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特定健診・保健指導 肥満以外も指導 検討会が制度見直し

キーワード: 健診・保健指導

 国の医療費抑制の切り札として、2008年度に導入された“メタボ健診”は、大きな曲がり角にきている。厚生労働省の検討会では、制度の見直しを求める意見が相次いだ。

 厚生労働省の検討会は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)に注目した「特定健診・保健指導」の制度見直しの検討を進めている。現制度では特定保健指導指の対象となる人は、肥満があることが条件となっている。しかし、高血圧や脂質異常、高血糖などの異常が認められる人でも、心筋梗塞など心血管疾患などの循環器疾患の発症リスクは高い。
メタボ健診:肥満以外も指導の対象に
 厚労省は、丁寧な情報提供や保健指導の実施、医療機関の受診を促すことが必要と認め、制度を見直す方針に合意しているが、「方向変換するといった明瞭な結論づけを行うことは時期尚早」との見解を示した。

 2013年度から実施される制度見直しでは、腹部肥満を第1条件とする現制度の枠組みは変えないが、非肥満者への対応を医療保険者や市町村などに追加で求める予定だ。

 国内外の研究では、非肥満者でも血糖、血圧、脂質などの値が高めの場合、心筋梗塞など心血管疾患の危険性が高まることが分かっている。このため、現制度では抜け落ちてしまう非肥満者への対応が求められている。

 委員からは「日本肥満学会ではBMI25以上を肥満としているが、内臓脂肪型肥満という概念では、内臓脂肪100平方センチメートル以上が肥満である。BMI25未満であっても、内臓脂肪100以上のいわゆる隠れ肥満では、非常にリスクが高い」として、「非肥満者についても、生活習慣の修正はどのくらい必要か、情報提供でよいのか、あるいは特定保健指導に入れるのか議論してほしい」(山門實委員・三井記念病院総合健診センター所長)といった意見が出された。

予防的な生活習慣改善指導が理想的
 検討会では「軽症高血圧の人は受診しても薬を飲まない方や、そもそも受診しない人も多いので、特定保健指導の制度に載せられれば大きな意義がある」(島本和明委員・札幌医科大学長)、「空腹時血糖110mg/dL以上、HbA1c5.6%以上は特に糖尿病の発症リスクが高いので、予防的な介入をすべきと規定している。非肥満でも介入は有効であることがわかっている」(門脇孝委員・東京大学大学院教授)との意見が相次いだ。

 変更案では、血糖、血圧、脂質のリスク程度に応じてきめ細かな情報提供に努めるとしたほか、市町村、医療保険者、事業者などが保健指導の実施や医療機関への受診勧奨を行うべきとしている。ただ義務でなく、指針として同プログラムに考え方を示すかたちとなる。

 尼崎市は2007年度から、16〜39歳の全市民も対象に健診を行う「ヘルスアップ尼崎戦略事業」に取組み、2008年度の特定健診の受診率は42%に達した。脳卒中や心筋梗塞など、生活習慣病の重症化予防で、約2億6000万円程度の医療費削減になる見込みだ。

 門脇孝委員は「尼崎市は先進的な取り組みをしている。非肥満でも糖尿病発症のリスクが高い対象者については予防的な生活習慣改善指導をしている。多くのところはマンパワーが不足し、実際にはあまり介入できていないのが実態だ。それは制度上では情報提供となっているからだ」と、尼崎市のような取り組みがもっとなされるよう制度に書き加える必要があると訴えた。

血清クレアチニン値は慢性腎臓病(CKD)の早期発見に有用
 また検討会は、慢性腎臓病などの指標になる「血清クレアチニン値」の2013年度以降の特定健診・保健指導への検査導入をめぐって議論した。血清クレアチニンをみるとことで腎臓の排泄能力の優劣がわかる。慢性腎臓病患者には肥満でない人も多く、現制度では腎機能低下の兆候を見落とすおそれがあった。クレアチニン検査は、慢性腎臓病(CKD)の早期発見にも有用とされる。

 現行の特定健診・保健指導制度が開始される際に、厚労省検討会で、血清クレアチニン値を腎機能障害発見のための項目として追加することが検討されたが、尿蛋白検査の方が有効との判断から組み込まれなかった経緯がある。

 参考人としてヒアリングを受けた福島県立医科大学の渡辺毅教授は、全国約58万人の特定健診の受診結果を分析した自身の研究の結果などをもとに、「現状の特定健診・保健指導では、多くのCKDが対象とならず、蛋白尿と血清クレアチニン値を必須項目・受診勧奨項目とする必要がある」として、「蛋白尿と血清クレアチニン値は、透析導入・心血管イベントと保険点数の独立したリスクなので、同時測定が必要」と強調した。

 大阪大学大学院の磯博康教授は「血清クレアチニン値を追加することで、一般集団でCKDの有無の把握が可能となる。尿蛋白とCKDの組合せた健診により腎不全、透析導入の抑制できる可能性がある」と指摘。「特定保健指導でCKDを早期発見・介入することで心血管イベント発症を抑制でき、医療経済的効果も期待される」とした。

第4回健診・保健指導の在り方に関する検討会(厚生労働省)

(Terahata)

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