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メタボリックシンドロームが認知症リスクを上昇 若いうちから対策を

キーワード: 肥満症/メタボリックシンドローム 認知症 セルフケア 健診・保健指導 身体活動・運動不足

 メタボリックシンドロームの人は、認知症の前段階とされる「軽度認知障害」(MCI)の発症リスクが高いことがアジア人を対象にした研究で判明した。適切な対策をしないと、認知症を発症する確率が高くなる。「メタボリックシンドロームを解消し、認知症を予防することが重要です」と研究者は呼びかけている。
軽度認知障害は若い頃から進行する
 高齢化にともない、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)を発症する人が増えている。MCIの発症リスクが高まる70歳以上の高齢者を対象とした調査が必要だが、実現するのが難しいという課題がある。

 「今回の研究では55歳以上(平均年齢65歳)の比較的若い年齢層の人を対象に調査を行いました。結果としてMCIは考えられている以上に若い頃から症状が進むことが明らかになりした」と、シンガポール国立大学のシ ペン ン氏は言う。

 研究は、2003~2009年にシンガポールの5つの地域で、1,519人の男女を対象に行われた。参加者は調査開始時に認知機能の異常がみられなかった。22.4%(340人)がメタボリックシンドロームと判定された。

 6年間の追跡期間中に10.6%(141)人が軽度認知障害を発症し、メタボリックシンドロームと判定された人の14%、そうでない人の8%がそれぞれ発症した。
メタボリックシンドロームが軽度認知障害のリスクを上昇
 調査の結果、「メタボリックシンドローム」、手足はやせているが腹部など体に脂肪が付く「中心性肥満」、「2型糖尿病」、「脂質異常症」などのある人は、そうでない人に比べ、軽度認知障害の発症リスクが上昇することが明らかになった。

 軽度認知障害の発症リスクは、メタボリックシンドロームで1.46倍に、中心性肥満で1.41倍、2型糖尿病で2.84倍、脂質異常症で1.48倍にそれぞれ上昇した。

 腹囲周囲径の増加、中性脂肪値の上昇、善玉のHDLコレステロールの低下などは心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患のリスク要因となるが、最近の研究では認知症の発症にも関連していることが分かっている。

 「メタボリックシンドロームと軽度認知障害の発症に関連があることがはじめて分かりました。軽度認知障害は、本格的な認知症へと進行するリスクが高い状態です。効果的な予防法の開発が求められています」と、ン氏は言う。

 血糖を下げるホルモンであるインスリンは脳においても代謝を促す重要な役割を担っている。糖尿病や耐糖能異常のある人の体では、インスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性が起きていて、脳のインスリン代謝にも悪影響をあらわれているおそれがあるという。
認知症を防ぐために中年期の体重コントロールが重要
 「メタボリックシンドロームや肥満、糖尿病といった疾患が、脳内で炎症を引き起こす毒性のある物質を増やしている可能性もあります。メタボリックシンドロームが脳にもたらす悪影響は中年期を過ぎるとあらわれます」と、ン氏は言う。

 運動不足、不健康な食事、喫煙習慣、過剰なストレスによるメンタル不調はメタボリックシンドロームのリスクを上昇させる。不健康な生活習慣をもつ人はメタボリックシンドロームになりやすく、そうなると生活習慣がさらに悪化するという悪循環に陥り、結果として認知症のリスクを上昇させるおそれがあるという。

 「中年期に体重を適正にコントロールすることで、将来の認知症の発症をどれだけ予防できるかを解明するためにさらに研究が必要ですが、なるべく若い時期にメタボリックシンドローム対策を始めることが賢明であること確実です」と強調している。

 この研究は医学誌「JAMA Neurology」オンライン版に発表された。

Metabolic Syndrome and the Risk of Mild Cognitive Impairment and Progression to Dementia(JAMA Neurology 2016年2月29日)

(Terahata)

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