一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

仕事のストレスで心臓病リスクが上昇 生活習慣改善が効果的

キーワード: 二少(少食・少酒) 「無煙」喫煙は万病の元 三多(多動・多休・多接)

 狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患はストレスと深い関係にある。仕事のストレスと不健康な生活習慣がある人は、そうでない人に比べ冠動脈疾患のリスクが2倍に上昇するとの調査結果を、英国ロンドン大学ユニバーシティカレッジが発表した。一方で、仕事のストレスはあっても、健康的な生活習慣のある人では、冠動脈疾患リスクは低下することが示された。

 冠動脈疾患は、心臓をとりまく冠動脈の内壁に、コレステロール(脂肪)などが徐々に沈着し血管の内腔を狭め、血管に流れる血液量が減少して、十分な酸素や栄養素を心筋に供給できなくなる病気。冠動脈疾患の危険因子は、不健康な食事や運動不足などの生活習慣だ。喫煙や飲酒量の増加なども、冠動脈疾患の一因となる。

 冠動脈疾患の発症を予測する上で、仕事のストレスは大きな要因となる。研究は、仕事上のストレスが冠動脈疾患に及ぼす影響を、健康的な生活習慣で軽減することができるかどうかを検討したもの。研究チームは、イギリス、フランス、ベルギー、スウェーデン、フィンランドなど7地域で行われたコホート研究を解析した。冠動脈疾患の既往歴のない17~70歳(平均44.3歳)の男女10万2,128人を、1985年から2000年までの15年間追跡して調査した。

 ストレスがかかると、自律神経である交感神経の働きが高まり、ホルモンがより多く分泌されるようになる。緊張したり、怒りを感じたりするときなどに交感神経が活性化され、脈が速くなり、血圧が上昇する。また、血液の粘りが強くなり血栓ができやすくなり、冠動脈の硬化や閉塞が起こりやすくなる。

 参加者のうち1万5,986名(16%)が仕事上のストレスがあると報告した。研究者は、喫煙・アルコール消費量・運動不足と肥満度(BMI)に基づいて、生活習慣カテゴリを次のように設定した。▽生活習慣危険因子のない「健康的な生活習慣」、▽危険因子が1つある「中程度に健康的な生活習慣」、▽生活習慣危険因子が2~4つある「不健康な生活習慣」。

 期間中に計1,086名が、冠動脈疾患の症状を発症した。冠動脈疾患の10年間罹患率は、仕事による精神的ストレスがある人では1,000人につき18.4人だったが、精神的ストレスが無い人では14.7人だった。不健康な生活習慣がある人の10年罹患率(1,000人あたり30.6人)は、健康的な生活習慣がある人(1,000人あたり12.0人)の2倍以上に上昇した。

 仕事による精神的ストレスも冠動脈疾患の危険要因になる。精神的ストレスと不健康な生活習慣の両方がある人の罹患率は1,000人あたり31.2人だったのに比べ、仕事の精神的ストレスはあるが健康的な生活習慣を送っている人の罹患率は14.7人に抑えられていた。

 「冠動脈疾患のリスクは、仕事による精神的ストレスと不健康な生活習慣がある参加者でもっとも高いという結果になりました。仕事による精神的ストレスはあるが、健康的な生活習慣をおくる人がこの病気にかかる率は、そのほぼ半分に抑えられました。仕事で精神的ストレスを抱えていても、食事や運動などの生活習慣を健康的に変えていけば、冠動脈疾患リスクを減らすことができることが示されています」と、ロンドン大学ユニバーシティーカレッジのミカ キヴィマキ氏(疫学・公衆衛生学)は述べている。

 「ストレス対処法は人によりさまざまですが、ふだんからストレスを感じやすい人は対処法を身につけておくと良いでしょう。また、生活習慣の危険因子を減らす対策をすると良いかもしれません。仕事上の精神的ストレスを抱えている人は、医師に相談してストレスカウンセリングを受けることも有用です」と研究チームは結論づけている。

Associations of job strain and lifestyle risk factors with risk of coronary artery disease: a meta-analysis of individual participant data(カナダ医師会 2013年5月13日)

[Terahata]

関連トピック

一無・二少・三多 ▶ 「無煙」喫煙は万病の元

2021年01月15日
喫煙が「排尿症状」の悪化の要因に とくに若年男性でタバコの悪影響は深刻 世界初の大規模研究を実施
2021年01月15日
女性の7割が月経前に身体不調を経験 4人に1人は仕事や家事に支障が 「妊娠前(プレコンセプション)ケア」が必要 女性ビッグデータ調査
2020年12月18日
【新型コロナ】日本のワクチン開発はここまで進んでいる 日常での感染防止をしっかり続ける必要が
2020年12月14日
【新型コロナ】がん検診の受診者が減少 このままだと死亡リスクが上昇 コロナ下でも「がん検診は必要」
2020年11月06日
【2019年国民健康・栄養調査2】男性の38%、女性の41%が「睡眠時間が6時間未満」 喫煙率は10年間で最低を更新

一無・二少・三多 ▶ 二少(少食・少酒)

2021年01月15日
日本人に「低炭水化物ダイエット」は効果がある? 肥満やメタボの食事療法としては勧められる?
2021年01月15日
女性の7割が月経前に身体不調を経験 4人に1人は仕事や家事に支障が 「妊娠前(プレコンセプション)ケア」が必要 女性ビッグデータ調査
2021年01月15日
働く人がうつ病になると 「就労の継続への不安」「新型コロナは心身にストレス」 うつ病患者対象の全国調査
2020年12月18日
【新型コロナ】日本のワクチン開発はここまで進んでいる 日常での感染防止をしっかり続ける必要が
2020年12月14日
【新型コロナ】がん検診の受診者が減少 このままだと死亡リスクが上昇 コロナ下でも「がん検診は必要」

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年01月15日
【新型コロナ】医療現場での感染リスクと予防効果を解明 医療者への感染を防ぐために 健診・保健指導にも応用
2021年01月15日
【Withコロナ時代】運動・スポーツを通じて健康二次被害を防ぐポイントは? スポーツ庁がガイドラインを公表
2021年01月15日
「肥満」の原因は自分だけのものではない 子供時代の虐待体験も成人後の肥満に影響 2万人を調査
2021年01月15日
女性の7割が月経前に身体不調を経験 4人に1人は仕事や家事に支障が 「妊娠前(プレコンセプション)ケア」が必要 女性ビッグデータ調査
2021年01月15日
働く人がうつ病になると 「就労の継続への不安」「新型コロナは心身にストレス」 うつ病患者対象の全国調査
スローガン川柳審査中
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート