一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
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夏に増える痛風 40歳以下の発症が増えている

キーワード: 二少(少食・少酒) 三多(多動・多休・多接)

 痛風などの原因となる血中の尿酸は、発汗などで体内の水分が奪われることでも濃度が上昇する。暑さが増す夏は、とくに尿酸値が上がりやすい季節だ。尿酸値の上昇に関係するプリン体を多く含む食品をとるのを控えたり、水やお茶で水分を補給する、ストレスが溜まりすぎないようにする、過度なアルコール摂取を控えるなどの対策をすると、尿酸値は上がりにくくなる。

 痛風(高尿酸血症)は、細胞内の核に含まれるプリン体が分解されるときに生じる老廃物(尿酸)が、尿中に排泄されずに、血中濃度が高まることで発症する。尿酸値の高い人が治療をしないで放置していると、尿酸が結晶となり足の親指などの関節にたまり、激痛をともなう痛風発作を引き起こす。

 痛風は中高年に多い病気と思われがちだが、近年は40歳以下の若い世代の発症も増えている。痛風の患者数は80万人を超え、高尿酸血症患者はその約10倍いるとみられている。背景にあるのは、「過食」や「食生活の欧米化」、「運動不足」といった不健康な生活習慣だ。

痛風の遺伝子を発見 若い人も油断はできない
 食事や運動などの生活習慣がとくに不健康というわけではないのに、痛風を発症しやすい人がいる。その場合は、高尿酸血症の発症を引き起こす遺伝子をもっているからだと考えられる。

 東京大学や東京薬科大学などの研究グループは、若くして痛風を発症する要因が「ABCG2(エービーシージーツー)」と呼ばれる輸送体の遺伝子変異と関連することを発見した。

 輸送体(トランスポーター)とは、細胞膜などの生体膜にある、栄養分などの輸送を担うタンパク質の総称。輸送体ABCG2は小腸や腎臓などにあり、尿酸や発がん性物質などの細胞外への排出などを行い、異物からの生体防御を担っている。

 研究チームは、ABCG2の遺伝子変異により尿酸の排泄機能が低下することを、過去の研究で突き止めていた。今回の研究では、男性痛風患者705人を対象に、ABCG2の機能低下と発症年齢の関わりを調べた。

 その結果、痛風の既往がなく血清尿酸値が正常な男性1,887人と比較すると、ABCG2の遺伝子変異がある男性では、20歳代以下の発症リスクが最大で22.2倍高くなることが分かった。

 20代以下で発症した痛風患者の約9割はABCG2の遺伝子変異をもっており、発症リスクは、ABCG2の機能が50%の場合で15.3倍、75%の場合で6.5倍にそれぞれ上昇した。ABCG2の遺伝子変異は、どの年代でも痛風の発症リスクを高める。50歳代の人がこの遺伝子変異をもっている場合は、痛風の発症リスクは2.5倍以上に上昇するという。

 ABCG2の遺伝子変異は、簡単な検査でみつけることができる。検査が普及すれば、痛風を発症するリスクの高い人を早期に発見し、発症する前に予防治療を行えるようになると期待されている。

痛風(高尿酸血症)を予防するための7ヵ条
 痛風は、糖尿病や脂質異常症、高血圧とも関連の深い病気だ。痛風と、その前段階である高尿酸血症を放置していると、多くの生活習慣病を併発しやすい。また、糖尿病のある人は、高尿酸血症を発症しやすいことが知られている。

 高尿酸血症の予防の基本となるのは、生活スタイルの改善だ。糖尿病などの生活習慣病と高尿酸血症には、共通する危険要因が多くある。健康的な生活スタイルによって、さまざまな生活習慣病を同時に予防・改善できる。

1 肥満は危険因子 ダイエットが必要
 糖尿病や脂質異常症と高尿酸血症の患者に共通することで目立つのは、肥満やメタボリックシンドロームの人が多いことだ。肥満と2型糖尿病のある人が減量すると血糖値が下がることがよくあるが、同じように、太り気味で尿酸値が高い人が減量すると、尿酸値が低下していく。
 尿酸値や血糖値が高めで、肥満のある場合は、減量することが治療の基本となる。

2 水を飲んで尿をしっかり出す
 高尿酸血症のタイプは大きく3つに分けられる。尿酸が尿中に排泄されにくくなる「排泄低下型」と、尿酸の産生が増えすぎる「産生過剰型」高尿酸血症、そして2つのタイプの「混合型」だ。実際には「排泄低下型」が80%を占めると考えられている。
 水分を多く摂ると尿の量が増え、尿とともに尿酸が排泄されやすくなる。腎機能が低下している人でない限り、十分な量の水を毎日とり、尿をしっかり出すことが大切だ。
 尿量の目安は1日2リットル以上。高カロリーの清涼飲料は肥満の原因になので、水かお茶を飲むのが望ましい。

3 食事でプリン体をとりすぎない
 高尿酸血症や痛風の患者の多くは、食事からとるエネルギー量が多すぎる。毎日の食事の量や内容を見直し、腹八分目を心がけることが必要だ。
 レバーなどの動物の内臓や、魚の干物などには、プリン体が多く含まれる。プリン体が分解されると尿酸がつくられるので、これらの食品を、大量に食べたり、頻繁に食べないようすることも大切。

4 尿をアルカリ化する食品(野菜、海藻)をとる
 尿酸はアルカリ性の水分によく溶けるので、野菜、海藻類などのアルカリ性食品を十分にとり、尿をアルカリ性に保つと、血中の尿酸を低く抑えられる。新鮮な野菜の摂取は、水分補給にも役立つ。

5 アルコールを飲み過ぎない
 プリン体は食事以外にも、肥満やアルコールによって体の中で作られるものがある。お酒の種類に関係なく、アルコール自体が尿酸を増やし、尿酸の排出も妨げてしまう。
 まず、アルコールが肝臓で分解される時に、大量にエネルギーが使われ、エネルギー源となる物質の材料でもあるプリン体が多くなる。また、大量のアルコールを飲んだ場合、アルコールは腎臓からの尿酸の排出を妨げる作用があるので注意が必要だ。

6 有酸素運動が効果的
 適度な運動は、高尿酸血症の改善に役立つだけでなく、肥満の解消にもつながる。ただし、酸素の供給が不足するような筋力トレーニングを行うと、エネルギーを作るTCAサイクルが作動しにくくなり、尿酸値にも悪影響を与える。
 勧められる運動は、ウォーキングなど酸素を十分に取り入れながら体を動かす有酸素運動だ。

7 ストレスと上手に付き合う
 過度のストレスは尿酸値を上げる。生活習慣病の患者の多くは、負けず嫌いで責任感が強く、精力的に行動するタイプで、つい頑張りすぎて、過剰なストレスを受けがちだ。
 頑張りすぎて過剰なストレスを受け、それが尿酸値をより高めているかもしれない。生きていくうえでは、休養をとることも大切。自分なりのリラックス法を見つけ、心身の緊張を解きほぐすようにしよう。

The Gout and Uric Acid Education Society
公益財団法人痛風財団
若くして痛風を発症する遺伝子要因を特定(東京大学 2013年06月18日)

[Terahata]

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