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街の歩きやすさが生活習慣病の発症リスクに直結 

キーワード: 高血圧 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 三多(多動・多休・多接)

 公共の交通機関が発達しており、車を使わずに歩いて日常の用事を済ませられる地域に住んでいる人は、高血圧や2型糖尿病のリスクが低いことが判明した。「あなたが住んでいるコミュニティーの環境が健康の維持に大きく影響します。なるべく車を使わずに、歩いて移動することで高血圧や糖尿病などの発症を抑えることができます」と研究者は述べている。
街の歩きやすさを点数化した「ウォーク・スコア」
 コミュニティー環境と高血圧、糖尿病、心臓病などの関連を調査した2件の研究が、フロリダ州オーランドで開催された米国心臓学会(AHA)の会議で発表された。ひとつはカナダで行われた研究。

 米国のウォークスコア・ドットコム(Walkscore.com)が公開している「ウォーク・スコア」は、住宅や地域社会を歩きやすさの観点から評価するサービスだ。住所で検索すると、鉄道やバスなどの公共交通機関の充実度や、勤務先、食料品店、銀行、図書館、コーヒーショップなどの施設が歩いて行ける距離にどれだけあるかをグーグル・マップで検索し、都市の「歩きやすさ」を得点にして表示する仕組みになっている。

 カナダ・トロントの臨床評価研究所のマリア チウ氏らは、オンタリオ州の住民を対象に調査を行った。「ウォーク・スコア」で得点の低い地域から高い地域に移住した1,000人以上の住民のグループと、得点の低い地域に住み続けた1,000人以上の住民のグループを比較した。

 約10年追跡して調査した結果、「ウォーク・スコア」の得点の高い、つまり車を使わずに歩いて日常の用事を済ませられる地域に移住した人は、高血圧の発症リスクが54%低下していることが明らかになった。また、車に依存しないで生活できる環境に住んでいる人はそうでない人に比べ肥満が少ないことも分かった。

 健康を維持するためにウォーキングなどの運動を習慣として行うと効果的だが、日常の身体活動量を増やすことも必要だ。生活に必要なインフラに歩いてアクセスできるコミュニティー環境は、健康増進に大きな影響力をもつと考えられている。

 「ウォーク・スコア」は米国、カナダ、オーストラリアの各都市のスコアを公開しており、すでに家探しや保健指導などにも広く利用されているという。

歩くために良好な環境を整備するこが健康維持に役立つ
 「米国では近所に移動するときにも車を使い、体を使わない生活が定着しています。過去10年間の調査で男女ともに1日あたりの歩数が減っている、すなわち身体活動量が減少している傾向がみられます。もっと日常的に注意して体を動かすべきであり、日常で歩く頻度が高い地域に住むことが、生活習慣病を予防し、心臓病のリスクを下げるのに役立ちます」と、チウ氏は言う。

 「都市設計では効率や便利さ追究するだけではなく、身体活動量を増やすことにも着目するべきです。オフィスに出勤するとき、休日に買い物をするときなど、公共交通を利用してなるべく歩くようにすると、長期には健康に大きな便益がもたらされます」。

 「ウォーク・スコア」を使い米バージニア州のリッチモンドで行われた調査によると、スコア(得点)の高い地域のベスト3位は、(1)バージニア州立大学(93点)、(2)モンローウォード(93点)、(3)キャリータウン(92点)だった。これらの地域では歩きやすい道や公共インフラが整備されており、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病の発症率も低い傾向があることが示された。

 「歩きやすい町作りをしてある地域の住民は、快適に暮らせるだけでなく、自然に日常生活に運動を取り入れることが可能になります。ウォーキングはいつでもどこでも行え、費用も必要ありません。歩くために良好な環境を整備することは、健康維持においてシンプルで強力なサポートとなります」と、チウ氏は指摘する。

公共交通で通勤すると糖尿病や高血圧、肥満を予防できる
 もう1件の研究は日本で行われたもので、大阪府の守口市民保健センターで定期的な健康診断を受けている49~54歳の5,908人の成人を対象に行われた。

 それによると、バスや電車などの交通機関を利用している人は、車で通勤している人よりも健康的で、糖尿病や高血圧、肥満の割合が低いという。公共交通機関を利用している人は、マイカー通勤の人と比べて、過体重のリスクが44%、高血圧のリスクが27%、糖尿病のリスクが34%低かった。

 理由のひとつとして考えられるのは、通勤に公共交通機関を利用する人は、長い距離を毎日歩いている可能性があることだという。「日本の都市部では、徒歩や自転車を利用した通勤時間が片道20分以上の場合には、公共交通機関や車を利用する人が多い」と、研究者は述べている。

 日常での移動ではなるべく車を使わず、公共の交通機関を使った方が健康に良いことが明らかになった。加えて運動を習慣として行うことで、肥満や高血圧、糖尿病を防ぐことができる。保健指導では、通勤の方法について患者に尋ねる必要がある」と指摘している。

Taking public transportation instead of driving linked with better health(米国心臓学会 2015年11月8日)
Moving to a walking neighborhood is good for your blood pressure(米国心臓学会 2015年11月8日)

(Terahata)

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