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「カロリー制限」は最強の食事療法 カロリー減少で寿命を延ばせる

キーワード: 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 「少食」食事は腹7~8分目 抗加齢(アンチエイジング) 食事

 「カロリー制限」を行えば、本当にがんや心臓病、2型糖尿病のリスクを減らせるのかが論争の的になっている。人間とサルを対象とした研究で、それぞれ「カロリー制限は効果がある」と結論付けられた。
カロリー制限で血圧、コレステロール、インスリン抵抗性が改善
 食事療法でのカロリー制限は、必要な栄養素を減らすことなく、カロリー摂取量のみを減らすことだ。動物実験ではカロリー制限をすると寿命が延びることが確かめられているが、もちろん人間でもカロリー制限は多くの恩恵をもたらす。

 肥満の人だけでなく、正常体重や過体重の人でも、適度なカロリー制限を続けると多くの健康増進の効果を得られることが、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が2015年に発表した研究で明らかになっている。

 カロリー制限によって、血圧、コレステロールの数値が低下し、血糖を下げるインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性が減少するなど、加齢に伴い悪化しやすい指標が改善し、寿命を延びすことを期待できるという。

 「CALERIE研究」(エネルギー摂取量の減少の長期的影響の包括的な評価についての研究)は、ワシントン大学、ルイジアナ州立大学ペニントン生物医学研究センター、タフツ大学、デューク大学などの研究チームが実施しているランダム化比較試験。国立加齢医学研究所(NIA)と国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)が資金を提供して行われている。
2年間でカロリーを25%減らすのが目標
 人間を対象とした試験では、食事の影響を正確に調査するのに数十年の時間が必要となるので、動物実験に比べ実施するのがはるかに難しい。研究チームは2年間という短期間に、カロリー制限が体にどのような影響をもたらすかを調査した。

 試験には、体格指数(BMI)の平均が25.1(21.9~28.0)の21~51歳の男女218人が参加。研究チームは参加者を無作為に、食事で25%のカロリー制限を目指す群と、カロリー制限を行わない群に分け、2年間追跡して調査した。

 カロリー制限をした群は、2年間で体重を15.5%減らすことを目標とした。カロリーを25%減らせば、2年間でこれくらいの体重減少を達成できるという。

 結果として、カロリー制限をした群は、食事のカロリーを平均して11.7%減らし、2年間維持することに成功した。体重は試験を始めた時点と比べて平均10.4%減らした。目標には到達しなかったが、カロリーと体重を大幅に減らすことができた。一方、通常の食事を続けた群では、カロリー摂取量と体重に変化はみられなかった。
カロリー制限をすれば健康に長生きできる
 カロリー制限をした群では、対照群と比較して、心血管疾患に関わる予測因子が有意に低下することが明らかになった。平均血圧は4%、総コレステロールは6%、それぞれ減少した。

 加えて、中性脂肪の値は低下、善玉のHDLコレステロールの値は上昇し、心臓血管疾患に関連する炎症因子であるC反応性タンパク質の値が47%低下した。

 さらに、カロリー制限によって、糖尿病リスクの指標であるインスリン抵抗性も改善、甲状腺ホルモン活性のマーカーであるT3(トリヨードサイロニン)も20%以上減少し、正常範囲内にとどまった。甲状腺活動の低下がより長い寿命に関連する可能性があることがいくつかの研究で示されている。

 特に空腹時の気分障害についても評価したが、カロリー制限によるメンタル面での悪影響はみられなかった。カロリー制限による重篤な有害事象は認められなかったが、少数の参加者で、体重減少に応じて一時的な貧血や骨密度の低下がみられた。食事のカロリーを制限するときには、臨床的なモニタリングが必要であることが示唆された。

 「健康的な食事と運動を続けることで、体を良い状態に保ちながら、歳を重ねることをできることを、私たちはもっと良く学ぶ必要があります」と、国立加齢医学研究所のリチャード ホーディス氏は述べている。
「カロリー制限は本当に有効か」 論争に終止符
 人間を対象とした試験で、カロリー制限が健康にかかわる指標を改善することが確かめられているが、カロリー制限を一生涯続けると体にどのような影響があらわれるかは不明だ。

 サルを使った実験で「カロリー制限は寿命を延ばす」という結果が得られている。これは、米国のウィスコンシン大学と国立加齢医学研究所(NIA)が協力して行った研究によるものだ。結果は、科学誌「ネイチャー コミュニケーションズ」に発表された。

 両研究チームは1980年代からアカゲザルを対象に、個別に研究を進めてきた。カロリー制限をしたサルと、自由に食事を与えたサルとで、心臓病や2型糖尿病など加齢に伴い増える病気や老化の状況を比較するためだ。

 ウィスコンシン大学は2009年に、カロリー制限を行ったサルではがんや心血管障害などの低下がみられ、生存率が向上したと報告。カロリー制限の有効性が示されたが、国立加齢医学研究所は2012年に、健康改善効果こそみられたが、生存率への影響はなかったと発表。両者の異なる結果が論争を呼んだ経緯がある。
カロリー制限で心臓病や2型糖尿病、認知症のリスクを減らせる
 今回、両チームで2015年7月までの互いのデータをもちより比較した。その結果、カロリー制限を始めた年齢はウィスコンシン大学で7~15歳なのに対し、国立加齢医学研究所は1~23歳と幅広かった。

 実験方法も異なり、大学より研究所の方が方カロリー制限は厳しく、大学の実験では糖度の高い加工食品が、研究所では自然食品がそれぞれ与えられていた。

 そこで、実験開始時の年齢を0~11歳、12~18歳、21~25歳に分けてあらためて解析した結果、中高年でカロリー制限を始めた場合は効果がみられることが判明。アカゲザルの平均寿命は26歳で、最長で40歳まで生きるという。

 両チームの研究には食い違いこそあったものの、カロリー制限が老化の抑制と健康改善に有効という結論は一致した。データを照合したことで、少食は中高年高から始めると効果が高いこと、食事の質によっても変わることなどが判明した。

 カロリー制限を行い、カロリー摂取量を30%減らすと、心臓病や2型糖尿病、認知症のリスクを最大で40%減らせることが明らかになった。インスリン抵抗性も、カロリー制限を行わないサルでは50%でみられたが、行うと10%に減少した。

 アカゲザルは、ゲノム組成が人間に近く、実験結果は人間にも適用される可能性が高いという。

 「老化に伴い増えるさまざまな病気は、食事をコントロールすれば予防できたり、発症を遅らせることができます。現代人の多くは食べ過ぎています。もしもあなたがカロリー制限を行い、より少ない量を食べるようになれば、それだけ寿命を延ばせる可能性が高いのです」と、ウィスコンシン大学医科大学院のロザリン アンダーソン氏は述べている。

NIH study finds calorie restriction lowers some risk factors for age-related diseases(アメリカ国立衛生研究所 2015年9月1日)
A 2-Year Randomized Controlled Trial of Human Caloric Restriction: Feasibility and Effects on Predictors of Health Span and Longevity(Journal of Gerontology: Medical Sciences 2015年7月17日)
CALERIE Research Network
Calorie restriction lets monkeys live long and prosper(ウィスコンシン大学 2017年1月17日)
Caloric restriction improves health and survival of rhesus monkeys(Nature Communications 2017年1月17日)

(Terahata)

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