2011年09月27日
「節度のある適度な飲酒」半分は知らない 健康日本21評価チーム
キーワード: 二少(少食・少酒) 「少酒」お酒はほどほどに 飲酒
厚生労働省の健康日本21評価作業チーム(座長:辻一郎・東北大大学院医学系研究科公衆衛生学分野教授)は、「健康日本21」の9分野の1つである「アルコール」の評価案を公開した。
「節度のある適度な飲酒」の認知の増加、未成年の飲酒率の低下など、改善の傾向がみられる一方で、アルコール依存症の患者数が上昇傾向にあるなど、アルコールの課題が浮き彫りになった。
「節度のある適度な飲酒」の認知の増加、未成年の飲酒率の低下など、改善の傾向がみられる一方で、アルコール依存症の患者数が上昇傾向にあるなど、アルコールの課題が浮き彫りになった。
アルコール飲料は、会食など多くの場面で飲まれるなど、生活・文化の一部として親しまれている。一方で、他の一般食品にはない次のような特性を有しているので、健康増進の観点から注意を必要とする。 アルコールの特性
(1)致酔性 | 飲酒は、意識状態の変容を引き起こす。短時間内の多量飲酒による急性アルコール中毒は、死亡の原因となることがある。また、交通事故などの原因のひとつとなる。 |
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(2)慢性影響による臓器障害 | 肝疾患、脳卒中、がんなど多くの疾患がアルコールと関連する。 |
(3)依存性 | 長期にわたる多量飲酒は、アルコールへの依存を形成し、精神的・身体的健康を損なうとともに、社会への適応力を低下させ、家族や周囲の人々にも深刻な影響を与える。 |
(4)未成年者への影響・妊婦を通じた胎児への影響 | アルコールの心身に与える影響は、精神的・身体的な発育の途上にある未成年者においては大きい。このため、未成年者飲酒禁止法によって、未成年者の飲酒が禁止されている。 また、妊娠している女性の飲酒は、胎児性アルコール症候群などの妊娠に関連した異常の危険因子となる。 |
多量に飲酒する人の減少 判定C
- 多量に飲酒する人の割合は男性3.2%以下、女性0.2%以下を目標としているが、2009年の調査によると、男性4.8%、女性0.4%で、男女とも大きな改善はみられなかった。
- 飲酒者の割合は、1日60g以上飲酒している人の割合は低下傾向にあるが、アルコール依存症の有病率は、男女とも増加傾向がみられる。
- 患者調査によると、アルコール依存症の総患者数は上昇傾向にある。
- 特に若年女性の飲酒率の伸びが大きく、2008年調査の20〜24歳では女性が男性を凌駕している。
- アルコール依存症の専門医療施設に対する調査では、女性と高齢者の患者が増加している傾向がみられる。
未成年者の飲酒をなくす 判定B
- 未成年者の飲酒率は低下している。飲酒率は中学3年男子では1996年は26.0%だったが、2008年には9.1%に、女子では同16.9%から同9.7%にそれぞれ低下した。
- ただし、男女とも学年が上がると飲酒率は高くなる。2008年の飲酒率は高校3年男子で27.1%、女子で21.6%だった。
「節度ある適度な飲酒」の知識の普及 判定B
- 「節度ある適度な飲酒」を知っている人の割合は、2008年の調査では男性54.7%、女性48.6%で、およそ半数が認知していた。
- 「節度ある適度な飲酒」が純アルコール換算で「1日平均20g程度の飲酒」という基準は、一般には分かりにくいなどの意見が出された。
節度ある適度な飲酒 主な酒類の換算の目安
お酒の種類 ビール 清酒 ウイスキー・ブランデー 焼酎(35度) ワイン 量 中瓶1本500ml 1合180ml ダブル60ml 1合180ml 1杯120ml アルコール度数 5% 15% 43% 35% 12% 純アルコール量 20g 22g 20g 50g 12g

「健康日本21」最終評価の公表
[Terahata]