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運動不足でテレビ視聴時間が長い人はご注意 認知症リスクが上昇

キーワード: ストレス関連疾患/適応障害 三多(多動・多休・多接) 認知症

 18~30歳の頃から運動不足の生活をおくっている人は、活発に体を動かす生活をおくっている人に比べ、中年期になって思考の活発さが失われ認知能力が低下しやすいことが、3,200人を対象とした大規模研究で明らかになった。テレビの視聴時間が長い人でも、認知能力の低下が起こりやすいという。
若い頃から運動習慣のない人が年をとると「物忘れ」が増える
 40歳を過ぎてから、忘れっぽくなったり、考えがまとまらなくなったと感じている人はいないだろうか。人の名前や単語を忘れやすい、あるいは鍵をどこにおいたかを思い出せない。こうした軽い認知能力の低下は中年期に起こりやすいが、人によってはかなり早くから発生する。

 テレビの1日の視聴時間が長く、運動不足の生活スタイルが若い頃から続いている人は注意が必要だ。そうした人は中年以降に認知能力が低下しやすく、認知症のリスクが上昇するという調査結果が発表された。

 この研究は、北カリフォルニア教育研究所(NCIRE)のティナ ホアン氏らが、米国のワシントンDCで開催された国際アルツハイマー病学会の学術集会で発表したもの。

 米国の運動ガイドラインでは、18~64歳の成人はウォーキングなどの適度な有酸素運動を週に150分以上、あるいは筋力トレーニングなどを取り入れた活発な運動を75分以上行うことが勧められている。

 しかし、米国疾病予防管理センター(CDC)の調査によると、推奨された量の運動を実際に続けている人は5人に1人だという。

 運動不足は過体重や肥満につながり、2型糖尿病や心筋梗塞などの心疾患の発症リスクを高める。今回の研究では、運動不足が認知症などの脳の疾患にも悪影響をもたらすことが明らかになった。

運動不足の生活が続くと認知能力が低下しやすい
 若年成人の冠状動脈疾患の発症リスクを調査した「CARDIA」研究は、1980年代半ばに18~30歳の男女数千が参加し行われた。参加者に健診を受けてもらい、コレステロール値や血圧値などを測定した。さらに運動負荷試験を行い、運動能力を測定するテストを行った。

 それから30年後の現在、48~60歳となった3,200人の参加者を対象にふたたび、生活スタイルのアンケート調査と、作業の記憶、実行能力、処理速度などを測る認知機能テストを行った。

 調査の結果、18~30歳の時点からずっとテレビの視聴時間が長かったり、運動不足の生活を続けたりしている人は、認知能力が低下しやすいことが明らかになった。

 「テレビの視聴時間が1日に4時間を超えている」という条件が当てはまる人は11%、「座ったまま過ごす時間が長く、低強度の身体活動を1日に50分しか行わず、消費カロリーが300kcal以下」といった条件が当てはまる人は17%、両方が当てはまる人は3%だった。

 2つの条件は揃う人では、そうでない人に比べ、認知機能の低下が2倍以上認められることが判明した。

認知症を防ぐためにウォーキングなどの運動が必要
 「CARDIA」研究では、18~30歳の時点で運動不足によって運動能力が低下している人は、年齢を重ねると糖尿病を発症する割合が高いことも確かめられている。

 運動を習慣として続けると、体重の増加が抑えられ、内臓脂肪が減る。筋肉量を増やすことで、体の基礎代謝が向上する。さらにインスリン抵抗性が改善し、血管の状態が良くなり、炎症や酸化ストレスの影響も少なくなる。

 「若い頃から座ったまま過ごす時間が長く、運動不足の生活スタイルを続けている人は、年をとってから認知機能の低下が起こりやすいことが明らかになりました。体を動かす時間の減少は脳の老化につながります」と、ホアン氏は言う。

 現代人は、テレビやスマートフォン、インターネットなどの画面を見て過ごす時間が長い生活をおくっており、運動不足に陥りやすい。

 アルツハイマー病などの認知症を予防するためには、運動や身体活動の減少を防ぐことが必要だ。運動不足を減らす習慣は、若い頃に始めるとそれだけ効果があることが判明した。

 40歳を過ぎて運動をする習慣のない人は、年をとってから認知症を発症するのを防ぐために、すぐにでもウォーキングなどの運動をはじめた方が良い。

Low Physical Activity and High TV Viewing are Associated with Worse Cognitive Function(国際アルツハイマー病学会 2015年7月20日)

(Terahata)

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