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EPA製剤は冠動脈疾患を抑制する スタチンとの併用で効果

キーワード: 糖尿病 動脈硬化 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血

 動脈硬化性疾患の予防を目的とした脂質管理の最大のターゲットはLDL-Cであり、スタチンによるLDL-C降下療法の有用性と重要性は、エビデンスとして確立されている。「しかし、心血管リスクのさらなる低減のためには、LDL-Cを低下させてもなお残るリスクへの対応が問われている」と、横手幸太郎・千葉大学細胞治療内科学教授が、10月に東京で開催された第34回日本臨床栄養学会で講演した。

 動脈硬化性疾患の予防には、脂質異常症の管理のみならず、個々の患者が保有する危険因子からリスクを見極めた治療戦略をとることが課題となる。「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」では、患者のリスクを判断し、その多寡に応じてLDL-Cの管理目標を定め、生活習慣改善を基本に薬物の併用も考慮しつつ治療を行うことが推奨されてきた。

 一方、男女の区別がなかったこと、相対リスク評価を用いていたことなどから、女性に対して過度の薬物治療が行われてしまうなどの懸念の声もあった。そこで、2012年6月に刊行された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」では、一次予防において個別のリスク評価が可能な絶対リスクが示され、高リスク者と低リスク者の区別が明確にされた。

 「2012年版ガイドラインでは、NIPPON DATA80に基づく“一次予防のリスク評価チャート”を採用し、冠動脈疾患死亡率を予測する絶対リスク評価を導入した。この試みにより、性差や年齢による動脈硬化リスクをより客観的に判断し、“治療の必要な人”すなわち“治療のベネフィットがリスクを上回る人”をより正確に識別できるようになった」と横手教授は強調した。

 二次予防患者のリスクを層別化するため、急性冠症候群、喫煙の継続、糖尿病(IGT含む)、CKD、非心原性脳梗塞・PAD、メタボリックシンドロームなどを「より厳格な管理が必要な病態」と位置付けた。糖尿病については、細小血管症合併、血糖コントロール不良の持続(HbA1c 8.4%超:NGSP値)などが認められる場合には、さらに厳格な治療が必要であるとされている。

 さらに、脂質管理目標については、従来よりLDL-C、HDL-C、トリグリセライド(TG)が記載されていたが、ここにnon-HDL-Cが加えられた。欧米の研究でnon-HDL-Cなどがいずれも高値の場合、冠動脈疾患(CHD)リスクが高まることがあきらかになってきており、日本人を対象にした研究でも同様の結果が得られているという。

 「LDL-Cを強力に低下させるスタチンは、脂質異常症の第1選択薬となる。しかし、糖尿病の脂質異常の特徴として、LDL-Cは比較的軽度に上昇していても、高TG血症や低HDL-C血症を合併することが多い。そこで、LDL-C以外の脂質異常と動脈硬化の関係を見直し、スタチンだけで防ぎきれない動脈硬化を解決することが注目される」と横手教授は指摘する。

 スタチンと併用することで、さらなる心血管イベント抑制効果が示されている薬剤のひとつがEPAである。「JELIS(Japan EPA Lipid Intervention Study)では、高コレステロール血症を有する1万8645名の日本人を2群に分け、1群にスタチンと1800mg/日の高純度EPA製剤、もう1群にスタチンのみを投与し、約5年間追跡調査した。その結果EPA群では、スタチン単独群に比べ19%の主要冠動脈イベント低下がみられた」という。

 さらに、試験開始時に糖尿病または空腹時血糖値110mg/dL以上を示した糖代謝異常群と正常血糖群に着目したサブ解析が行われた。この解析において、糖代謝異常群は、正常血糖群に比べて有意に高い冠動脈疾患発症リスクを示した。そしてEPAを投与することで冠動脈イベント抑制効果は糖代謝異常群では22%、正常血糖群では18%みられた。

 「EPAは、スタチンやフィブラート系薬に比べると、LDL-CおよびTG値の低下効果が顕著ではないにもかかわらず、心疾患イベント抑制に有効である。このことは動脈硬化全般と糖尿病大血管障害予防に対する新しい切り口の可能性を示唆している」と横手教授はまとめた。

第34回日本臨床栄養学会総会

(mhlab)

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