患、糖尿病などのある高齢者が、安全に運動をするために配慮が必要となるが、これに肥満が重なるとさらに運動療法を行いにくくなる。

肥満がQOLを低下 食事+運動で対策するともっとも効果的
 「年配の方が肥満によって身体能力が低下すると、転倒や寝たきりの原因になり、結果として生活の質(QOL)の低下をまねきやすい。肥満は高齢者でも増えている。より健康に、より自律的に生活していくのを支援する方法をみつけることが重要だ」と米ワシントン大学医学部のDennis T. Villareal氏(老年・栄養学)は話す。

 研究は、65歳以上の肥満者(BMI30以上)107人の参加を得て、1年間にわたり行われた。もともとは肥満のある高齢者での食事療法と運動療法を別々に検討するのが目的で、参加者を(1)食事療法による減量を行う群、(2)運動療法を行う群、(3)食事と運動を組合わせて行う群、(4)どちらも行わない群に無作為にふり分けて比較した。

 食事療法の群では、低カロリー食による減量支援、運動療法の群では、バランスワーク、レジスタンス運動、有酸素運動を含む週3回の運動指導が中心となった。

 その結果、身体能力のベースラインからの改善率は(1)は12%、(2)は15%だった。しかし、もっとも身体能力が向上したのは(3)の食事療法と運動療法を組合わせて行った群で、なんと21%も向上した。

 身体能力テストは50フィート(約15メートル)のウォーキングや日常の動作(コートを置いたり移動させる、椅子から立ち上がる、ペニー銅貨を拾う、階段上り、本を持ち上げる)などで行った。

 さらに、トレッドミルを使ったウォーキングでの最大酸素消費量の測定も行った。食事と運動を行った参加者の改善率は平均17%でもっとも高く、食事のみの群は10%、運動のみの群は8%にとどまった。

食事+運動で筋力が向上 骨密度の低下も抑制
 研究チームは生活の質(QOL)のスコアについても調査を行った。ここでももっとも大きく改善したのは食事と運動を組合わせて行った群で、食事のみの群が10%、運動のみの群が14%だったのに比べ、15%も改善した。筋力、平衡感覚、歩行機能についても、一貫して改善していた。

 「運動と体重コントロールを組み合わせて行うことで得られる恩恵は大きい。肥満のある年配の方では、心疾患の危険因子をみるだけでなく、身体能力を改善しQOLを向上することも重要となる。高齢者が運動をすることでQOLを向上し、寝たきりや転倒、骨折などを予防し、健康寿命を延ばすことにつながる」とVillareal氏は話す。

 「肥満のある高齢者で、ただちに減量が勧められるかについては検討が必要だろう。高齢者の減量には、脂肪や筋肉、骨の減少という潜在的な欠点がともなうことがある。高齢者の減量と死亡率との関連を指摘した研究も報告されている」と述べている。

 研究では、食事のみで減量した高齢者では、脂肪組織と骨密度が低下している傾向がみられた。食事のみの群では体格指数(BMI)が5%低下したが、股関節部の骨密度も3%低下した。一方、食事と運動を組合わせて行った群では、体格指数(BMI)が3%低下したが、股関節部の骨密度の減少は1%に抑えられた。

 この研究は、米ワシントン大学医学部らの研究チームによるもので、医学誌「New England Journal of Medicine」3月31日号に発表された。

Diet-exercise combo best for obese seniors(ワシントン大学医学部、2011年3月30日)
Villareal DT et al. Weight loss, exercise, or both and physical function in obese older adults
NEJM, 2011 Mar 31;364(13):1218-29
Diet and Exercise for Obese Older Adults(NEJM)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2019年12月02日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 臨床試験で実証
2019年12月02日
女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月28日
「10月8日は、糖をはかる日2019」講演会レポート & 血糖値アップダウン写真コンテスト優秀作品公開
2019年11月22日
妊娠中の長時間労働や夜勤が健康リスクに 全国の約10万人の女性を調査 エコチル調査
2019年11月22日
ナッツが肥満や糖尿病のリスクを低下 ジャンクフードをナッツに置き換える食事法

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2019年12月02日
肥満やメタボに対策し「フレイル」を予防 心身の活力低下を防ぐ3つの条件とは
2019年12月02日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 臨床試験で実証
2019年12月02日
女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月22日
腸内細菌が内臓脂肪に影響 内臓脂肪の少ない人に多い菌が判明 健診のビッグデータを分析
2019年11月22日
ナッツが肥満や糖尿病のリスクを低下 ジャンクフードをナッツに置き換える食事法

疾患 ▶ 脂質異常症(高脂血症)

2019年11月22日
ナッツが肥満や糖尿病のリスクを低下 ジャンクフードをナッツに置き換える食事法
2019年11月22日
保健指導で「食べる順番」に重点をおいた食事指導をすると減量効果が大きい
2019年11月22日
肥満・メタボの増加の原因は小児・若年期にある ユニセフ「世界子供白書2019」
2019年11月12日
魚を中心とした日本食は健康食 魚油のサプリメントについては賛否あり
2019年11月06日
食事の改善で「腎臓病」のリスクを減らせる 高血圧・糖尿病・肥満がCKDの要因

一無・二少・三多 ▶ 二少(少食・少酒)

2019年12月02日
肥満やメタボに対策し「フレイル」を予防 心身の活力低下を防ぐ3つの条件とは
2019年12月02日
がん患者の食事の悩みを解消するサイトを公開 料理教室と連携しレシピを作成 国立がん研究センター
2019年12月02日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 臨床試験で実証
2019年12月02日
女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月28日
「10月8日は、糖をはかる日2019」講演会レポート & 血糖値アップダウン写真コンテスト優秀作品公開

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2019年12月02日
肥満やメタボに対策し「フレイル」を予防 心身の活力低下を防ぐ3つの条件とは
2019年12月02日
インフルエンザシーズン到来にそなえて 感染前の最後の砦「のどバリア」を高める習慣とは
2019年12月02日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 臨床試験で実証
2019年12月02日
女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月28日
「10月8日は、糖をはかる日2019」講演会レポート & 血糖値アップダウン写真コンテスト優秀作品公開

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2019年12月06日
【2/5市民公開講演会「多動で生活習慣病・がん予防」参加者募集中!】全国生活習慣病予防月間2020
2019年10月10日
運動が体の老化を抑制するメカニズムを解明 骨に加わる力が炎症を抑制
2019年09月17日
毎日の家事が女性の寿命を延ばす 軽い身体活動を積み重ねると死亡リスクが低下
2019年09月11日
筋肉の質の低下を決める3つの要因が判明 高齢者の筋肉を維持するために 名古屋大学
2019年08月30日
筋力アップで糖尿病に対策 血糖値の上昇を抑える 週1回の筋トレで効果

生活習慣 ▶ 食生活

2019年10月18日
「大豆」が糖尿病リスクを減少 コレステロールや血糖が下がる
2019年10月11日
[新連載] おいしく・健康になる「間食」ライフ ヘルシースナッキング実践ガイド
2019年10月09日
「粗食が大切」は寿命の短縮をまねく 高齢者の2人に1人が「フレイル」の疑いあり
2019年09月19日
「低脂肪食」が女性の健康に大きく貢献 がんや糖尿病、心臓病のリスクが減少
2019年09月09日
糖尿病対策に「ゆっくり食べる」ことは効果的 よく噛んで食べるための8つの対策
全国生活習慣病予防月間
大正製薬 コバラサポート
尿酸値PR
新着ニュース
毎年2月は、全国生活習慣病予防月間
Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
乳がん治療と乳房再建の情報ファイル
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典