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職場の理解が糖尿病治療を後押し 企業の取組みに差

2012年01月06日
 従業員300人未満の中小企業ほど、企業側から従業員に対する検査や指導などの働きかけが少なく、従業員の治療状況を把握できてない傾向があることが、独立行政法人労働者健康福祉機構の研究班(班長:佐野隆久・中部労災病院副院長)の調査で分かった。同機構がさる12月10日に名古屋市のミッドランドスクエアで開催した勤労者医療フォーラム「就労と糖尿病治療の両立」で公表された。
企業関係者と主治医の連携度が低い
 調査は、2010年〜2011年に愛知県内の企業323社に実施した。従業員が50人未満の小企業、50〜299人の中企業、300人以上の大企業に分けて解析した結果、1000人当たりの糖尿病の従業員の割合は、大企業39.4人、中企業47.0人、小企業63.0人と企業規模が小さいほど高かった。

 糖尿病の診断基準となるHbA1c値の判定基準値も、“正常範囲”と“要治療範囲”の両方で企業間にばらつきがあった。また、要治療範囲と判定された従業員に対する定期的な検査や指導についても大企業ほど実施率が高かった。中小企業では、平日は受診しにくいなど治療継続が難しく、勤務と治療の両立に苦労する人が多いとみられる。

 労働安全衛生法に基づき、大企業の多くは産業医が常勤している。糖尿病をもつ従業員の治療状況を比較的良く把握しているとみられる大企業においても、把握方法は患者本人からの申告によるものが77%で、主治医との連絡の基づいているケースは15%以下という結果になった。企業関係者と主治医の連携の緊密度が低いことが示された。

 企業の規模や取り組みによって、有病率に差があることが判明したのは今回の調査がはじめて。糖尿病をもつ勤労者の就労を難しくしている一因として重篤な糖尿病合併症の併発が挙げられる。研究班によると、背景に職場の環境に問題が潜むことが少なくなく、原因として(1)定期的通院加療の至難さ、(2)良好な血糖コントロール維持の難しさ、(3)職場環境からのストレスなどが挙げられる。研究班は「職場での糖尿病への理解の欠如の影響は大きい。勤務と治療の両立を後押しする仕組みづくりが必要だ」と話す。

 通院中の糖尿病患者185人を対象にアンケート調査も行った。職場で糖尿病について相談できる人として“産業医”を挙げた患者が41.7%ともっとも多く、上司(21.4%)、同僚(21.1%)は少なかった。「誰にも相談できない」も36.2%と多かった。「糖尿病であることを仕事上で負担に感じている」として人は、インスリン治療法など注射で治療を行っている患者では41%と高率で、注射以外の治療を行っている患者の7%を大幅に上回った。

 一般ではインスリン療法がどのようなものか理解されておらず「インスリン療法に対する社会の認識が低い」と研究班は説明する。糖尿病の発症に遺伝的背景が関わる患者が多いにもかかわらず、職場では“糖尿病の悪い生活習慣が原因”といった誤解や偏見をもたれることが多い。糖尿病をもつ従業員が業務内容や昇進が制約を受けるのを恐れて病気を公表しないことも少なくないという。

 研究班は「職場を中心に糖尿病の正しい理解を拡大し、糖尿病患者が仕事に従事しながら安全に良いコントロールを継続できるようにする環境をづくりを促す対策が必要だ」と述べている。

就労と治療の両立・職場復帰支援(糖尿病)(独立行政法人労働者健康福祉機構)
国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会(厚生労働省)

(TERA)  
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