2013年07月04日
2分間のウォーキングが糖尿病リスクを減らす
キーワード: 糖尿病 三多(多動・多休・多接)

30分ごとに2分間、机から立ち上がって歩き回ることで、2型糖尿病のリスクを低下できる。「細切れの時間を上手に活用し、運動をする習慣を身につけると効果的です」と研究者はアドバイスしている。
糖尿病は、血糖値を下げるインスリンの作用が不足し、高血糖が続くことで引き起こされる病気だ。 健診などで「血糖値が高めです」と指摘されたことのある人は、たとえ現在は糖尿病と診断される状態ではない場合でも、インスリンの分泌低下や作用不足によって、空腹時や食後の血糖値が高くなる「耐糖能異常」が起こっているおそれがある。 そうした人は、将来に2型糖尿病を発症する危険性が高いので注意が必要だ。 ウォーキングなどの運動を習慣として行っていると、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促され、血糖値が下がり、血糖を下げるために必要なインスリンの量を減らすことができる。 たった2分間のウォーキングでも、習慣として続ければ十分に効果があるという研究が、米国栄養学会が発行する学術誌「American Journal of Clinical Nutrition」に発表された。30分ごとに2分、机のまわりを歩くだけで効果があるという。 「多くの人は、1日に30分のまとまった時間をつくり、集中的にウォーキングやランニングを行っていますが、細切れの時間を活用し運動する習慣を身につけ、座ったまま過ごす時間をなるべく減らすと、さらに効果的です」と、研究者は述べている。 ニュージーランドのオタゴ大学のメレディス ペジー氏(栄養学)らは、70人の健康な成人を対象にランダム化クロスオーバー試験を行った。 1日に30分間のウォーキングをした場合と、30分ごとに2分間のウォーキングをした場合を比較した。日中は9時間、机の前に座り、デスクワークをしてもらった。 糖尿病になって最初に起こる異常は食後の血糖が高くなることだ。この時点では食前の血糖は正常だか、糖尿病が進行すると、やがて食前の血糖も上昇していく。 ブドウ糖を飲んだ後に血糖値がどのように推移するかをみて糖尿病かどうかを判定する「ブドウ糖負荷試験」を行えば、正常なのか糖尿病なのか、あるいは糖尿病予備群なのかがはっきりする。 研究チームは、ブドウ糖負荷後、1時間、4時間、7時間に採血し、血糖値とインスリン値を測定し、血糖値の変化をグラフにして曲線下面積を求めた。 その結果、30分ごとに2分間のウォーキングをした場合では、曲線下面積が8%以上減少することが分かった。インスリン値も37%低下していた。 「30分ごとの2分間のウォーキングは、仕事前の30分の活発なウォーキングよりもさらに効果的です。1日の中で座ったまま過ごす時間を少しでも減らすことが重要です。糖尿病を発症する危険性の高い数百万人のオフィスワーカーに参考にしてもらいたいと思います」と、ペジー氏はアドバイスしている。 Breaking prolonged sitting reduces postprandial glycemia in healthy, normal-weight adults: a randomized crossover trial(American Journal of Clinical Nutrition 2013年6月26日)
(Terahata)