一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

男性の更年期障害「LOH症候群」 男性ホルモン低下を改善

キーワード: ストレス関連疾患/適応障害 三多(多動・多休・多接)

 男性ホルモンである「テストステロン」の低下によって起こる、男性の更年期障害「LOH症候群」は、加齢に伴い増えていく。テストステロン値が低下した男性で、うつ病リスクが上昇することが判明した。
加齢に伴う男性ホルモンの低下:LOH症候群
 「LOH症候群」とは、男性ホルモンである「テストステロン」の低下によって起こる、いわゆる男性の更年期障害だ。LOHとは「加齢性腺機能低下症」の英語の頭文字をとったものだ。40~60歳代に発症することが多いが、男性ホルモンは加齢に伴って徐々に低下し、女性の閉経のように明確なものがないので、いつ発症するか分かりにくい。

 テストステロンなどの男性ホルモンは、主に精巣でつくられる。強い筋肉や骨をつくったり、筋肉を増やして脂肪を減らす抗肥満作用があるほか、物事を判断したり記憶するといった認知力などにも関わっていると考えられている。

 男性ホルモンが低下すると「筋力の低下」「メタボリックシンドロームや肥満」「骨粗鬆症」などの身体症状や、「不安や神経過敏」「意欲の低下」「うつ症状」などの精神症状が起こることがある。男性の性機能にも重要な関わりがあり、「性欲の低下」「勃起障害(ED)」などの性機能症状が起こる場合も多い。

 ほかにも「ひどい発汗」や「ほてり」や「のぼせ」といった症状が起こる場合があり、生活に支障をきたすことがある。LOH症候群のサインとなる症状に気付き、早い段階で受診して適切な治療を受けることが大切だ。

 泌尿器科や男性更年期外来などの診療科では、男性ホルモンの測定やそれに関わる診療を行っている。LOH症候群の診断のためには、血液検査で男性ホルモンの値を調べたり、身体症状・精神症状・性機能症状などについて調べたりする問診などが行われる。

生活を改善すればLOH症候群の進行を抑えられる
 LOH症候群の最大の要因は加齢だが、進行を予防するために、日常生活に気をつけて男性ホルモンが低下しないようにすることが重要だ。食事では、タンパク質の少ない食事を続けていると男性ホルモンが低下するので、野菜だけでなく肉や魚もしっかり摂取することが大切だ。

 適度な運動も必要だ。ウォーキングなどの有酸素運動がテストステロン値を上昇させることが知られている。また、運動不足の人では内臓脂肪が蓄積されることが高く、それがテストステロン値を減らす原因になる。

 また、長期間にわたって強いストレスを受け続けることも悪影響をもたらす。仕事や趣味で生きがいをみつけることは、男性ホルモンを増やす作用があり、ストレスを発散する効果も期待できる。

 さらに、睡眠はテストステロンの分泌を維持するために極めて重要と考えられている。規則正しい生活を心がけて十分な睡眠をとることも大切だ。

テストステロン値が低下した男性でうつ病リスクが上昇
 米国のジョージ ワシントン大学医学部の研究グループが、テストステロン値が低下している男性ではうつ病のリスクが上昇するという研究を発表した。

 研究グループは、血中のテストステロン値が200~350ng/mLの20~77歳の男性200人(平均年齢48歳)を対象に、テストステロン値の測定とアンケートによるうつ病の検査を行った。

 その結果、参加者の56%でうつ病のスコアが高いことが判明した。うつ病に加え、意欲低下、性欲低下、勃起不全といった症状も多くみられた。

 参加者の約4割は過体重や肥満で、ウォーキングなどの運動を習慣として行っている男性が少ないことも判明した。

 過去の研究では、テストステロン値の低い男性は高い男性よりメタボリックシンドロームの発症リスクが約3倍高いと報告されている。

 「肥満や運動不足といった生活スタイルを改善すれば、テストステロン値を改善できる可能性があります」と、研究者は指摘している。

治療の基本は低下した男性ホルモンを増やすこと
 医療機関で受けられるLOH症候群の治療の基本は、低下した男性ホルモンを増やすことだ。主な治療法としては、男性ホルモンであるテストステロンを注射で補充する方法、男性ホルモンをつくるよう脳からの指令を伝えるホルモンを注射で補充する方法などがある。

 ホルモンの補充は半年から1年を目安に行われる。激しい副作用のおそれは少ないが、男性ホルモンは前立腺がんの細胞を増殖させるので、前立腺がんのリスクのある男性や前立腺肥大症のある男性はこの治療を受けることはできない。

 LOH症候群の症状がみられる場合でもテストステロン値がそれほど低くない場合がある。そうした場合は、ホルモン補充療法ではなく、漢方薬により症状の改善をはかる場合もある。

GW Researchers Find that Men Referred for Borderline Testosterone Levels Have Higher Rates of Depression and Depressive Symptoms(ジョージ ワシントン大学 2015年7月1日)
High Rates of Depression and Depressive Symptoms among Men Referred for Borderline Testosterone Levels(Journal of Sexual Medicine 2015年6月30日)

(Terahata)

関連トピック

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2019年12月02日
肥満やメタボに対策し「フレイル」を予防 心身の活力低下を防ぐ3つの条件とは
2019年12月02日
インフルエンザシーズン到来にそなえて 感染前の最後の砦「のどバリア」を高める習慣とは
2019年12月02日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 臨床試験で実証
2019年12月02日
女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月28日
「10月8日は、糖をはかる日2019」講演会レポート & 血糖値アップダウン写真コンテスト優秀作品公開

疾患 ▶ ストレス関連疾患/適応障害

2019年07月11日
高齢者の難聴は「外出活動制限」「心理的苦痛」「もの忘れ」を増やす 13万人強を調査
2019年07月10日
メンタルヘルスケアが糖尿病患者の寿命を延ばす 血糖コントロールも改善
2019年06月06日
【健やか21】「自殺予防」リーフレットを公開しました
2019年05月22日
糖尿病とともに生きることに10人に7人が疲れている 糖尿病のメンタル支援が必要
2019年03月27日
うつ病の発症原因は「仕事の不満足」 回復では「職場ストレス」が重要 職場でのヘルスマネジメント戦略
全国生活習慣病予防月間
大正製薬 コバラサポート
尿酸値PR
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート