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時差ぼけの上手な克服法 運動で生体リズムを調節

キーワード: 二少(少食・少酒) 三多(多動・多休・多接)

 長い休みをとりやすい夏には、海外旅行ラッシュが起こる。しかし、米国や欧州へ行く人の多くは、時差ぼけに悩まされる。そこで今回は、時差ぼけの症状を少しでも早く解消するためのヒントをご紹介する。
時差ぼけの原因は体内時計の乱れ
 時差ぼけは、一過性の概日リズム睡眠障害で、睡眠医学では「時差症候群」と呼ばれている。概日リズム(サーカディアンリズム)は、生体機能においておおよそ24時間を一周期とするリズムで、脳に備わっている体内時計によってコントロールされている。この概日リズムは、生体リズムのひとつである睡眠覚醒リズムもつかさどっている。

 ところが、時差のある地域を飛行機で移動すると、体内時計が時差に同調できなくなる。急激な移動によって、現地時間と体内時計にずれが発生し、生体リズムが障害される。その結果、一過性の不眠や、日中の眠気といった睡眠障害の症状が出てくる。

 米国睡眠学会は、時差症候群を次の通りに説明している。
・ ジェット旅客機に乗って、少なくとも3時間以上の時差がある場所へ旅行したときに、不眠や過眠を自覚する。
・ 旅行後1〜2日、睡眠障害が続き、日中のねむけ、疲労感、頭重感を感じる。
・ 昼間の心身機能が落ちたり、全身がだるくなったり、胃腸障害などの症状が出ることもある。
・時差ぼけは、内科的な治療や薬物の使用などでは十分に治療ができない。

 生体リズムを遅らせるほうが生体リズムは同調しやすい。そのため、遅寝遅起きとなる西向き(欧州など)飛行では症状は軽く、早寝早起きとなる東向き飛行(米国など)では症状が強くあらわれる。

運動すれば生体リズムを調節しやすい
 時差ぼけを解消するために、効果的な方法がある。体内時計は数千ルクス以上の明るい光で調節でき、照明をタイミングよく使えば、体内時計を適切にリセットできることが分かっている。

 しかし、室内のオフィスの照明の明るさは750〜1,500ルクスぐらいで、多くの場合で体内時計を調整するためには明るさが足りない。明るい光を浴びるのが必ずしも簡単ではないという人は多い。

 そんな人に朗報だ。時差ぼけを解消するために、明るい光の下で運動することが効果的であることが分かった。運動はふだんより活発なウォーキングなどの、息が少し上がる程度のものが良いという。

 この研究は、北海道大学大学院医学研究科の山仲勇二郎助教らによるもので、適度な運動を行うと生体リズムを調整しやすいことが明らかになった。

 今回の研究では、時間隔離実験室で睡眠時間帯を8時間前進させる実験を行った。覚醒している時間帯に5,000ルクスの高照度光の下で自転車エルゴメーターをこぐ運動を実施したところ、部屋を明るくしただけで身体運動を行わなかった場合と比較して、生物時計の指標である血中メラトニンリズムが速やかに改善することが明らかになった。

 また、身体運動を行わなかった場合には睡眠の質が大きく低下したのに対して、運動した場合はこれを防ぐことができた。運動が体内時計の光に対する反応性を増強すると考えられている。

時差ぼけの症状を軽くする方法
 英語で時差ぼけのことを「jet lag」と言うが、ジェット機で世界を旅することができるようになってから起こった、比較的新しい問題だ。鉄道や船で人々が移動していた時代には、まだ時差ぼけはなかった。

 時差ぼけの抜本的な解決法はないが、症状を軽くする対策はある。米国睡眠財団では、次のようにアドバイスしている。

・ 目的地に早く到着する
 重要な会議などに出席するためには、前日までに目的地に到着し、体調を整えるぐらいの余裕が欲しい。

・ 睡眠を十分にとる
 旅行前はまず、十分に睡眠をとって万全の体調で臨む。寝不足の状態で旅行をすると、時差ぼけがさらに悪化する。

・ スケジュールを調整する
 北米など東向きへの旅行では生活パターンを出発の約1週間前から前倒ししておき、通常の1時間前に就寝するようにする。逆に欧州など西向きなら生活時間を後ろに遅らせ、通常の1時間後に就寝するようにする。これでリズムが現地時間に同調しやすくなる。

・ 日光を浴びないようにする
 旅先での最初の数日間は、東向きへの旅行では、サングラスをかけて、朝に明るい日差しを見ないようにする。次に、午後の遅い時間に明るい日差しを浴びるようにする。西向きの旅行なら、現地時間に順応するために、最初の数日間は、夕暮れの数時間前から日光を避けるようにする。

・ 仮眠をとる
 移動中の機内では、なるべく現地の時間のリズムに合わせることが大切だ。現地が夜の時間なら少しでも仮眠をとるように心がける。仮眠にはアイマスクや耳栓も役に立つ。また、機内は乾燥しているので、水分を十分に取ることで体調を整えることも大切だ。脱水状態にあると、時差ぼけの症状が悪くなるおそれがある。

・ 到着日は眠るのを我慢する
 米国や欧州などへの旅行では、日本とは昼夜逆転した早朝に到着することもある。そんなときは初日はいったんホテルに入っても、眠るのを我慢して、夜まで眠らないようする。眠気を取り除くためには、ホテルの周辺を散歩したりして、太陽を浴びるのも良い方法だ。食事は必ずとり、特に朝食は明るい場所でとることが、生体リズムを整えるのに役立つ。

・ 夜は十分に睡眠をとる
 到着日の夜に十分な睡眠を取れるような計画にすることが大切だ。持病で投薬治療中ならば、現地で薬を飲む時間について主治医と相談しておこう。

北海道大学大学院医学研究科時間医学講座
Jet Lag and Sleep(米国睡眠財団 2012年8月23日)

(Terahata)

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