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糖尿病患者を1週間モニタリング、尿糖測定で食後高血糖を把握する

キーワード: 糖尿病

 5種類の計測機器で糖尿病患者の生活を1週間モニタリングした「食後高血糖に対する尿糖チェックの有用性研究」(主任研究者:加藤光敏・加藤内科クリニック院長)が行われ、その中間報告を糖尿病ネットワークの連載「自宅ですぐに効果が見える!尿糖チェックで糖尿病コントロール」(監修:宇都宮一典・東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授)で3回にわたり報告する。今後さらに分析を行い、関連学会で発表していく見通しだ。
市販の「尿糖自己測定」で
食後高血糖がわかるのかを実験!

 血糖値がある一定以上上昇すると尿に排出される尿糖の量で食後高血糖を間接的に確認できる「尿糖自己測定」。食後に尿検査をするとい尿糖排出の有無がわかる市販の尿糖試験紙タイプと、尿糖排出量を数値で確認することができるデジタル尿糖計(タニタ)を利用するのが一般的だ。食前の排尿から食後の排尿までに、食後高血糖があったかどうかを、簡便にチェックできるのが利点。

 しかし、いままでの尿糖自己測定は性質上数値が非定量的であり、効果判定が困難であったこと、尿糖が出始める血糖の閾値は人によって異なること、血糖との相関についての研究が少ないことなどがあり、療養手段としてあまり利用されていないのが現状だ。よって、患者の認知度も高くない。

 主任研究者の加藤先生は、「このようなことから、尿糖自己測定は実際どうなのか?を検証する研究を行うことになりました。日常生活の中で患者さんに、さまざまな機器で検査を行ってもらい、食事内容や運動の有無によって血糖値はどう変動するのか、そして血糖値と尿糖値の相関はどう表れるかを調べたのです。血糖自己測定が主流の現代でも、尿糖測定は糖尿病自己管理に有用であることが改めて確認できました。またこのような血糖・尿糖の連動の基本をきちんと押さえて置くことは、近い将来の新薬で尿糖の意義が多様化するなかで極めて重要で、また興味があります。」と語る。

 「本研究の結果をご覧になるとわかりますが、尿糖検査はやはり食後の高血糖の有無を見るのに適した検査法でした。特に境界型糖尿病例や、食事運動療法中、また、経口血糖降下薬を服用中の比較的コントロールが悪くない患者さんに有用性が高いと言えます。しかし、実際に尿糖がでる『閾値』というものを分かってから行わないと、尿糖測定結果を有効に生かせません。この辺をどのように判定し、患者さんの血糖コントロールに活用できるかを本連載で考察していくとともに、広く公表していきたいと考えています」

どのような食事で食後高血糖があったかを
振り返る材料に

 連載では、被験者の中から1回につき1名の結果を詳しく紹介しながら、生活のどのような場面で尿糖が出たかを分析する。 1人目は、40代男性の2型糖尿病患者のAさん。「食後の運動や週末の筋トレをしても血糖値が高く上がってしまうことがあり、そのときは尿糖が出ることも分かりました。食事と運動療法を熱心に取り組むお手本のような患者さんですが、これだけ努力していても血糖値は自分の思い道理にいかないという事実を知り、インスリンの出方が健常者とは違うということを改めて実感したそうです」栄養指導を担当した管理栄養士の加藤則子さんは振り返る。

 さらに、「どのような食事で尿糖が出たのかがわかれば、食事の何が影響したのかを、後日、主治医や栄養士と一緒に推測することができます。SMBGを行っていない患者さんにも食事記録をつけてきてもらいますが、尿糖排出の有無がわかれば、もっと具体的な指導に結びつけることが可能になると思います」と述べている。尿糖測定が患者自身のモチベーションとともに、療養指導への活用が期待される。

血糖コントロールの現状
-SMBGかSMUGか-

 現在、本邦では糖尿病が強く疑われる人や可能性を否定できない予備群は、合わせて2,210万人と推計されており、治療が必要な890万人のうち、通院しているのは約500万人(平成19年国民健康・栄養調査)。残りは、未治療者や治療中断となる。

 糖尿病は高血糖状態が継続する病気であり、通院先で個々に指示された食事・運動療法、薬物療法を行いながら、血糖コントロールを行う。血糖の動きは人によって全部異なり、また、いつも一定とは限らないので、治療は闇雲に行うのではなく、血糖値の状態を把握しながら行うことが極めて重要だ。

 血糖値を把握するには、血糖測定器を使用した血糖自己測定(SMBG)を行うが、保険適用されているのは原則インスリンなど糖尿病注射薬治療を行っている人のみ。現在治療中の患者のうち保険適用されているのは100万人ほどとみられ、非糖尿病注射薬治療(経口薬療法や食事・運動療法など)で、SMBGを自費購入で実施している人は約20万人(テルモ調べ)と推計されている。つまり、日常的にSMBGを行っていない多くの糖尿病患者は、数カ月に1度の通院時に測定するHbA1cなどを指標にするしかなく、食事内容を工夫したり、運動をがんばっても、多くの糖尿病患者は日常の血糖値の変化を知らないまま、療養に励んでいるのだ。

 しかし、血糖変動がわかるSMBGは極めて重要なツールであり、広く療養指導に普及することが望まれるが、こういった保険のしばりや穿刺の痛み、費用負担などのハードルがあり、現在のところはまだまだ難しい。そこで、血糖値がある一定以上上昇すると尿に排出される尿糖出現の有無で食後高血糖を間接的に確認できる「尿糖自己測定(SMUG)」は、一般に市販されている試験紙やデジタル尿糖計を購入し、食後に尿検査をするだけという簡便さで注目されている。

(mhlab)

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