一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

「減塩」は健康的な食事に必須 高血圧だけでない「塩」の恐さ

キーワード: 高血圧 食事

 食塩の過剰な摂取は、高血圧の原因となる。食塩を摂り過ぎると、夜間頻尿が引き起こされたり、食欲が過度に増進するなど、さまざまな悪影響が出てくることが判明した。
 食事を健康的にコントロールするために、減塩が欠かせないことが明らかになっている。
食塩の過剰摂取は高血圧の原因に
 食塩の過剰な摂取は、高血圧の原因となる。食塩の摂取量が少ない地域では高血圧を発症する人が少なく、加齢に伴う血圧の上昇もみられないことが知られる。

 日本高血圧学会は、高血圧の予防のために、血圧が正常な人には「1日6g未満」の食塩制限を勧めている。特に糖尿病や慢性腎臓病の人には、循環器病や腎不全の予防のためにも、「1日6g未満」の減塩を推奨している。

 最高血圧が130~139mmHg、最低血圧が85~89mmHgであると、数値としては正常値に収まっているものの、放置していると高血圧に進行しやすい「正常高値血圧」と呼ばれる。

 この血圧値の人は、より低い血圧値の人に比べると、脳卒中などの循環器疾患や腎臓病が引き起こされる危険性が高い。特に糖尿病や腎臓病などを併発している人は、血圧を下げる治療が必要となる。

 食塩の摂り過ぎは高血圧ばかりでなく、直接に脳卒中や心臓病、腎臓病などの原因にもなる。また最近では日本人に多い胃がんや骨粗鬆症などの原因にもなることも分かっている。

 血圧が高めと指摘されたら、食事の塩分摂取量を減らす工夫をすることが大切だ。

「夜にトイレが近い」人は塩分の摂り過ぎが原因
 夜にトイレに行くために何度も目が覚めてしまう「夜間頻尿」。睡眠が中断され慢性的な睡眠不足となり、ストレスや体調不良が引き起こされるおそれがある。

 夜間頻尿に悩まされている人は、塩分の摂取量を減らすと良いかもしれない。夜間頻尿の原因のひとつは塩分の摂り過ぎだという研究が発表された。塩分の摂取量を減らすと、夜間頻尿は改善することも明らかになった。

 これまでは糖尿病の人が高血糖の状態が続いたり、水分を摂り過ぎていると、夜間頻尿になりやすいと考えられていたが、塩分の摂り過ぎも関わっていることがはじめて解明された。

 研究は、長崎大学病院 泌尿器科・腎移植外科の松尾朋博氏らによるもので、3月にロンドンで開かれた欧州泌尿器科学会年次集会で報告された。
減塩すると1晩の排尿回数が減少
 研究には、睡眠障害のある日本人の成人男女321人が参加。参加者は12週間にわたり塩分摂取を減らすための食事指導を受け、200人超が塩分摂取量を平均11g/日から8g/日に減少した。

 減塩した結果、1晩の排尿回数は平均2.3回から1.4回に減少し、生活の質(QOL)が向上した。

 一方、100人近い参加者では塩分摂取量が平均9.6g/日から11g/日へと増加しており、1晩の排尿回数も平均2.3回から2.7回へと増加した。

 「今回の研究は、塩分摂取量が夜間の排尿回数にどのくらい影響するかを調べたはじめてのものです。夜間頻尿は特に高齢の患者にとって切実な問題ですが、今回の結果は、食事を改善するだけでQOLを大きく改善できる可能性が示されました」と、松尾氏は言う。
塩分を摂り過ぎると食欲が増進する
 米国のヴァンダービルト大学の最新の研究で、塩分の過剰摂取には食欲を増進する作用もあることが明らかになった。

 研究チームは、2009~2011年にかけて、モスクワの有人宇宙飛行シミュレーションプログラムに参加したロシア人宇宙飛行士を対象に、塩分のバランスに関する長期の研究を行った。

 宇宙飛行士を10名ずつの2つのグループに分け、片方は105日、もう片方は205日かけて密閉された宇宙船の環境で生活してもらい、3つの異なる塩分量の食事を摂ってもらった。

 これまで食事で摂った過剰な塩分は尿中に排泄され、それによって体の水分が失われると考えられてきたが、実験の結果はこれとは違うものになった。

 塩分摂取量を1日6gから12gに増加すると、水分摂取量が増え、排泄する尿の量と尿に含まれる塩分の量もそれに応じて増加したのは予想通りだったが、これは必ずしも水分摂取の増加を原因としていないことが明らかになった。

