一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

「生活不活発病」が熊本地震でも注目 「社会参加」「生きがい」で予防

キーワード: 心筋梗塞/狭心症 ストレス関連疾患/適応障害 「多接」活動的な生活 認知症 セルフケア

 心身の機能が低下する「生活不活発病」を新たに症状したり悪化させるケースが、熊本地震の発生により、被災した人の中に増えていると報告されている。「生活不活発病」を予防するために重要なのは、社会参加でいきいきとした充実した生活をおくることだという。
心身機能が低下し、生活活動が困難に
 「生活不活発病」は、「生活が不活発」なことによって生じる全身機能の低下をさす。局所的な症状(拘縮、筋力低下、褥瘡、静脈血栓症など)だけでなく、全身的な症状(心肺機能低下)や知的活動低下、うつ症状などがあらわれることもある。

 生活不活発病は「心身機能」「生活活動」「社会参加」が相互に関係し、悪化していくと考えられている。リスクの高い人では、まず心身機能全体が低下し、それにより生活活動が困難になる。そうなると、家庭内の役割や社会参加の範囲も狭くなり、さらに生活が不活発になるという悪循環に陥りやすい。

 一般に高齢者は「生活が不活発」になりやすく、いったん生じると悪化しやすい。また、地震などの災害による環境の変化は、社会参加の阻害条件として大きく、生活機能低下につながりやすい。
「生活不活発病」は熊本地震でも問題に
 2016年の熊本地震の後も、大分県の調査で「身体機能が低下した」と訴える高齢者が多数みつかった。「地震発生後、自宅建物の被害やライフラインの停止などにより、被災者は不便な生活を強いられる。避難所避難者のほか、自宅で不便な生活をおくる人も多い。高齢者は2週間動かずにいると体が衰えるので早めの対策が必要」と、大分県では注意を呼びかけている。

 介護予防には、要介護(要支援)状態になることを予防するという意味がある。具体的には、運動機能向上や栄養改善、口腔機能向上、閉じこもりの予防などだ。

 「介護予防というと、スポーツジムにあるようなマシーンを使って筋トレに励んでいる姿や、公民館やデイサービスなどで、みんなそろって体操やレクレーションをしている場面を思い浮かべる人が多いが、高齢者にとっては、生活が不活発にならないよう"生きがい"をもってもらうことも大切」と、大分県由布市の湯布院病院の衛藤宏氏は言う。

 介護予防のキーワードは「生活」と「生きがい」で、これらを達成するために、「ウォーキングなどの運動機能や筋トレによる筋力の向上に加えて、"まだまだやれるじゃないか"と心のあり方を変えて自信をもち、"何かやってみよう"という社会参加につなげていくことが真の介護予防」としている。
「心身機能」「活動」「参加」の3つの要素
 「生活不活発病」のもととなったのは「廃用症候群」(disuse syndrome)という概念。「疾患や障害による機能不全から活動性が低下し、身体部位が廃用になることで生ずる二次的障害」として理解されている。

 しかし、高齢化社会において、高齢者の介護や介護予防などの領域で、ひとつの疾患や障害に限らず、ADL(日常生活動作)能力の低下によって生じる、幅広い意味での二次的障害が問題とされるようになり、現在では「生活不活発病」と表現されることが増えている。

 「生活不活発病」という考え方のベースとなっているのは、「ICF」(国際生活機能分類)だ。ICFは「生きることの全体像」を示すために、2001年にWHO総会で採択された指標。

 ICFは「生活機能」の分類と、それに影響する「背景因子」(環境因子と個人因子)の分類で構成される。生活機能と障害について「心身機能・身体構造」「生活活動」「社会参加」の3つの要素で理解しようというのが「生活機能モデル」だ。
「社会参加が活発な状態」を目指す
 生活機能上の問題は誰にでも起りうるものなので、ICFは特定の人々のためのものではなく、「全ての人に関する分類」となっている。社会参加の具体的な手段が生活動作であり、さらに、これらの生活動作は、さまざまな心身機能から成り立っている。

