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腸内菌が脂肪酸受容体に影響 体内エネルギーバランスを調節

キーワード: 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 三多(多動・多休・多接) 健康食品 健診・保健指導 食生活

 炭水化物などに含まれる食物繊維から腸内細菌が発酵してつくられる「短鎖脂肪酸」が、体内でのエネルギーのバランスを調節する役割をはたしているという研究が発表された。

 研究グループによると、短鎖脂肪酸は交感神経にある「GPR41」という受容体を活性化する。GPR41の働きが体のエネルギー代謝を調整しており、食事でエネルギーを過剰にとったり、食料が不足していたり、糖尿病がある場合などに影響するという。「肥満や糖尿病の予防・治療につながる成果」としている。

 この研究は、京都大大学院薬学研究科の辻本豪三教授らの研究グループによるもので、米国科学アカデミー紀要オンライン版に4月25日付けで発表された。

腸内細菌はエネルギー代謝の「ホメオスタシス」にも影響
 ヒトを含む哺乳類は食物を摂取し、ブドウ糖を主な代謝燃料として利用する。そのときに炭水化物に含まれる食物繊維から、腸内細菌の発酵により酢酸、プロピオン酸、酪酸などの「短鎖脂肪酸」も合成される。研究グループによると、これらは体内のエネルギー利用に重要な部分をしめているという。

 食事でエネルギーを過剰にとったときに、短鎖脂肪酸は交感神経にある「GPR41」という受容体を活性化。これにより交感神経の活性化が起こり、体のエネルギー消費が増える。

 逆に、飢餓や糖尿病などでエネルギーが不足すると、エネルギー代替物質としてケトン体という物質が肝臓でつくられる。ケトン体がGPR41を通じて交感神経を抑制し、エネルギー消費が抑えられる。

 全粒粉や野菜など食物繊維の多い食品や、ヨーグルトや発酵食品をとると体にいい理由のひとつが解明された。研究者らは「食事が多すぎたり、少なすぎる状態が続くと、交感神経反応が起こりエネルギー消費の増加や減少の引き金となる」と説明している。

 ブドウ糖によるエネルギー代謝の調節メカニズムに関する研究は進歩しているが、短鎖脂肪酸やケトン体によるエネルギーバランスの調節については良く分かっていない。今回の発見は、研究チームが遺伝子改変マウスの実験で解明したもの。

 食料が豊富なときにはエネルギー消費を増やし、不足すると抑える仕組みは、ヒトをはじめとする生物の体を維持するために必要なもので、エネルギー代謝の恒常性を調整する「エネルギーホメオスタシス」として考えられている。この仕組みを調整できなくなると、肥満や糖尿病などの代謝疾患が引き起こされるという。

 研究者らは「今後の研究で、GPR41を標的とした治療薬の開発につながれば、肥満や糖尿病などのエネルギーバランス異常の新たな治療を実現できる」としている。

脂肪酸受容体GPR41によるエネルギー調節機構の解明(京都大学 2011年4月26日)
Short-chain fatty acids and ketones directly regulate sympathetic nervous system via G protein-coupled receptor 41 (GPR41)

(Terahata)

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