一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

精神面の健康が運動に影響 ポジティブに生きている人は運動をする

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム ストレス関連疾患/適応障害 セルフケア 身体活動・運動不足

 精神面の健康を維持している中高年は、10年が経過した後も運動や身体活動を活発に維持している可能性が高いことが明らかになった。「心の健康を維持することは、体の健康を維持するために重要です。運動を続けるために、健全な心理状態が良い動機付けにつながります」と、研究者は述べている。
心の健康を維持している人は健康になりやすい
 高齢者の心の健康と、運動や身体活動の間には、強い関連性がみられるという調査結果を米国のチャップマン大学の研究チームが発表した。過去の調査でも、中高年から高齢者にかけて心身の相関はさまざまなかたちで影響することが報告されている。高齢者に運動や身体活動の指導をする上で重要な知見となると研究者は述べている。

 チャップマン大学心理学部・行動健康学科のジュリア ベーム氏らが過去に行った調査は、生活で充実感をもっている、活力を感じている、満足度が高いといったポジティブな感情をもっている人は、5年後に心臓病や心血管疾患、脳卒中、がんを発症するリスクが低かったり、これらの疾患の進行が比較的良好である傾向があることを確かめている。

 一方で、運動や身体活動が気分の改善や精神面での健康を導くことが、多くの研究が報告されている。つまり、身体活動性はがんや心疾患などの疾患リスクを低減させるだけでなく、精神的な健康を維持するためにも重要だ。

 加えて、心身ともに健康であると、心疾患や認知症、総死亡リスクが低減する傾向があることは広く指摘されている。「心の健康を保っている人は、運動や身体活動を活発に行う傾向が強く、結果として病気になりにくく、病気になっても予後が良好で、健康寿命も延びるのではないかと考えられます」と、ベーム氏は言う。
人生に充実感を抱いている人は運動をしている
 ベーム氏らは、人生に充実感を抱いていたり、幸福感をもっている、楽観的である人が、実際に運動や身体活動性の取り組む割合が高いのではないかと考えた。そこで、50歳以上の英国人9,986人を対象に、11年間追跡して調査を行った。参加者の平均年齢は63.7歳だった。

 参加者に、精神面の健康を測るための心理テスト(Psychological Wellbeing Test)を受けてもらい、自己の現状を評価してもらった。心理テストでは、主に次の項目について尋ねた――
「自分の個性的なところが好きだ」(自己受容)
「ときには他人と意見が合わないこともあっても、自分の意見には自信がある」(自立性)
「新しい経験や考え方に挑戦することは重要だと思う」(成長)
「自分の人生をコントロールしていると感じている」(環境制御)
「人生を無為に過ごす人もいるが、自分は違う」(人生の目的)
「他者と気持ちや時間を共有したいという気持ちがある」(肯定的な対人関係)

 11年の研究期間中に、参加者に職場と余暇時間での身体活動の頻度と強度について6回に分けて質問し、運動や身体活動の量に応じて4群に分けた。

 その結果、精神面の健康を維持しており、人生をポジティブに生きている人は、そうでない人に比べ、運動や身体活動が多く活発に体を動かしている割合が1.28倍に増えることが判明した。逆に、精神面で不健康な人は活発に体を動かしている割合が0.79倍に減少した。
保健指導では心のケアをすることも重要
 「今回の研究では、心理的な幸福度のレベルが高い人は、10年間で運動や身体活動のレベルも高まる可能性が高いことが示唆されました。つまり、心理的な幸福度が高く心の健康を維持している人は、高齢になっても体を活発に動かしており、体の健康も維持しやすいということです」と、ベーム氏は言う。

 「保健指導を行う専門家は、多くの場合で運動習慣のない人に運動を続けてもらうのに手こずっています。高齢化社会において、心理面にも配慮することが、身体活動を増やし健康を維持するために必要である可能性があります」と、指摘している。

 心の健康を増進することは、体の健康を維持するためにも必要だ。多くの人は中年期を過ぎると、運動や身体活動性の度合いが減少し、高齢になるにつれてさらに低下し、とりわけ75歳を超えたあたりからは極端に低下する。

 「身体活動を低下させる因子が何であるかを明らかにし、何が改善可能かを見極めることが、高齢者に運動に参加してもらうために必要です。心の健康を改善することが、社会の大部分の層の健康状態を改善するために効果的である可能性があります」と、ベーム氏は強調している。

