2012年07月18日
禁煙すると太る 平均4〜5キロの体重増加
キーワード: 肥満症/メタボリックシンドローム 「無煙」喫煙は万病の元 健診・保健指導
禁煙補助薬を使い禁煙を試みる人は多い。禁煙後の体重増加は、禁煙を希望する患者にとって妨げとなる。禁煙による体重の増加はこれまで考えられていたよりも多いとする研究が発表された。
この研究は、禁煙治療と体重増加に関する欧州、オーストラリア、東アジアで行われた62の研究を検討したメタ分析で、英医学誌「BMJ」に発表された。禁煙開始1〜3ヵ月後、および6、12ヵ月後の体重変化を、禁煙治療を行ったグループ(介入群)と治療を行わなかったグループ(対照群)に分けて検討した。 それによると、禁煙を開始すると、最初の3ヵ月でほぼ全員の体重が増加し、12ヵ月後には平均で約4.5〜5kg(10〜11ポンド)増えたという。 なお、介入群はニコチン置換療法(商品名ニコレット、ニコチネルTSSほか)、バレニクリン(商品名チャンピックス)、日本未承認のbupropionの治療ごとに検討した。 その結果、ニコチン置換療法では禁煙開始1ヵ月後で約1kg、2ヵ月後で2kg、3ヵ月後で2.3kg、6ヵ月後で3.7kg、12ヵ月後で4.9kgと、1年で約5kgの体重増加が認められた。同様に、bupropionとバレニクリンでも1年で約4kgの増加が認められた。 「禁煙治療を開始すると、予想以上に体重増加が起こる可能性がある。禁煙による体重増は個人差が大きい。そのことを医師と患者の双方が認識しておく必要がある。医師は食事や運動の指導を行った方がよいだろう」とフランス・パリ第11大学のHenri-Jean Aubin氏らは話す。 「米国立衛生研究所は、禁煙後の体重増加は平均4.5kg未満だろうと予測していた。一般的なアドバイス冊子には、体重の増加幅は1年で平均2.9kgと記したものがある。しかし、実際にはそれ以上の体重増加がみられた」と指摘している。 体重増加によるリスクは、喫煙によるリスクを下回ると指摘する専門家グループもいる。「特に大幅な体重増加を示す患者では、糖尿病など生活習慣病のリスクも上昇する。禁煙治療を行う医師は、患者の過剰な体重増加に注意することで、こうしたリスクを回避できるだろう」と結んでいる。 Weight gain in smokers after quitting cigarettes: meta-analysis
BMJ2012;345doi: 10.1136/bmj.e4439
(Terahata)