一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

老化の速度に大きな個人差 38歳で身体年齢は60歳のことも

キーワード: 二少(少食・少酒) 「無煙」喫煙は万病の元 三多(多動・多休・多接) 抗加齢(アンチエイジング)

 卒業後20年目の高校の同窓会で同年配の旧友にひさしぶりに会って、「この人は年齢以上に老けて見える」と感じたことはないだろうか。同年齢の人であっても老化速度には個人差があることが、最近の研究で明らかになった。
老化は若い時から始まる 38歳の青年の「生物年齢」が60歳のことも
 年齢38歳の約1,000人の男女を対象とした研究で、年齢差は1年未満にもかかわらず、「生物年齢」(biological ages)には20歳代後半から60歳代まで大きな開きがあることが明らかになった。

 ニュージーランドのダニーデンで実施されている「ダニーデン研究」は、1972~1973年に生まれた1,000人以上の参加者を対象に、生まれてから現在までの健康状態を調査している画期的な縦断調査だ。

 米国のデューク大学加齢研究センターのダン ベルスキー氏、テリー モフィット氏らの研究チームは、ダニーデン研究に参加した2011年時点で38歳だった954人の男女を対象に、26歳から38歳まで追跡して調査した。この研究は「米国科学アカデミー紀要」に発表された。

 研究チームは、18種類のバイオマーカーを調べ、参加者の老化プロセスを調査した。具体的には、「腎臓、肝臓、肺機能、代謝および免疫系の機能」、「HDLコレステロール」、「心肺フィットネス」、「肺機能」、「染色体末端を保護する役目をもつテロメアの測定」(テロメアは加齢に伴って短くなる)、「歯の健康」、「眼底の細小血管の状態」などを検査した。

 これらのバイオマーカーにもとづいて、研究チームは38歳の研究参加者を30歳から60歳までに分類する「生物年齢」を設定した。その結果、参加者の生物年齢は、30歳から60歳まで幅広い差があることが明らかになった。

 生物年齢は、大部分の人では暦年齢のプラスマイナス2~3年以内だったが、年齢以上に若さを維持している人や、逆に老化している人もいた。暦年齢は38歳であるにもかかわらず、生物年齢が50歳を超えている人は、12年間に1年に平均1.2歳ずつ歳をとっていたことになる。

環境的な要因を改善すれば、老化を抑えられる可能性
 多くの人は若いときには自分が生活習慣病を発症するとは考えず、老化のプロセスと無関係だと考えがちだ。しかし、実際には「老化には個人差があり、26歳から38歳の青年期に年齢以上の老化が起きている人もいる。逆に年齢よりも生物年齢が若い場合もありえる」という。

 「老年医学は高齢者を対象としていますが、高血圧症や2型糖尿病、心臓病などの加齢に伴い発症が増える疾患を詳しくみると、若年者で予備群が増えている可能性があります。若いうちに体の老化について調べる必要があります」と、ベルスキー氏は言う。

 米国のデューク大学の研究で、参加した38歳の男女の顔写真を別の人に見せて、年齢をあてるテストが行われた。暦年齢より生物年齢が老けている参加者は、顔も老けて見えることが明らかになったという。

 「老化に影響する遺伝的な要因は20%に過ぎず、多くは環境的な要因によるものです。生活習慣を改善し、環境的な要因を変えれば、加齢を抑えられる可能性があります」と、モフィット氏は言う。

 自分の生物年齢を知ることが、行動変容を促す動機付けとなる可能性がある。そのために多くのバイオマーカーを調べ、多因子的な方法で生物年齢を特定する必要がある。「現状のやり方では費用がかかり過ぎるので、もっと早い、安く、正確な方法を開発する必要があります」と、モフィット氏は言う。

 「病気を個別に治療するだけでは、まるでゲームのモグラ叩きのようになってしまいます。加齢に伴い発症リスクが上昇する病気を予防するために、根底にある体の老化そのものを解明する必要があります」と、ベルスキー氏は指摘している。

Researchers Learn To Measure Aging Process In Young Adults(デューク大学 2015年7月6日)
Method to measure pace of aging in young people developed(DMHDRU 2015年7月7日)
Quantification of biological aging in young adults(米国科学アカデミー紀要 2015年7月28日)

[Terahata]

関連トピック

一無・二少・三多 ▶ 「無煙」喫煙は万病の元

2021年01月15日
喫煙が「排尿症状」の悪化の要因に とくに若年男性でタバコの悪影響は深刻 世界初の大規模研究を実施
2021年01月15日
女性の7割が月経前に身体不調を経験 4人に1人は仕事や家事に支障が 「妊娠前(プレコンセプション)ケア」が必要 女性ビッグデータ調査
2020年12月18日
【新型コロナ】日本のワクチン開発はここまで進んでいる 日常での感染防止をしっかり続ける必要が
2020年12月14日
【新型コロナ】がん検診の受診者が減少 このままだと死亡リスクが上昇 コロナ下でも「がん検診は必要」
2020年11月06日
【2019年国民健康・栄養調査2】男性の38%、女性の41%が「睡眠時間が6時間未満」 喫煙率は10年間で最低を更新

一無・二少・三多 ▶ 二少(少食・少酒)

2021年01月15日
日本人に「低炭水化物ダイエット」は効果がある? 肥満やメタボの食事療法としては勧められる?
2021年01月15日
女性の7割が月経前に身体不調を経験 4人に1人は仕事や家事に支障が 「妊娠前(プレコンセプション)ケア」が必要 女性ビッグデータ調査
2021年01月15日
働く人がうつ病になると 「就労の継続への不安」「新型コロナは心身にストレス」 うつ病患者対象の全国調査
2020年12月18日
【新型コロナ】日本のワクチン開発はここまで進んでいる 日常での感染防止をしっかり続ける必要が
2020年12月14日
【新型コロナ】がん検診の受診者が減少 このままだと死亡リスクが上昇 コロナ下でも「がん検診は必要」

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年01月15日
【新型コロナ】医療現場での感染リスクと予防効果を解明 医療者への感染を防ぐために 健診・保健指導にも応用
2021年01月15日
【Withコロナ時代】運動・スポーツを通じて健康二次被害を防ぐポイントは? スポーツ庁がガイドラインを公表
2021年01月15日
「肥満」の原因は自分だけのものではない 子供時代の虐待体験も成人後の肥満に影響 2万人を調査
2021年01月15日
女性の7割が月経前に身体不調を経験 4人に1人は仕事や家事に支障が 「妊娠前(プレコンセプション)ケア」が必要 女性ビッグデータ調査
2021年01月15日
働く人がうつ病になると 「就労の継続への不安」「新型コロナは心身にストレス」 うつ病患者対象の全国調査

テーマ ▶ 抗加齢(アンチエイジング)

2018年08月24日
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要
2018年08月06日
2016年度の特定健診の実施率は51.4% 特定保健指導は18.8%で伸び悩み
2018年08月06日
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に
2018年06月22日
「老年医学推進5ヵ年計画」を学会が発表 人生100年時代の高齢者医療
2018年06月13日
水虫に対策するための8つの方法 高齢者の「白癬菌」は要介護のリスクに
スローガン川柳審査中
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート