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アルコールと健康の関係は? 「酒は百薬の長」は本当か

キーワード: 二少(少食・少酒) 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血 脂肪肝/NAFLD/NASH アルコール性肝炎 三多(多動・多休・多接)

 アルコールが健康にもたらす影響が注目されている。米国では、アルコールが原因で死亡する人が年間約9万人に上るという調査結果が発表された。日本でも、アルコールがもたらす社会問題の解決に向け「アルコール健康障害対策基本法」が2014年6月1日に施行された。アルコールの害についてあらためて考えてみた。
アルコールの7つの害 飲み過ぎに注意
 アルコールは、「酒は百薬の長」といわれるように、適量を守れば、血行を促進し緊張感を和らげ、体に良い働きをもたらす。国立がん研究センターの調査では、適量の飲酒を続けている人では、脳卒中の発症が4割低下することが示された。この理由としては、アルコールの作用で善玉コレステロールであるHDLコレステロールの血中濃度が上がることや、血液が固まりにくくなることが挙げられる。

 ただし、アルコールの便益を得られるのは適量を守っている場合に限られる。「節度ある適度な飲酒量」は、1日平均アルコール量で20g程度。アルコール度数はお酒の種類によって異なるが、だいたいビール中瓶1本(500mL)1本、日本酒1合(180mL)、赤ワイングラス2杯(200mL)、焼酎半合(90mL)くらいが適量とされる。

1 アルコールは高カロリー

 アルコール度数が高いほど高カロリーなので、飲み過ぎると肥満につながる。酒を大量に飲む人で脂肪肝がよくみられるのは、お酒を飲むと脂肪酸から中性脂肪がつくられ、肝臓に蓄積されるためだ。適量といわれるアルコール20gのエネルギーは140kcalに相当し、角砂糖10個分に相当する。実際にはお酒にはアルコール以外に糖分も含まれるので、もっと高カロリーになる。ビール500mLのカロリーは200kcal程度だ。

2 血圧が上昇

 アルコールは血圧を一時的に下げることもあるが、飲み続けると高血圧の原因になる。毎日の飲酒量が多いほど血圧の平均値が上がり、高血圧のリスクが高まることが多くの研究で確かめられている。

 アルコールで血圧が上がる理由は、血管の収縮反応が高まるほか、心臓の拍動を速める交感神経の活動が刺激されることなどだ。アルコール飲料に含まれるカロリーにより体重が増えたり、お酒を飲みながら塩分の多いつまみを食べがちになることも関係している。

3 脳卒中の原因に

 飲酒量が増えるにしたがって脳卒中や心臓病のリスクは上昇する。国立がん研究センターの調査では、アルコール摂取量が日本酒にして「1日平均3合以上」の男性は、「時々しか飲まない」人に比べて、脳卒中を1.6倍発症しやすいことが示された。女性でも、「1日平均1合以上」飲んでいると、脳卒中になるリスクが1.5倍以上高くなることが判明した。

4 心臓病の原因にも

 心臓病についても、アルコールは不整脈(期外収縮や心房細動など)を誘発し、心不全などの原因になる。これらの危険性は、飲酒量が増えるにしたがって大きくなる。

5 アルコールが睡眠障害の原因に

 アルコールは睡眠にさまざまな影響を与える。アルコールを飲むと浅い眠りが減少して深い眠りが増加し、寝つきは良くなるが、飲み続けると耐性がでてくるため長続きはしない。逆に、睡眠の後半に交感神経の活動が高まって、睡眠の持続性が低下する。

 アルコールを睡眠のために使用している人では、睡眠をアルコールが障害する作用が持続し、日中の眠気が強くなることが確認されている。十分な睡眠をとっても、アルコールを摂取した翌日は注意力が低下し、仕事の能率が下がるという報告もある。

6 アルコールで脱水状態に

 アルコールを飲むと排尿の頻度が多くなり、喉の渇きを感じやすくなる。アルコールは、血管運動中枢に働き、末梢血管を拡張し、体熱の放散を促す。さらに、脳下垂体から出る抗利尿ホルモンの働きを抑えし、尿細管からの水分の再吸収を妨げる作用がある。

 さらに、アルコールの代謝にエネルギーが必要で、その過程で水分が使われるので、体はさらに脱水状態になりやすい。喉が渇いたときは、水分補給をアルコールで行わず、水やお茶で補った方が良い。寝る前にお酒を飲むと、アルコールが利尿効果をもたらして、血液を「サラサラ」から「ドロドロ」にしてしまうおそれがある。

7 薬との相互作用に注意

 お酒と薬をいっしょに飲むと、薬の種類によっては体への影響が強くあらわれることがある。薬もアルコールと同じく肝臓で分解されるため、肝臓には二重の負担がかかる。結果として長時間、体に薬の影響が残り、薬の作用が正しくあらわれなかったり、副作用が強まる場合もある。特に睡眠剤、向精神薬、糖尿病の薬などをお酒といっしょに飲むのは避けよう。

働き盛り世代の死亡 1割は「アルコールの飲み過ぎ」が原因
 米国で、20〜64歳の働き盛りの世代で死亡した人の10人に1人に、アルコールの飲み過ぎが影響していると、米疾病対策センター(CDC)が発表した。死亡数は年間8万8,000人に上るという。

 CDCはアルコールの健康への影響を測定するために「ARDI」(Alcohol-Related Disease Impact)というツールを開発。2006〜2010年の死亡数のうち、アルコールの過剰摂取によって失われた寿命(YPLL)を推計した。

 その結果、アルコールが原因とみられる死亡は、全米で年間約8万7,798件(10万人当たり27.9件)であることが判明。主な原因は、長期の大量飲酒による影響が強い乳がんや肝臓病、心臓病などのほか、短時間の大量飲酒による影響が大きい急性アルコール中毒などだ。

 うち69%が生産年齢とされる20〜64歳で発生しており、男性が7割を占める。失われた寿命は、全米で年間250万年(10万人当たり831.6年)に達した。アルコールが原因の交通事故も深刻で、年間1万3,000件が発生しているという。

 過剰な飲酒によって、2006年には約23兆円(2,240億ドル)の経済的損失がもたらされた。これをアルコール1杯当たりに換算すると約190円(1.9ドル)。つまり、1杯200円のビールを飲むと、後に自身や家族らに与える影響も含めると、潜在的に190円の負担を払っていることになるという。

 「アルコールによって人生の最盛期に失うものは大きいといえます。ただし、過剰な飲酒がもたらす弊害は、多くは予防が可能です。アルコールを飲み過ぎないように、国民が保健指導サービスを受けやすい体制づくりを整備する必要があります」と、CDCの研究者は述べている。

アルコール情報ページ(厚生労働省)
Alcohol Deaths(米疾病対策センター 2014年6月30日)

(Terahata)

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