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子宮頸がんワクチンの接種を推奨 日本小児科学会など「体制は整った」

キーワード: がん 健診・保健指導

 日本小児科学会や日本産科婦人科学会などは、子宮頸がん予防ワクチンのついて、「積極的な接種を推奨する。希望する女性に対して、体制が整ったことを周知し、接種を受けやすい環境を整えるべきだ」と発表した。
女性がワクチンの恩恵を受けられない現状を憂慮
 日本小児科学会や日本産科婦人科学会など15団体でつくる「予防接種推進専門協議会」は、「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種推進に向けた関連学術団体の見解」を発表した。

 子宮頸がん予防ワクチンは2013年4月から法律にもとづき定期接種化されたが、ワクチンの接種後に全身倦怠感や運動機能障害、脳機能障害などが報告されたのを受け、厚生労働省は2013年6月から、接種勧奨を一時中止としている。

 協議会は「子宮頸がん予防ワクチンの積極的な接種を勧奨するのを中止している現状は、女性が本質的にワクチンによるがん予防という恩恵を受けられないことになり、極めて憂慮すべき事態」と説明。

 「ワクチン接種を希望する女性に対して、体制が整ったことを周知し、接種を受けやすい環境を整えるべきだ」と強調している。
ワクチンはがん予防に有効「確固たる根拠がある」
 子宮頸がんによる死亡率は国内では、1995~2005年で3.4%増、2005年~2015年では5.9%増加すると予想されていて、増加傾向が加速している。協議会は「この2年半の間に子宮頸がん予防ワクチンをとりまく国内の状況は大きく変化した」と述べている。

 「ワクチン接種による有害事象に対して国内外で再調査が行われた」「症状に対する報告体制、相談体制、専門機関が全国に整備された」「健康被害に遭った接種者に対する救済が開始された」などの対策が講じられたことを指摘。

 これを受けて、協議会は3つの理由をあげて、「専門的な見地から、ワクチンの積極的な接種を勧奨する」と発表した。根拠となった理由の1つは、同ワクチンにがん予防に対する「確固たる有効性」が示されていることだ。

 2016年1月時点で、WHO加盟国の33.5%にあたる65ヵ国が同ワクチンを国の予防接種プログラムとして実施。導入された2007年からの3~4年間で子宮頸がんの前がん病変の発生率が約50%減少していることがオーストラリア、アメリカ、デンマーク、スコットランドから報告されている。
有害事象の発生時も含めた十分な接種体制か整ってきた
 2つ目の理由は、国内外で行われたワクチン接種による副反応に関しての再調査が行われたこと。国内では、約890万回の接種のうち副反応の疑い報告が2,584人(のべ回数の0.03%)、そのうちの約90%が回復または軽快し通院不要になっている。未回復の人はのべ接種回数の約0.002%で、10万接種あたり2人が未回復の症状を残している。

 さらに、欧州の健康当局、フランスなどの大規模な安全性プロファイルの再調査によれば、「複合性局所疼痛症候群」(CRPS:外傷をきっかけとして、慢性的な痛みなどを生じる神経系の疾患)や、「体位性起立性頻拍症候群」(POTS:立ち上がったときにふらつきや疲労感などが起き、著しい心拍数の増加を生じる疾患)、自己免疫疾患の発生率は、ワクチン接種者と一般集団で差がないということが示された。

 3つ目の理由は、ワクチン接種後に生じた症状に対する診療体制・相談体制、専門機関が全国的に整備されたこと。診療の手引きも医療機関に配布され、「健康被害にあった人への救済も開始された。有害事象の発生時も含めた社会としての十分な接種体制か整ってきた」としている。

 WHO(世界保健機関)もワクチン接種の積極的勧奨が差し控えられている日本の現状を憂慮しているという。

 「若い女性たちは、本来予防可能であるHPV関連がんの危険にさらされたままになっている。不十分なエビデンスにもとづく政策決定は、安全かつ効果的なワクチン使用の欠如につながり、真の被害をもたらす可能性がある」としている。
厚労省はワクチンと有害事象の因果関係を否定
 子宮頸がん予防ワクチンの接種後に有害事象の報告が相次いだ問題で、厚労省は2013年から2つの研究班を立ち上げ、病態や治療法の解明を進めてきた。

 今年3月に発表された研究班の中間報告によると、ワクチン接種後に障害が出た10代の少女33人の血液を採取してHLA遺伝子の型を調べたところ、約8割の26人がある特定の型をもっていた。一般的な日本人の集団の2倍以上を占めていたため、障害の発症に関連している可能性があると分析した。

 これについて、厚生労働省は「ワクチンと脳の症状との因果関係を示したものではない。また、少数のデータであるため、確かなものとはいえない」とする見解を発表した。

 約8割という数字は「症状が出た女性のみについて集計されたもの」で不確かだとしている。この見解は研究班にも確認済みだという。大学の研究者による研究班の研究成果に対して厚労省側がこうした見解を出すのは異例だ。

予防接種推進専門協議会
ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん予防ワクチン)(厚生労働省)
第11回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き(日本医師会・日本医学会 2015年8月)
[Terahata]

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