 実際には、塩分の摂取は水分の摂取を少なくする効果があり、その理由は塩分には腎臓での水分保有を増加させる働きがあることであることが判明したという。
塩分を摂り過ぎるとたくさん食べたくなる
 この結果は研究チームを悩ませたが、マウスを使った実験結果から、理解の糸口がみつかった。

 研究チームは高塩分食が筋肉のタンパク質の分解を促すことを突き止めた。このタンパク質は肝臓で尿素に変換され、尿素は腎臓での水分再吸収を促進して、塩分排泄に伴う水分損失を防止していた。

 このように塩分排泄に直面した時に水分を保持するために、体は筋肉を分解してエネルギーを作り出す。これには多くのエネルギーが必要になる。

 「失われるエネルギーの代わりになるのは、より多くのエネルギーを補給すること、つまりたくさん食べることです。これが、高塩分を食事を摂ると、空腹感が増し、過食を引き起こす原因になります」と、研究者は説明している。
日本は減塩後進国 減塩の意識のある人を増やす戦略が必要
 これまで見たように、食事を健康的にコントロールするために、減塩が欠かせないことは明白だ。

 しかし、日本は世界的に見て摂取量が多い「減塩後進国」。その原因は、調味料をはじめとする加工食品などから多くの塩分を摂取していることだ。

 減塩商品の開発を手がける食品メーカーは増えているが、一般には十分に普及しておらず、消費者の嗜好も減塩食には向いていない。

 一方、英国では、国が旗振り役となって食品業界に対し商品の塩分削減の自主目標を設定させることに成功。2005年からの3年間で塩分摂取量を10%削減した。

 日本高血圧学会は、「日本の減塩対策はまだ不十分。減塩の意識のある人を増やし、国民全体の塩分摂取量を減らす戦略が必要です。そのために医療従事者だけでなく、さまざまな立場の人々が協力・連携して活動することが重要です」と強調している。
毎月17日は「減塩の日」 日本高血圧学会
 日本高血圧学会は、毎月17日を「減塩の日」と定め、幅広い分野で減塩の啓発を広げる活動をしている。

 食品の栄養成分表示の「ナトリウム量」の表示を「食塩相当量」の表示とするよう働きかけてきたのが功を奏し、食品表示基準が制定され、食品の栄養成分表示は2020年までには、原則として「食塩相当量」で表示されることになった。

 また、減塩をしようとしている人が役立てられるよう、減塩食品のリストを作成している。このほど日本高血圧学会減塩委員会が主催し、高血圧の患者や減塩に取り組む消費者の参考になる市販食品を認定する「JSH減塩食品アワード」を発表。

 「最近の減塩食品には通常品と判別がつかないような品質レベルのものが出ており、今までと変わらぬ使い方でおいしく減塩でき、ストレスなく長期にわたり使えます」とコメントしている。

減塩キャンペーン動画
日本循環器学会が日本高血圧学会の協力のもと作成した動画。
さあ、減塩! 減塩委員会から一般のみなさまへ(日本高血圧学会)
食塩含有量の少ない食品の紹介(日本高血圧学会減塩委員会)
Night-time urination reduced by cutting salt in diet(欧州泌尿器科学会 2017年3月24日)
Vanderbilt-led study shows high-salt diet decreases thirst, increases hunger(ヴァンダービルト大学 2017年4月18日)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ 高血圧

2017年10月19日
結婚生活が安定すると男性の肥満や健康状態は改善 夫婦仲が健康に影響
2017年09月28日
今年は食後高血糖(血糖値スパイク)「糖をはかる日」講演会開催間近!!
2017年07月14日
カフェインの過剰摂取は危険 厚労省が注意「健康リスクを知って」
2017年06月30日
糖尿病+高血圧 どうすれば治療を両立できる? 高血圧の治療が進歩
2017年05月24日
アルコールに注意 飲む量を減らせば改善する 「減酒外来」を開設

テーマ ▶ 食事

2017年11月01日
「糖質50%オフおせち」 お正月も食事には気を抜けない
2017年10月19日
賞金5万円「全国生活習慣病予防月間2018」川柳とイラストを募集
2017年10月19日
【追加募集決定!】「糖をはかる日」クッキングセミナー
2017年10月17日
【生活習慣病予防月間2018】インスタグラムキャンペーン 「少食ごはん」 募集中!
2017年10月05日
「低カロリー食」で老化を防げて寿命も延びる 腹八分目で若返ろう
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典
※一般社団法人 日本生活習慣病予防協会と名称の類似した団体がありますが、当協会との関わりは一切ありませんので、ご留意願います。