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「座り立ち運動」ができないと要注意 運動不足で「筋内脂肪」が

キーワード: 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア 抗加齢(アンチエイジング)

 運動機能低下やサルコペニアの原因となる「筋内脂肪」は、「筋肉量の低下」や「椅子座り立ち機能の衰え」と関連が深いことが、名古屋大学などの研究で明らかになった。
 椅子に座ったり立ち上がるのを困難に感じてきたら、「筋内脂肪」がたまっているおそれがあるので注意が必要だ。運動を続けることで筋内脂肪がたまるのを防ぐことができる。
筋肉に蓄積する脂肪「筋内脂肪」
 筋肉内に霜降り状に蓄積している脂肪である「筋内脂肪」は、サルコペニアや運動機能低下と関係しており、特に高齢男性では年齢とも関係することが、名古屋大学などの研究で明らかになった。

 高齢男性の「筋内脂肪」は、(1)「筋肉の量の低下」、(2)「脚の筋力指標となる椅子座り立ち機能の衰え」、(3)「年齢」、と密接に関係しているという。

 また、高齢女性の「筋内脂肪」は、(1)「筋肉の量の低下」、(2)「脚の筋力指標となる椅子座り立ち機能の衰え」、と密接に関係しており、高齢男性とは異なり年齢には影響を受けないという。

 研究は、名古屋大学総合保健体育科学センターの秋間広教授、田中憲子講師らの研究チームが、早稲田大学と共同で行ったもので、医学誌「Archives of Gerontology and Geriatrics」に発表された。
筋力の減少や筋肉量の減少が「サルコペニア」の原因
 皮下脂肪と内臓脂肪に加え、「第三の脂肪」と呼ばれる「異所性脂肪」が注目されている。「異所性脂肪」とは、本来は脂肪がほとんどたまらないはずの膵臓や筋肉、肝臓などに過剰に蓄積している脂肪をさす。そのうち、筋肉内にたまるのが「筋内脂肪」だ。

 「筋内脂肪」が増えると、血糖を下げるインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が引き起こされ、糖尿病のリスクが高まる。

 また、加齢や肥満、運動不足により「筋内脂肪」は増加し、運動機能にマイナスの影響を及ぼす。加齢に伴う筋力の減少や老化にともなう筋肉量の減少は「サルコペニア」を引き起こす。

 研究チームは、日本人の高齢男女64人を対象に、超音波断層装置で太ももの横断画像を撮影し、得られた画像を分析。筋肉内の霜降り度合いを数値化し、筋内脂肪の指標とした。

 また、得られた画像から筋肉の厚さと皮下脂肪の厚さを計測し、それぞれ筋肉量の指標と脂肪量の指標とした。

 運動機能をみるために、一定時間内にできた上体起こしの回数、寝た状態から立ち上がるまでに要する時間、椅子の座り立ちを連続10回行うのに要する時間、5m歩行での最大速度、6分間の歩行距離をそれぞれ測定した。

 さらに、身体組成計付きの体重計で全身の体脂肪量、体脂肪率、筋肉量、筋肉率を推定した。
筋力が低下すると「椅子の座り立ち」ができなくなる
 これらの結果をもとに、研究チームは筋内脂肪の指標と筋肉あるいは皮下脂肪の厚みとの関係について検討した。

 その結果、男女ともに、筋内脂肪が増えて筋肉の霜降り状態が進んでいる人は、筋肉の厚みが減り筋肉量が少ないことが分かった。筋内脂肪の多い高齢者は、将来的にサルコペニアなどに陥る可能性が高いことが判明した。

 一方の皮下脂肪の厚みとの関係では、女性では筋肉の霜降り状態が進んでいると皮下脂肪も多いという結果になった。これは、脂肪組織が体に蓄積していくパターンが、男性と女性では異なることを意味している。

 筋内脂肪の指標が、今回測定したどの因子と密接に関係しているかを調べたところ、男性では(1)「太ももの筋肉の厚さ」(筋肉量)、(2)「椅子の座り立ち」(筋力)、(3)「年齢の3つ」が、女性では(1)「太ももの筋肉の厚さ」、(2)「椅子の座り立ち」の2つが、筋内脂肪を予測できる関連因子であることが明らかになった。
加齢に伴う筋肉の質的変化の影響
 加齢に伴い、筋肉量が減少するサルコペニアが生じることは知られているが、今回の研究では、筋肉の量的変化だけでなく、筋肉の中に脂肪が蓄積するという質的な変化が生じていることが分かった。

 そして、特に男性では、加齢に伴う筋肉の質的変化の影響が大きい。

 高齢者では、定期的な運動が、加齢に伴って生じる筋肉量と運動機能低下を軽減し、同時に筋内脂肪の蓄積抑制も促すと考えられるという。

 「高齢者の筋肉の量的指標だけでなく、質的な指標についても十分に考慮する必要があることを意味しており、高齢者の健康増進やそれを目的とした効果的な運動処方の確立に役立つことが期待される」と、研究チームはコメントしている。

名古屋大学総合保健体育科学センター
Relationship between quadriceps echo intensity and functional and morphological characteristics in older men and women(Archives of Gerontology and Geriatrics 2017年1月14日)

(Terahata)

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