一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

1日20分の運動でも効果がある 「クロスフィット」が糖尿病の改善に有用

キーワード: 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす セルフメディケーション 運動

 「機能的高強度トレーニング」(F-HIT)と呼ばれる、短時間の機能的運動や筋力トレーニングが、2型糖尿病の成人のβ細胞の機能を改善させる可能性があることが新しい研究で明らかになった。この研究は、米国生理学学会(APS)が発行する医学誌「American Journal of Physiology」オンライン版に発表された。
「クロスフィット」がインスリン産生を改善
 膵臓のβ細胞はインスリンを産生し分泌し、体内でグルコース(ブドウ糖)がエネルギーとして利用できるようにする。今回の研究は、生活動作をベースにした機能的高強度トレーニング(F-HIT)や、スクワットや腕立て伏せ、ダンベル体操などの筋肉に負荷をかけて行うレジスタンス運動が、血糖を下げるインスリンを産生するβ細胞の機能にもたらす影響を調べたはじめてのものだ。

 これまでの研究で、有酸素運動(心拍数を上昇させる身体活動)がβ細胞の機能とインスリン分泌の改善につながることが分かっていた。今回の研究は、「機能的高強度トレーニング」(F-HIT)と呼ばれる、短時間の機能的運動や筋力トレーニングが、糖尿病の改善に有用であるかを検証したものだ。

 F-HIT運動の代表的なものに、米国を中心に世界的に広まっている「クロスフィット」がある。

 「クロスフィット」とは、米国で考案されたトレーニング法で、日常の基礎的な運動をベースに、筋力、スタミナ、持久力、瞬発力などをバランスよく向上させることを目的としている。歩く・走る・起きる・持ち上げる・拾う・押す・引くといった生活動作をベースに、ゲーム感覚で行える、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせたプログラムが考えられている。

 少人数制のクラスで、1回の運動時間は約20分、性別や年齢、体力などに合わせて運動量を調整したトレーニングをするスポーツジムなどが、米国を中心に増えている。
運動時間が短くともやり方次第で効果を得られる
 「2型糖尿病のある人が、なかなか運動に取り組まない理由として"運動をする時間をなかなかとれない"ことを挙げることがしばしばあります。クロスフィットのような運動プログラムはそうした障壁を取り除き、最小限の負担で、運動を日常生活の中に組み込み、指導も行いやすいことが示されています」と、ケース ウェスタン リザーブ大学のステファン ニーウーアウト氏は言う。

 研究では平均年齢53歳の2型糖尿病患者12人が、医師によるメディカルチェックを受けた上で、クロスフィットの認定トレーナーによって作成された6週間のF-HITプログラムに参加した。参加者は週3回の研修で運動の指導を受け、運動内容は毎週変えられ、参加者のそれぞれの最大目標心拍数の85%を超える高強度の運動が1回だけ含まれていた。

 研究チームは参加者に、6週間の運動の前後に体脂肪や体重の測定を行い、経口糖負荷試験(OGTT)や血中インスリン値、インスリン分泌能を知るためのCペプチド値などの検査を行った。OGTTはβ細胞の機能を知るための指標として用いられている。

 さらに、プログラムの2日目と最後の日に、参加者の腹筋、スクワット、ローイングの繰り返し回数を記録し、体力とフィットネスの能力がどれだけ向上したかを調べた。

 その結果、短期のクロスフィットによって、β細胞のインスリン分泌能が向上し、AST(GOT)、ALT(GPT)などの肝機能検査の数値も改善した。運動によって体重が減り、体脂肪率も改善した。これらはインスリン感受性を良くし、血糖コントロールを改善するが、運動によりインスリン分泌そのものが増えていることが示された。

 「2型糖尿病患者のβ細胞の機能は、1日10~20分の高強度・短時間の運動を週に3回、6週間続けることで改善できる可能性があります」と、ニーウーアウト氏は述べている。

Short, high-intensity exercise sessions improve insulin production in type 2 diabetes(米国生理学学会 2017年5月31日)
Functional High Intensity Training Improves Pancreatic β-cell Function in Adults with Type 2 Diabetes(American Journal of Physiology 2017年5月16日)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2017年08月07日
20歳から体重5kg増加は健康リスク 体重を増やさない10の方法
2017年08月03日
【急募】インタビュー取材にご協力いただけるインスリン療法患者様へ
2017年07月27日
糖尿病の最新全国ランキングを発表 ワーストは青森県 ベストは愛知県
2017年07月26日
日常診療におけるバイオマーカーとしての尿中L-FABPの有用性と可能性
2017年07月20日
【申込受付中】東京糖尿病療養指導士(東京CDE)「受験者用講習会」

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2017年08月07日
20歳から体重5kg増加は健康リスク 体重を増やさない10の方法
2017年07月20日
ウォーキングで下半身を強くすると運動を続けやすい 「老化は足から」
2017年07月05日
1日20分の運動でも効果がある 「クロスフィット」が糖尿病の改善に有用
2017年06月22日
世界の3人に1人が肥満か過体重 世界規模で保健指導が必要
2017年06月20日
「血糖トレンドを知るには。」を公開 血糖トレンドの情報ファイル

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2017年07月05日
1日20分の運動でも効果がある 「クロスフィット」が糖尿病の改善に有用
2017年06月21日
東京糖尿病療養指導士(東京CDE)、東京CDS 2017年度の講習会の日程を公開
2017年02月17日
がん医療の最新情報 「低侵襲」「個別化」で患者にやさしいがん治療
2016年02月15日
健康な生活の基本スタイルは「一無、二少、三多」 「多接」を楽しみ笑って健康長寿
2016年02月02日
オススメの「睡眠」関連教材・ツールのご紹介

テーマ ▶ 運動

2017年08月07日
20歳から体重5kg増加は健康リスク 体重を増やさない10の方法
2017年08月07日
犬の散歩は運動になるか? 運動不足を解消するのに効果的である可能性
2017年07月20日
ウォーキングで下半身を強くすると運動を続けやすい 「老化は足から」
2017年07月05日
1日20分の運動でも効果がある 「クロスフィット」が糖尿病の改善に有用
2017年06月01日
「運動+乳製品」で筋力が増え炎症も抑制 「インターバル速歩」にプラス効果

一無・二少・三多 ▶ 「多動」身体を活発に動かす

2017年07月05日
1日20分の運動でも効果がある 「クロスフィット」が糖尿病の改善に有用
2017年06月21日
東京糖尿病療養指導士(東京CDE)、東京CDS 2017年度の講習会の日程を公開
2017年04月19日
ウォーキングに着目した都市計画 1500歩増やすと医療費が3.5万円減少
2017年03月16日
運動の効果が上がらないのは「運動抵抗性」のせい 原因ホルモンが判明
2017年02月20日
「脂肪筋」は「プラス・テン」で減らす いまより10分多く運動しよう

テーマ ▶ セルフメディケーション

2017年07月05日
1日20分の運動でも効果がある 「クロスフィット」が糖尿病の改善に有用
2017年07月05日
赤ワインのポリフェノールで血管が柔らかく 糖尿病の動脈硬化も改善
2017年06月30日
糖尿病+高血圧 どうすれば治療を両立できる? 高血圧の治療が進歩
2017年06月21日
HbA1cを測定できる「ゆびさきセルフ測定室」 全国に1,500ヵ所以上
2016年12月21日
睡眠時間が足りないと甘いものが欲しくなる? 寝不足はダイエットの敵
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典
※一般社団法人 日本生活習慣病予防協会と名称の類似した団体がありますが、当協会との関わりは一切ありませんので、ご留意願います。