Psychological well-being and physical activity in older adults(チャップマン大学 2016年12月1日)
Maintaining Healthy Behavior: a Prospective Study of Psychological Well-Being and Physical Activity(journal Annals of Behavioral Medicine 2016年11月7日)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2019年12月02日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 臨床試験で実証
2019年12月02日
女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月28日
「10月8日は、糖をはかる日2019」講演会レポート & 血糖値アップダウン写真コンテスト優秀作品公開
2019年11月22日
妊娠中の長時間労働や夜勤が健康リスクに 全国の約10万人の女性を調査 エコチル調査
2019年11月22日
ナッツが肥満や糖尿病のリスクを低下 ジャンクフードをナッツに置き換える食事法

疾患 ▶ 高血圧

2019年11月22日
ナッツが肥満や糖尿病のリスクを低下 ジャンクフードをナッツに置き換える食事法
2019年11月22日
保健指導で「食べる順番」に重点をおいた食事指導をすると減量効果が大きい
2019年11月22日
肥満・メタボの増加の原因は小児・若年期にある ユニセフ「世界子供白書2019」
2019年11月12日
魚を中心とした日本食は健康食 魚油のサプリメントについては賛否あり
2019年11月12日
日本高血圧学会が「台風19号により被害を受けられた皆さまへ」を公表

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2019年12月02日
肥満やメタボに対策し「フレイル」を予防 心身の活力低下を防ぐ3つの条件とは
2019年12月02日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 臨床試験で実証
2019年12月02日
女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月22日
腸内細菌が内臓脂肪に影響 内臓脂肪の少ない人に多い菌が判明 健診のビッグデータを分析
2019年11月22日
ナッツが肥満や糖尿病のリスクを低下 ジャンクフードをナッツに置き換える食事法

疾患 ▶ 脂質異常症(高脂血症)

2019年11月22日
ナッツが肥満や糖尿病のリスクを低下 ジャンクフードをナッツに置き換える食事法
2019年11月22日
保健指導で「食べる順番」に重点をおいた食事指導をすると減量効果が大きい
2019年11月22日
肥満・メタボの増加の原因は小児・若年期にある ユニセフ「世界子供白書2019」
2019年11月12日
魚を中心とした日本食は健康食 魚油のサプリメントについては賛否あり
2019年11月06日
食事の改善で「腎臓病」のリスクを減らせる 高血圧・糖尿病・肥満がCKDの要因

テーマ ▶ セルフケア

2019年09月12日
認知症患者を介護する家族は睡眠不足になりやすい 睡眠は保健指導で改善できる
2019年08月23日
「ワークライフバランス」の改善の効果 生活満足度は女性より男性で改善 34ヵ国を比較
2019年07月31日
「口から食べる」ことが健康維持に役立つ よく噛むとホルモン分泌が増える
2019年06月24日
座ったままの生活で死亡リスクは上昇 「1日30分、体を動かそう」
2019年06月12日
「生活にゆとりのない」家庭は食育に関心がない 子供の孤食や栄養バランス不足に親の生活習慣病が影響

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2019年12月06日
【2/5市民公開講演会「多動で生活習慣病・がん予防」参加者募集中!】全国生活習慣病予防月間2020
2019年10月10日
運動が体の老化を抑制するメカニズムを解明 骨に加わる力が炎症を抑制
2019年09月17日
毎日の家事が女性の寿命を延ばす 軽い身体活動を積み重ねると死亡リスクが低下
2019年09月11日
筋肉の質の低下を決める3つの要因が判明 高齢者の筋肉を維持するために 名古屋大学
2019年08月30日
筋力アップで糖尿病に対策 血糖値の上昇を抑える 週1回の筋トレで効果

疾患 ▶ ストレス関連疾患/適応障害

2019年07月11日
高齢者の難聴は「外出活動制限」「心理的苦痛」「もの忘れ」を増やす 13万人強を調査
2019年07月10日
メンタルヘルスケアが糖尿病患者の寿命を延ばす 血糖コントロールも改善
2019年06月06日
【健やか21】「自殺予防」リーフレットを公開しました
2019年05月22日
糖尿病とともに生きることに10人に7人が疲れている 糖尿病のメンタル支援が必要
2019年03月27日
うつ病の発症原因は「仕事の不満足」 回復では「職場ストレス」が重要 職場でのヘルスマネジメント戦略
全国生活習慣病予防月間
大正製薬 コバラサポート
尿酸値PR
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート