一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

朝食を食べないと動脈硬化のリスクが2倍に上昇 朝食は大切な食事

キーワード: 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 動脈硬化 「少食」食事は腹7~8分目

 朝食を抜く習慣のある人は、朝食をしっかり食べる習慣のある人に比べ、動脈硬化を発症する可能性が2倍に高まるという研究が発表された。
 「朝食をしっかり摂ることが、動脈硬化を予防するためにも大切です」と研究者は述べている。
朝食を食べる習慣にはメリットがある
 「朝食は1日で最初に摂る食事です。朝食でエネルギーをしっかり摂ることが、心臓血管を保護するのに役立つ可能性があります。朝食を抜く習慣は、喫煙、運動不足、高コレステロールなどと同じように、動脈硬化を促す危険因子のひとつといえます」と、マウントサイナイ医科大学のヴァレンティン フスター教授(心臓学)は言う。

 朝食を食べる習慣は、1日のエネルギー摂取量、食事の代謝効率、満腹感の得やすさや食欲の調節などに関わる。それに加えて、朝食を食べることが、心臓血管の健康にも大きく影響しているという。

 これまでの研究で、朝食を抜くと、肥満、2型糖尿病、高コレステロール血症などの危険性が高まることが明らかになっている。これらは心臓病の危険因子となる。

 米国のマウントサイナイ病院などの研究チームは、朝食を抜くことが動脈硬化が進行しやすくなるのではないかと考え、調査を行った。この研究は、米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」に発表された。
4,000人以上の朝食を調査
 研究チームは、スペインのマドリードに在住している会社員を対象に横断研究を行い、心臓病の既往歴のない成人4,052人を対象に、食事に関するアンケートを実施した。

 朝食が1日の総エネルギー摂取量に占める割合によって、朝食の摂取パターンを3つに分類した。

(1)朝食で1日のエネルギーの5%未満を摂取する人。朝食をほとんどのコーヒーやジュースのみで済まし、朝食にかける時間はわずか5分。
(2)朝食で1日の20%以上のエネルギーを摂る人。コーヒーやオレンジジュース、トースト、トマト、ハム、フルーツ、シリアル、全粒粉のクッキーやペストリーなど、ボリュームのある朝食を食べていた。
(3)朝食で1日の5〜20%のエネルギーを摂る人。コーヒー、オレンジジュース、フルーツ、トースト、クッキー、ペストリーなど、軽めの朝食を食べていた。

 研究に参加した4,052人のうち、(1)の「朝食抜き派」は2.9%、(2)の「朝食重視派」は27.7%、(3)の「朝食軽め派」は69.4%だった。
朝食を食べない人で動脈硬化が進行
 動脈硬化には2つのタイプがある。1つは「アテローム性動脈硬化症」。血管の内膜にコレステロールや脂肪が柔らかい沈着物(プラーク)となってたまっていき、血液の通り道が狭くなり血液をスムーズに通せなくなり血流が悪化する。

 もう1つは、血管の中膜の部分にカルシウムが沈着して血管が硬くなる石灰化と呼ばれるタイプ。血管の石灰化が進行すると、血管が伸び縮みしにくくなってしなやかさがなくなり、血流によるダメージを受けやすくなる。

 研究では、アテローム性動脈硬化症の測定については、超音波検査で頸動脈、腎臓の腹部大動脈、大腿動脈を調べ、プラークがどれだけたまっているか調べた。心臓に血液を供給している冠動脈でのカルシウムの沈着についても調べた。さらに全身の6ヵ所(左・右頸動脈、大動脈、左・右大腿動脈、冠動脈)を調べ、全身性動脈硬化症の判定も行った。

 その結果、「朝食抜き派」は「朝食重視派」に比べ、頸動脈で21%、腹部大動脈で17%、それぞれ動脈硬化が進行していることが明らかになった。

 「朝食抜き派」では、非冠動脈性動脈硬化症のリスクが1.55倍に、全身性動脈硬化症のリスクが2.57倍に、それぞれ上昇していた。

 腹囲周囲径、体格指数、血圧、コレステロール値など、アテローム性動脈硬化症の危険因子となる検査値も、「朝食抜き派」では高い傾向が示された。
朝食をきちんと食べる人の生活は健康的
 朝食を抜く習慣は、症状や病気が現れる以前の段階の「無症候性動脈硬化症」に大きく関わることが明らかになった。

 朝食を抜く習慣のある人は、過体重や肥満になりやすいだけでなく、食事の時間が不規則になりがちで、アルコールを多く摂取していたり、喫煙習慣があるなど、全体的に生活スタイルが不健康である傾向があることも分かった。

 朝食を抜くことの多い人は、体重を減らすためにダイエットに取り組んでいる人が多かった。しかし、朝食を抜くことで、昼食以降でエネルギーを摂り過ぎてしまい、1日の摂取エネルギーは変わらないか、むしろ多くなり過ぎてしまうパターンが多い。

