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「肥満」と「うつ病」のダブルパンチ 体重コントロールは脳にも良い

キーワード: 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム ストレス関連疾患/適応障害

 うつ病に体格指数(BMI)が30以上の肥満が重なると、認知機能が低下し、脳構造にも変化が起こることを、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)がはじめて明らかにした。
 体重をコントロールすれば、うつ病患者の認知機能や脳形態にプラスの効果をもたらす可能性があるという。
肥満とうつ病に共通の病態が 体重管理で認知機能の低下を防ぐ
 うつ病の症状には、気分の落ち込みや興味・関心の低下などに加えて、記憶、学習、問題解決能力、巧緻運動などの認知機能の低下などがある。

 うつ病を発症すると、家庭や職場で発症前にはできていた活動ができなくなってしまい、臨床的に重要な問題となることが少なくない。

 一方、最近の研究では、肥満とうつ病には共通の病態があると指摘されている。

 うつ病と肥満には、慢性炎症、代謝系異常、視床下部−下垂体−副腎系の機能異常など、共通の病態があり、脳形態のなかでは海馬領域の萎縮と認知機能との関連が注目されている。

 しかし、これまでの研究は、高齢患者や健常者を対象としており、BMIが30以上の肥満とうつ病との関連は調査されていなかった。

BMIが高くなるにつれ認知機能が低下
 そこで研究グループは、65歳未満のうつ病患者307人と健常者294人を対象に、肥満が、認知機能、灰白質(神経細胞が存在する領域)、白質構造(神経線維が走行する領域)に、どのように関与するかを調べた。

 うつ病の診断は、精神疾患簡易構造化面接法と精神障害の診断と統計マニュアル第4版(DSM-)に基づいて行った。認知機能については、統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)で判定した

 また、114人の患者については、核磁気共鳴画像法(MRI)で得られた脳画像を解析した。

 その結果、BMIが30以上の肥満は、うつ病患者における作業記憶、実行機能、巧緻運動速度などの認知機能の低下と関連していることが判明。

 一方、健常者では、BMIが30以上の肥満だけが認知機能の低下を示すというより、BMIが体重不足、正常体重、過体重、肥満と高くなるにつれて認知機能が低下する傾向がみられた。  健常者ではBMIが30以上の肥満だけが認知機能の低下を示すというより、BMIが体重不足→正常体重→過体重→肥満と高くなるにつれて認知機能が低下する傾向がみられた。
肥満は脳の皮質体積の減少や神経ネットワークの低下と関連する
 注目されたのは、うつ病患者では、正常体重の人の割合が健常者と比べて有意に少なかったことだ。その分、肥満、過体重、体重不足の割合が高くなったことだ。

 MRI脳画像を用いた検討では、BMIが30以上の肥満患者は、BMIが30未満の患者と比較して脳の一部の皮質体積が有意に縮小しており、神経ネットワークの指標も低下していることが分かった。

 肥満患者では、非肥満患者と比べて、灰白質の体積、白質の神経結合が有意に低下していた脳領域がみられた。

 灰白質では、前頭葉、側頭葉、および視床、さらに白質では内包と左側視放線と呼ばれる部分の神経結合が、大うつ病性障害患者のうち肥満者の脳において有意に減少していた。

 認知機能障害は灰白質および白質の異常と関連しており、そのメカニズムとしては、肥満とうつ病の共通病態である全身性炎症反応、酸化ストレス亢進、慢性コルチゾール上昇などの相乗効果によって、神経新生減少や神経突起の脱落などが促されたメカニズムが考えられるという。
体重コントロールが認知機能や脳形態にプラスの効果をもたらす
 「体重コントロールが、うつ病患者の認知機能や脳形態にプラスの効果をもたらす可能性があるという」と、研究グループは指摘している。

 今後は、縦断的研究や介入研究を行い、減量がうつ病の認知機能改善につながるかを検討していく必要があるとしている。

 研究は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部の功刀浩部長および秀瀬真輔医師らの研究グループによるもので、科学誌「Journal of Affective Disorders」オンライン版に発表された。

国立精神・神経医療研究センター
Association of obesity with cognitive function and brain structure in patients with major depressive disorder(Journal of Affective Disorders 2017年8月16日)

(Terahata)

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