2013年01月08日
過度のストレスで心臓病リスクが上昇 ストレス解消が大切
キーワード: 三多(多動・多休・多接)

ストレスを強く感じている人は、心臓病を発症する危険性が27%高い。これは、たばこを1日に5本吸っている場合とほぼ同じ――こんな研究結果を、コロンビア大学医療センターの研究者が発表した。「ストレスをためこまず、上手にコントロールする方法をみつけることが大切です」と研究者は指摘している。
ストレスをためこむのは喫煙と同じくらい危険
コロンビア大学医療センターのドナルド エドモンドソン氏らの研究チームは、2011年までに実施された、11万8,000人を対象とした6件の研究をメタ解析した。
研究の参加者は、「ストレスをどのように感じていますか?」「どれくらいの頻度でストレスを感じますか?」といった質問に回答した。ストレスの程度や頻度と、心筋梗塞などの心疾患の発症との関連を、平均14年間追跡して調査した。
その結果、ストレスを強く感じている人は、心臓病の発症リスクが27%上昇することがあきらかになった。詳しく調べてみると、血圧と悪玉のLDLコレステロールの値が高くなっていた。平均すると、血圧は140/90mmHgを超え、LDLコレステロールは50mg/dL高かった。
喫煙も心臓病の危険因子となるが、ストレスを強く感じている人の心臓病リスクは、たばこを1日に5本吸う人と同等だったという。
血圧が高くなると、血管を流れる血液の圧力が高くなり、動脈が傷みやすくなる。高コレステロールが加わると、高い圧力によって血液の成分が動脈の内壁に入りこみ、動脈硬化を起こしやすくなる。
また、血液中のLDLコレステロールが増えると、活性酸素の影響で酸化し、過酸化脂質となる。蓄積していくと血管が細くなり血栓ができ、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などを誘発させる。
「一般的に、物事をきちんと管理したいと感じる人、自分にも他人にも厳しい人などは、ストレスを受けやすいと言われています。ただし、研究では“ストレスを感じていますか?”といった質問をしただけです。さまざまな状況や要因によって、ストレスの度合いも感じ方も異なるので、こういう人がストレスを受けやすいとは一概には言えません」とエドモンドソン氏は話す。
「それでも過度のストレスはさまざまな病気の原因となることは確実です。心臓にとってもストレスは大敵です。過度のストレスや緊張は血圧を上昇させるだけでなく、血管を収縮させ、詰まりやすくしてします。心疾患のリスクがある場合に、ストレスのチェックを行うことは、メンタルヘルスの基本になるでしょう」(エドモンドソン氏)。
「ストレスの原因を完全に取り除くことは難しいかもしれませんが、あまりストレスをためこまず、ご自分にあった解消方法をみつけることが大切です」と研究者は指摘している。
米国心臓学会は、ストレスと上手に付き合う方法として、次のことをアドバイスしている――・家族や友人と話す時間をもつ。
・ウォーキングや水泳、ジョキングや自転車などの運動を習慣化する。
・アルコールやたばこを控える。
・睡眠を十分にとる。
・優先事項を決めて、必要以上に予定を詰め込まないようにする。
・必要以上に心配事をつくらないようにする。
・楽しい映画を観たり、小説を読むなど、気晴らしをつくる。 Is Stress Really Bad for Your Heart?(コロンビア大学医療センター 2012年12月17日)
Fight Stress with Healthy Habits(米国心臓学会)
(Terahata)