 「体重を減らしたり、メタボを解消したいと考え、朝食をスキップしたり、3食を2食以下に減らすことを考える人は少なくないのですが、そうした食事スタイルが逆に肥満やメタボ、2型糖尿病を誘引してしまうおそれがあるのです」と、スペイン心血管研究センター(CNIC)のヴァレンティン フスターター氏は言う。

 一方で、逆に食事を規則正しく摂っている人は、1日の摂取エネルギーが安定し、運動量も多く、喫煙率が低く、より健康的な生活をしている傾向が示された。
なぜ「朝食抜き」は健康に悪いのか
 朝食を抜くと、空腹感が強くなり、それを満たすために昼食や夕食で食べ過ぎてしまう傾向がある。また、朝食を抜くことで、お菓子などの間食を摂り過ぎてしまうおそれもある。1日の栄養素のバランスを考えて間食をとれれば理想的だが、多くの場合で栄養バランスを乱す原因となる。

 夕食から朝食までの間は、もっとも長い空腹時間になる。昼食や夕食でより多くの食事を摂取すると、食後に血糖値が上昇しやすくなり、血糖を下げるインスリンも分泌され、肥満になりやすくなる。1日の摂取エネルギーが変わらない場合でも、朝食を摂ることで、昼食後の血糖値を低く抑えられる効果(セカンドミール効果)を得られやすくなり、また食欲を増進させるホルモンを低下させることも期待できる。

 体には1日のリズムを作る体内時計がそなわっており、朝起きて光を浴びて、目から入る光の刺激でリセットされる。体内時計のリズムを整えるためにも、朝食は大切だ。食事をすることで、インスリンが分泌され、時計遺伝子が発現して時計がリセットされる。光を浴びるのと同様に、朝食を食べることで、眠りから活動に向かうリズムが整えられる。

 「朝食で勧められるのは、パンなどは食物繊維の多い全粒粉のものを選び、野菜やフルーツを摂り、脂肪の少ない肉類や、植物性のタンパク質を摂ることです」と、ディードワニア氏はアドバイスしている。

Skipping Breakfast Associated with Hardening of the Arteries(米国心臓病学会 2017年10月2日)
The Importance of Breakfast in Atherosclerosis Disease: Insights From the PESA Study(Journal of the American College of Cardiology 2017年10月)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2019年01月18日
健康について何でも相談できる「かかりつけ医」を検索できるサイトを公開 日本臨床内科医会
2019年01月15日
糖尿病腎症を予防 自覚症状のない糖尿病 重症化を防ぐ取組みを紹介 厚労省が報告書
2019年01月10日
2型糖尿病による筋力低下のメカニズムを解明 運動療法が筋肉の質を改善
2019年01月09日
β細胞を増殖させる治療薬を開発 糖尿病の新たな治療法に期待
2019年01月08日
糖尿病の「冷え」を6つの改善策で克服 動脈硬化が隠れていることも

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2019年01月18日
健康について何でも相談できる「かかりつけ医」を検索できるサイトを公開 日本臨床内科医会
2018年12月10日
糖尿病のある人はコレステロール管理がより重要 米国でGLが改訂
2018年12月07日
毎日30分のウォーキングが乳がんを防ぐ 女性の運動を増やすアイデア7選
2018年12月04日
糖尿病ネットワークがベトナムに進出 アジアの糖尿病医療を底上げ
2018年11月30日
糖尿病やメタボの原因糖質が判明 ジュースやお菓子が勧められない理由

疾患 ▶ 動脈硬化

2019年01月18日
健康について何でも相談できる「かかりつけ医」を検索できるサイトを公開 日本臨床内科医会
2018年12月10日
糖尿病のある人はコレステロール管理がより重要 米国でGLが改訂
2018年10月04日
【講演会レポート】「10月8日は、糖をはかる日」講演会 「"これからの"血糖コントロール」
2018年10月03日
「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護
2018年09月10日
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作

一無・二少・三多 ▶ 「少食」食事は腹7~8分目

2018年12月26日
「10の食品群」の栄養バランスをチェックできる無料アプリ 東京都健康長寿医療センターなど共同開発
2018年11月27日
野菜で脱メタボ 宮城県が野菜の摂取を促す「みやぎベジプラス100」
2018年09月10日
高齢者のフレイル対策は栄養指導の大きな課題 日本栄養士会が全国大会
2018年09月10日
「スマートミール」認証がはじまる バランスの良い健康な食事の証
2018年09月06日
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動/アボット ジャパン
全国生活習慣病予防月間2019少酒
糖とカロリーのお役立ちTips
新着ニュース
毎年2月は、全国生活習慣病予防月間
Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
乳がん治療と乳房再建の情報ファイル
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典