一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

1日1時間の活発なウォーキングが脳卒中などのリスクを30%低下

キーワード: 脳梗塞/脳出血 身体活動・運動不足

 ウォーキングなどの運動や身体活動を毎日続けると、脳卒中などの循環器疾患の発症リスクを約30%低下できることが、約7万5,000人を約10年間追跡して調査した「JPHC研究」で明らかになった。
ウォーキングが循環器疾患を抑制する 7万人超を調査
 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。

 運動や身体活動を多く行うと、肥満、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病を予防でき、さらには動脈硬化を改善でき、結果的に脳卒中や冠動脈疾患(心筋梗塞や心臓突然死)などの循環器疾患を予防できることが多くの研究で示されている。しかし、これらの研究は欧米のものが多く、生活習慣や遺伝因子が異なるアジア人に関する報告は少ない。

 日本人などのアジア人は、欧米人に比べて脳卒中が多く、循環器疾患を予防するためにどの程度の身体活動量が必要かを、欧米の研究のみで判断するのは難しい。そこで研究チームは日本人を対象に循環器疾患の予防について調査した。

 今回の研究では、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎などの9保健所管内に在住していた50~79歳の住民うち、循環器疾患およびがんの既往がなく、身体活動に関するアンケートに回答した7万4,913人を対象に、2012年まで追跡して調査した。

 仕事や余暇中の身体活動に関する質問への回答から、1日の身体活動量(単位はメッツ・時)を計算した。身体活動量は運動強度(メッツ)と、それを時間でかけ合わせた「メッツ・時」で示される。たとえばやや速い速度のウォーキングの運動強度は5メッツに相当し、それを1日に1時間行うと5メッツ・時になる。

 運動や身体活動の強度を体感であらわすと、「楽」に感じれば3メッツ(4km/時)、「やや楽」なら4メッツ(5km/時)、「ややきつい」なら5メッツ(6km/時)といった捉え方になる。どんな身体活動をするにしても、強度をメッツに換算して時間でかけ合わせると、身体活動量を客観的に把握できるようになる。

循環器疾患のリスクが30%低下 少しでも運動することが有益
 調査では追跡期間中に、3,345人が循環器疾患発症(脳卒中2,738人、冠動脈疾患607人)を発症した。今回の研究では循環器疾患の80%以上が脳卒中だった。日本人にとって脳卒中を予防することが、循環器疾患全体を予防するために非常に重要であることがあらためて示された。

 身体活動量と循環器疾患のリスクとの関係を解析したところ、身体活動量が5メッツ・時に増えると急激に発症リスクが約30%程度低下し、さらに5~10メッツ・時に増えるとリスクの低下は最大になり、それより増えるとリスクの低下は維持されながら低下幅は減っていく傾向があることが判明した。全脳卒中、冠動脈疾患も同様の結果を示した。

 性、年齢、喫煙状況、アルコール量、両親の循環器疾患の既往、座っている時間、睡眠時間などで調整を行っても、同じ結果になった。

 身体活動量が増えれば増えるほど循環器疾患のリスクが低下し続けるというわけではなく、ある程度まで身体活動量が増えれば十分なリスク低下が得られることが判明した。今回の研究では、1日あたり5~10メッツ・時で最大のリスク低下が得られた。これはウォーキング2~4時間程度、ジョギング1~2時間程度に相当するという。

 「これらを毎日することは難しいかもしれませんが、たとえこのレベルの身体活動量に達しなくても循環器疾患のリスクは低下するので、少しでも活動することは有益だと考えられます」と、研究者は述べている。

 また、活動しすぎても有害になりうるという結果はみられなかったことから、日頃からしっかり活動をしている人が、身体活動量を1日5~10メッツ・時程度までに抑える必要はないという。ただし、過剰な身体活動がどのように影響するのかは現時点では不明であり、さらに研究を進める必要がある。

 身体活動と循環器疾患の関連性を調べた今回の研究成果は医学誌「Circulation」に発表された。
多目的コホート研究「JPHC Study」(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ)
Daily Total Physical Activity and Incident Cardiovascular Disease in Japanese Men and Women(Circulation 2017年4月10日)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ 脳梗塞/脳出血

2019年11月28日
「10月8日は、糖をはかる日2019」講演会レポート & 血糖値アップダウン写真コンテスト優秀作品公開
2019年11月12日
魚を中心とした日本食は健康食 魚油のサプリメントについては賛否あり
2019年11月06日
ワカメなどの海藻を食べると心疾患リスクが低下 日本食の新たなメリットを解明
2019年10月17日
体重を3%減らすだけで肥満症を改善 肥満解消のための実践的取組み 【日本肥満症予防協会セミナー・レポート】
2019年09月05日
糖尿病の最新全国ランキング ベストは神奈川県 ワーストは青森県

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2019年12月06日
【2/5市民公開講演会「多動で生活習慣病・がん予防」参加者募集中!】全国生活習慣病予防月間2020
2019年10月10日
運動が体の老化を抑制するメカニズムを解明 骨に加わる力が炎症を抑制
2019年09月17日
毎日の家事が女性の寿命を延ばす 軽い身体活動を積み重ねると死亡リスクが低下
2019年09月11日
筋肉の質の低下を決める3つの要因が判明 高齢者の筋肉を維持するために 名古屋大学
2019年08月30日
筋力アップで糖尿病に対策 血糖値の上昇を抑える 週1回の筋トレで効果
全国生活習慣病予防月間
大正製薬 コバラサポート
尿酸値PR
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート