2017年02月28日
「笑い」を医学的に検証 「笑い」のストレスマネジメント開発も
キーワード: ストレス関連疾患/適応障害 「多接」多様なつながり

近畿大学、吉本興業、オムロン、NTT西日本は、「笑い」の医学的検証を行い、「笑い」の測定方法と、「笑い」の習慣が身体や心理的健康に与える効果を解明するため、共同で研究を行うと発表した。
研究の第1ステージとして、2月15日より大阪の「なんばグランド花月」で、健常者を対象に研究を開始した。オムロン、NTT西日本が参画し、両社の高い技術力、ノウハウを駆使し、「笑い」のストレスマネジメントプログラムの早期開発を目指す。
新喜劇を見た観客の「笑い」をデータ化
「笑い」は人間にとって日常的な動作にも関わらず、その定義が曖昧なため国内外でさほど研究が進んでいない。一方で、精神疾患の患者は年々増加しており、厚生労働省は2010年に精神疾患による経済損失は年間約2.7兆円に上ると発表している。
医学部をもつ近畿大学は、「笑い」を中心としたエンタテインメント事業を展開する吉本興業、顔認識などの画像センシングで高い実績をもつオムロン、NTT西日本と協力し、「笑い」の力でこの大きな社会問題を解決したいとしている。
2月から定期的に検証研究を開始し、2018年10月からは精神疾患の患者に対する臨床研究を行うという。これらの研究をもとに、2021年には「笑い」を活用したストレスマネジメントを実用化し、大阪らしい「笑い」の溢れた新たな治療方法を開発するとしている。
研究グループは、「笑い」の医学的検証を行うため、日常的な笑いの習慣がもたらす効果を以下の点で研究する。(1)「笑い」が身体や心理的健康に与える効果について明らかにする
(2)「笑い」の測定方法の開発
(3)「笑い」介入後の疾病発症率や生活習慣の変化といった「笑い」の有効性の調査
「笑い」のストレスマネジメント開発もめざす
研究は、4段階に分けて行い、各段階約20人の男女を対象とし、2週間に1回の間隔で定期的に吉本興業が主催する「吉本新喜劇」や「漫才」を鑑賞する。鑑賞の前後で心理テストを行い、鑑賞中には、顔の表情の変化データやバイタルデータの取得を行う。
顔の表情のデータ測定は、オムロンが開発した、人の表情や性別、年齢、視線、目つむりなどの状態を認識する独自の画像センシング技術などを組み合わせた「ヒューマンビジョンコンポ」で行い、顔の表情以外の心拍数などのバイタルデータ測定は、NTT西日本の技術協力を受けて行う。
また、「笑い」のストレスマネジメントの実用化も計画しており、実用化について以下のアイディアを検討、協議していく。(1)近畿大学附属病院での「笑い」のストレスマネジメントプログラム導入
(2)「笑い」を活用した、企業でのストレスマネジメント研修
(3)ICTを活用した遠隔での、お笑いによるストレスマネジメントの提供 近畿大学と吉本興業は2016年12月に包括連携協定を締結しており、今回の研究はその提携事業の一環となる。 近畿大学
吉本興業
(Terahata)