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積極的な生活習慣改善で糖尿病を予防 次期国民健康づくり運動

キーワード: 糖尿病 三多(多動・多休・多接)

 厚生労働省は次期国民健康づくり運動プラン策定委員会の初会合を11月25日に開催した。国民の健康度を向上させるために、2000年に食生活や運動、糖尿病など9分野について健康指標を設定した「健康日本21」が策定された。健康日本21については、すでに最終評価を終えている。厚労省は、この最終評価や国民生活の変化をふまえ、ポスト「健康日本21」とも言うべき次期国民健康づくり運動を2013年度から開始する。

 次期国民健康づくり運動の柱となるのは“健康寿命の延伸”と“健康格差の縮小”。急激な少子高齢化を進む中、10年後の人口動態を見据えて、壮年期死亡と社会生活機能の低下の低減をはかるとともに、保健・医療サービスのアクセス改善と社会参加の機会増加を確保することが目標となる。

 糖尿病に関しては、策定委員会の野田光彦・国立国際医療研究センター糖尿病・代謝症候群診療部長が説明した。野田氏は国立がん研究センターと国立循環器病研究センターが中心となり実施されている多目的コホート「JPHC研究」などから、生活習慣と糖尿病発症予防に関する研究で得られたエビデンスを紹介した。

ウォーキングを続ければ2型糖尿病の発症リスクが低下
 2007年に発表された前向きコホート研究(The Kansai Healthcare Study)では、身体活動を活発に行うと2型糖尿病の発症が減少することがあきらかになった。それまでは、活発なウォーキングなどの中程度の身体活動を継続することで、2型糖尿病の発症リスクを低下できるかは不明だった。

 関西在住の1万2647人の男性会社員(40〜55歳)を対象とした2000〜2001年に実施された試験では、余暇時間に身体活動を21分以上行った群では、10分以下の群に比べ、2型糖尿病の発症率は0.73倍となり、ウォーキングなどの身体活動に2型糖尿病の予防的な影響があることが確かめられた。

受動喫煙も糖尿病の重大なリスク
 受動喫煙も糖尿病の重大なリスクとなる。1999〜2004年に国内の12の事業所で行われたコホート研究「HIPOP-OHP」では、6498人の参加者(女性は20.9%)を3.4年(中央値)にわたり追跡調査した。

 喫煙状況により非曝露群、過去の能動喫煙群(受動喫煙なし)、受動喫煙群(能動喫煙なし)、能動喫煙群に分類し、糖尿病発生リスクに対する能動喫煙および受動喫煙の影響を比較(観察試験)した。

 その結果、229例が糖尿病を発症し、職場における糖尿病発生リスクは、非曝露群と比較して受動喫煙群(ハザード比[HR]1.81)および能動喫煙群(同1.99)で有意に高かった。

空腹時血糖異常(IFG)と糖尿病リスク
 日本糖尿病学会は、空腹時血糖値の正常域に関して、100〜109mg/dLを、将来糖尿病を発症するリスクの高い人も含まれている領域であるとして「正常高値」と区分し、生活習慣の改善を行ったり経過観察を行う必要があるという勧告を出している。

 空腹時血糖異常(IFG)の閾値は、米国糖尿病学会(ADA)のガイドラインでは2003年に110mg/dLから100mg/dLに下げられたが、WHOや欧州糖尿病学会(EASD)では110mg/dLのままで変更されていない。一方で、空腹時血糖値とその後の糖尿病発症リスクとの関連について、日本人を対象としたエビデンスは少なかった。

 そこで「大宮MAコホート研究」では、2000〜2007年に40〜79歳(平均年齢62歳)の中高年者1万1369人を対象に、健診の結果をもとに、ベースラインの空腹時血糖値と7年間の追跡期間中の糖尿病への進展リスクとの関連が検討された。

 その結果、ベースライン調査で空腹時血糖値が85mg/dL未満であった人と比較して、空腹時血糖値が高い人ではその後の7年間に糖尿病を発症するリスクが高く、とくに空腹時血糖値が100〜104mg/dLでは3.83倍、105〜109mg/dLでは7.97倍になっていた。

 「多目的コホート(JPHC)研究」では、1990年と1993年に岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、沖縄の8保健所管内に在住していた2,207人を対象に、5年間の糖尿病発症について調査した。被験者は1998〜2000年度と2003〜2005年度に実施された糖尿病調査を受けており、空腹時血糖値のデータがあった。

 期間中に125人が糖尿病を発症し、空腹時血糖値が高いほど糖尿病発症率は高くなり、糖尿病発症のリスクは空腹時血糖値が110mg/dLに達する前から上昇していることが分かった。また空腹時血糖値と糖尿病発症率との関係は性別、年齢によらずほぼ同一のパターンを示していた。

 糖尿病発症のリスクは空腹時血糖値が100mg/dLあたりから上昇しており、また糖尿病発症の感度と特異度の和を最大にするような別の解析でも最適の値はほぼ100mg/dLという結果になった。

積極的なライフスタイル介入は効果が高い
 糖尿病の一次予防のための介入は、面接による保健指導が効果的だが、面接回数が多い方が介入効果が高いことが確かめられている。

 全国社会保険協会連合会が協力した「Zensharen研究」は、IFGがあり肥満を伴う30〜60歳の患者641人を対象に、頻回のライフスタイル介入(4ヵ月に1回)を行う群と、通常の介入(年1回)をする群に無作為に分け比較対照した試験。

 従来の研究では、耐糖能異常(IGT)のある患者では集中的なライフスタイル介入が2型糖尿病を防ぐ効果があることが確かめられたが、IFGの患者でも同様の効果を得られるかは不明だった。

 介入群は36ヵ月間に医師から保健指導・ライフスタイル介入および再検査支援を9回受けた。対照群は、同期間に12ヵ月間隔で同様の保健指導を4回受けた。結果として、2型糖尿病の発症率は、積極的なライフスタイル介入群で12.2%であったのに対し、通常介入群は16.6%となり、介入群で有意に発症が抑えられていた。

次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会(厚生労働省)

Walking to Work Is an Independent Predictor of Incidence of Type 2 Diabetes in Japanese Men: The Kansai Healthcare Study
Diabetes Care: 2296-2298, 2007
A Prospective Study of Passive Smoking and Risk of Diabetes in a Cohort of Workers: The High-Risk and Population Strategy for Occupational Health Promotion (HIPOP-OHP) study
Diabetes Care 31: 732-734, 2008
Fasting Plasma Glucose and Incidence of Diabetes - Implication for the Threshold for Impaired Fasting Glucose: Results from the Population-Based Omiya MA Cohort Study
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis 16: 857-861, 2009
Fasting plasma glucose and 5-year incidence of diabetes in the JPHC Diabetes Study - suggestion for the threshold for impaired fasting glucose among Japanese
Endocrine journal 57: 631-639, 2010
Lifestyle Modification and Prevention of Type 2 Diabetes in Overweight Japanese With Impaired Fasting Glucose Levels
Archives of Internal Medicine 171, 1352-1360, 2011

(Terahata)

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