一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

日本の喫煙対策は遅れている 屋内では100%禁煙に たばこ白書を改定

キーワード: COPD(慢性閉塞性肺疾患) がん タバコ病 「無煙」喫煙は万病の元

 厚生労働省の検討会(座長:祖父江友孝・大阪大学教授)は「喫煙と健康影響」に関する報告書(たばこ白書)をまとめた。日本の受動喫煙対策を「世界最低レベル」とし、公共施設や飲食店など不特定多数が利用する室内の全面禁煙を提言した。白書の改定は15年ぶり。
喫煙が15のがんの原因に
心疾患・脳卒中・糖尿病のリスクも上昇
 今回、白書としてはじめて、日本人での喫煙と病気の因果関係を、「レベル1(十分)」「レベル2(示唆的)」「レベル3(不十分)」「レベル4(ないことを示唆)」の4段階で科学的に判定した。
 喫煙が原因の年間死亡数は世界では約500万人、受動喫煙では約60万人と報告されている。日本人の喫煙による年間死亡者は約13万人、受動喫煙では約1万5,000人と推計されている。

 がんを部位別にみると、肺がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、鼻腔・副鼻腔がん、食道がん、胃がん、肝がん、膵がん、膀胱がん、子宮頸部がんについては、喫煙との因果関係が「レベル1(十分)」と判定した。

 喫煙と大腸がん、乳がん、子宮体がん、腎盂尿管・腎細胞がん、前立腺がん死亡、急性骨髄性白血病については「レベル2(示唆的)」と判定。

 また、喫煙は循環器疾患も引き起こす。3つの疾患(虚血性心疾患、脳卒中、アテローム性動脈硬化症)について評価したところ、虚血性心疾患、脳卒中、腹部大動脈瘤、末梢性動脈硬化症について、「レベル1(十分)」と判定した。

 喫煙は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸機能低下、結核死亡も引き起こす。それぞれ「レベル1(十分)」と判定。

 たばこは、2型糖尿病の発症とも関連がある。禁煙による糖尿病のリスクの減少について日本人を対象とした研究は多くないが、禁煙によって耐糖能異常が改善するなど、リスクが減少するのは明らかで、「レベル1(十分)」と判定された。

 たばこは喫煙者以外にも受動喫煙の弊害をもたらす。受動喫煙によって肺がん(レベル1)、乳がん、鼻腔・副鼻腔がん(レベル2)のリスクがそれぞれ高まる。受動喫煙は虚血性心疾患と脳卒中のリスクも上昇させる(レベル1)。
喫煙室を設置せず、屋内の100%禁煙化を目指すべき
 2013年の国民健康・栄養調査によると、成人の喫煙率は約19%と近年減少傾向にあるが、若年者や女性では喫煙率が高い。

 また、飲食店や職場などで受動喫煙する機会が多い。たばこを吸わない人の33%が職場で、47%が飲食店で、月1回以上受動喫煙すると回答した。家庭内でほぼ毎日受動喫煙している20歳以上の割合は9%に上る。

 世界保健機関(WHO)は「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(FCTC)を2005年に制定、2008年にはたばこ対策を7項目にまとめた「MPOWER」を作成した。

 それによると、日本で達成度が高いのは「たばこの使用と予防政策のモニター」のみで、「受動喫煙の防止」「脱たばこ・メディアキャンペーン」「たばこの広告・販売・後援の禁止」の3項目は「最低」だ。

 日本では、2013年の健康増進法や2015年の労働安全衛生法の改正により受動喫煙を防止することが「努力義務」とされた。学校や病院、官公庁などの禁煙化が進んできたが、喫煙室を設置してもたばこ煙の漏れが防止できないことや、喫煙可能な店舗での受動喫煙などの問題はいまだ残っている。

 世界の49ヵ国では、医療機関や大学・学校、飲食店、公共交通機関などの公共の場で「屋内全面禁煙」とする法規制をしている。そうした国では、喫煙関連の疾患による入院リスクが減少したことが報告されている。

 報告書では受動喫煙対策として「日本でも喫煙室を設置することなく、屋内の100%禁煙化を目指すべきだ」と強調している。
喫煙対策は自治体の取り組みが先行
 喫煙対策では地方自治体の取り組みが先行している。神奈川県は、2010年に「受動喫煙防止条例」を全国に先駆けて施行した。官公庁、病院、学校、物品販売店などを原則として「禁煙」として、飲食店、宿泊施設、娯楽施設などでは「禁煙」または「分煙」の措置を義務付けている。

 兵庫県は2004年に「受動喫煙防止対策指針」を策定し、建物内禁煙または完全分煙の100%実施を目標に掲げた。2013年には「受動喫煙防止条例」を施行。2012~2014年の調査では、飲食店の9割が、対応済みまたは対応予定と回答した。

「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」について(厚生労働省2016年9月2日)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ がん

2017年11月02日
お酒を飲むと顔が赤くなる人は注意 飲み過ぎると怖い「がんリスクの上昇」
2017年08月25日
【参加者募集】 働く女性の乳がんセミナー「乳がん患者さんの恋愛・婚活・結婚生活」
2017年08月16日
がん患者の家族が経験する葛藤の実態 がん患者支援に向けた調査結果
2017年08月10日
【参加者募集】 働く女性の乳がんセミナー「乳がん患者さんの恋愛・婚活・結婚生活」
2017年07月05日
乳がん検診は今後はどう変わる? 「高濃度乳房」の実態調査を開始

一無・二少・三多 ▶ 「無煙」喫煙は万病の元

2017年10月06日
「血糖値スパイク」を食事と運動で改善 「糖をはかる日」講演会(1)
2017年10月06日
「血糖値スパイク」を薬物療法で改善 「糖をはかる日」講演会(2)
2017年10月03日
日本の糖尿病有病者は1000万人超 予備群は減少 国民健康・栄養調査
2017年06月21日
東京糖尿病療養指導士(東京CDE)、東京CDS 2017年度の講習会の日程を公開
2017年05月11日
全国生活習慣病予防月間2017、イラスト受賞作品が決定!

疾患 ▶ COPD(慢性閉塞性肺疾患)

2017年05月11日
全国生活習慣病予防月間2017、イラスト受賞作品が決定!
2017年04月05日
親が喫煙すると子どもの肥満が増える 厚労省が13歳2.5万人を調査
2017年01月06日
[ 2/8 市民公開講演会参加者募集中!] 全国生活習慣病予防月間2017
2016年11月25日
受動喫煙の場所は「飲食店」「職場」 たばこ対策を望む声が増加
2016年11月25日
日本の「喫煙対策」は待ったなし 4つの方法でタバコを今度こそやめる

疾患 ▶ タバコ病

2017年08月16日
受動喫煙により大動脈疾患リスクが2倍超に増加 家庭外の受動喫煙は深刻
2017年05月11日
全国生活習慣病予防月間2017、イラスト受賞作品が決定!
2017年04月05日
親が喫煙すると子どもの肥満が増える 厚労省が13歳2.5万人を調査
2017年03月06日
若年者や未成年者の「禁煙治療」を推進 日本禁煙学会が指針を公表
2017年02月17日
日本の喫煙対策は「最低レベル」 たばこを断つために必要な知識
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典
※一般社団法人 日本生活習慣病予防協会と名称の類似した団体がありますが、当協会との関わりは一切ありませんので、ご留意願います。