 「生活不活発病」の提唱者であり、被災地での多くの調査などで注目されている大川弥生氏(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ロボットイノベーション研究センター 招聘研究員)は、「生活不活発病の予防・改善のポイントは、"生活を活発化する"こと。いきいきと充実した、楽しい生活を送ることがポイントで、それが生活不活発病を予防・改善する手段であり、目的でもある。具体的には"社会参加"が活発な状態」と指摘する。

 「生活不活発病を予防・改善するのは、その人が社会参加を通じて、いきいきと充実した生活を送ること」と、大川氏は強調している。

一連の熊本県熊本地方を震源とする地震による避難生活に伴う心身の機能の低下の予防について(厚生労働省)
生活機能低下予防マニュアル~生活不活発病を防ごう~(障害保健福祉研究情報システム)
介護予防の考え方と対策(大分県)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ 認知症

2017年06月22日
日本の介護の現状をレポート 「介護社会」の本格的な到来に備える
2017年03月22日
認知機能検査 75歳以上の運転免許更新で必須に 日本医師会が手引き
2017年01月27日
「生活不活発病」が熊本地震でも注目 「社会参加」「生きがい」で予防
2016年10月04日
アルツハイマー病を防ぐためにいま必要なこと 5つの方法で対策
2016年09月02日
保健指導用・健康事業用「教材・備品カタログ2017年版」の送付申込開始

疾患 ▶ 心筋梗塞/狭心症

2017年04月12日
糖尿病は心臓病や脳卒中の要因 5割以上が知らない NIPPON DATA
2017年04月12日
カロリーの摂り過ぎでなくてもメタボを誘引 原因の栄養成分が判明
2017年04月07日
「スローカロリー研究会」講演会レポート ゆっくり吸収されるカロリーの最新の成果
2017年03月09日
心臓病や脳卒中を予防するための「ライフ シンプル 7」で医療費を削減
2017年02月17日
日本の喫煙対策は「最低レベル」 たばこを断つために必要な知識

テーマ ▶ セルフケア

2017年06月15日
食育推進計画を策定した市町村は78%に上昇 「平成28年度食育白書」
2017年05月19日
バーベキューなどで食中毒を防ぐ方法 食中毒はこうして防ぐ
2017年05月02日
連休(GW)こそ健康管理に気をつけよう 8つの対策で連休を乗り切る
2017年05月02日
階段運動はコーヒーを飲むより効果的 たった10分の運動で活力が向上
2017年04月19日
東京都が外国人滞在者向け医療機関受診のための多言語ガイドブックを作成

一無・二少・三多 ▶ 「多接」活動的な生活

2017年06月27日
子どもの健康の地域間格差が拡大している可能性を発表
2017年06月27日
3つのアプリを開発「考えよう!いじめ・SNS@Tokyo」
2017年06月21日
東京糖尿病療養指導士(東京CDE)、東京CDS 2017年度の講習会の日程を公開
2017年03月22日
【健やか21】健やか親子21フォトコンテスト2016 大賞発表
2017年02月28日
「笑い」を医学的に検証 「笑い」のストレスマネジメント開発も

疾患 ▶ ストレス関連疾患/適応障害

2017年06月27日
3つのアプリを開発「考えよう!いじめ・SNS@Tokyo」
2017年05月24日
失業や再就職で脳卒中リスクは上昇 男性の方が女性よりも深刻
2017年05月10日
若い男性の気分UPにくるみが有効 無作為化二重盲検試験の結果
2017年05月02日
連休(GW)こそ健康管理に気をつけよう 8つの対策で連休を乗り切る
2017年04月26日
「ギャンブル依存症」患者のメカニズムが明らかに 脳の働きに違いが
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典
※一般社団法人 日本生活習慣病予防協会と名称の類似した団体がありますが、当協会との関わりは一切ありませんので、ご留意願います。