2012年10月30日
禁煙の手段はたくさんある 「あきらめるのは早い」と専門家
キーワード: 「無煙」喫煙は万病の元

「たばこをやめたいけれど、これまで禁煙にことごとく失敗してきた」という人に朗報だ。「現在は禁煙を支援するさまざまな方法が開発されている。禁煙に失敗したとしても、また別の有効な方法がある」と研究者は述べている。
「多くの喫煙者は禁煙を達成しようと努力している。禁煙を支援する利用可能なリソースはたくさんある。いずれも喫煙者を禁煙へと導き助ける有効な手段となる」とマサチューセッツ総合病院のNancy Rigotti氏は話す。 「多くの喫煙者は、禁煙をサポートするもっとも有効な方法を試すことなく、“たばこをやめるなんて無理なことだ”とあきらめている」とRigotti氏は言う。 禁煙を試みる喫煙者の約3分の2は、医学的に有効性が確かめられている禁煙治療を受けていないという。薬物療法と電話によるカウンセリングを両方利用している喫煙者はさらに少ないと推定されている。 喫煙者はニコチン置換療法(NRT)のための多くの商品(パッチ、ガム、トローチなどの一般用医薬品や吸入薬、点鼻薬などの処方薬)を利用することができるが、多くの喫煙者が使用している製品は1種類のみだ。 ニコチンを含むパッチなどは、ニコチンの禁断症状に対して長時間、安定的に効果を発揮するが、他人が煙草を吸う様子を見たときに吸いたいと感じるような突発的な欲求を抑える薬としては不十分な場合がある。 一方、ガムやトローチなどのように効果の持続時間が短い商品は、その衝動を抑制するときに役立つとみられている。 Rigotti氏は「既存の方法をうまく組み合わせることで、禁煙の成功率を高めることができる可能性がある。市販されている電子たばこのような、あまり効果を期待できない方法に頼るのは勧められない」と指摘している。 また、FDAが治療薬として認可した経口禁煙補助薬である「ブプロピオン」と「バレニクリン」の有効性はさまざまな研究で確かめられており、禁煙の成功率を2倍に増やすという報告もある。しかし、副作用をおそれて患者や医師はこれらの薬の使用を躊躇するケースがあるという。 Rigotti氏は、「ニコチン離脱症状として、神経質や抑うつの状態があらわれることがある。これを薬の副作用と区別するのは難しい」と指摘し、「医師は患者の行動の変化をモニタリングして副作用を抑えなければならないにしても、ブプロピオンとバレニクリンは煙草依存を治療するために効果的な数少ない選択肢であり、薬を使う利点はそのリスクを上回る」と推察している。 ニコチン置換療法や経口禁煙補助薬による薬物療法を組合せて、これにカウンセリングなどの生活習慣サポートを加えれば、より多くの患者を禁煙に導くことができる。このように禁煙のためのオプションはたくさんあるが、実際には禁煙を希望する患者は全てを試していないという。 「禁煙治療は、医師と医療制度が講ずることができる、もっとも費用対効果が高い方法だといえる。たばこ依存は慢性的な病気であり、特に糖尿病や高血圧症などの患者は、高い優先事項として禁煙に取り組めるようにするのが望ましい」とRigotti氏は強調している。 Many options available to help smokers kick the habit(マサチューセッツ総合病院 2012年10月16日)
(Terahata)