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「電子たばこ」は禁煙の成功率を低下させる 禁煙治療を遠ざけるおそれ

キーワード: 高血圧 二少(少食・少酒) COPD(慢性閉塞性肺疾患) がん 「無煙」喫煙は万病の元

 「電子たばこ」には禁煙効果があり、喫煙をやめる、あるいは喫煙本数を減らすメリットがあるという主張があるが、実際には電子たばこは禁煙の成功率を3分の1低下させ、禁煙には向いていないという調査結果を、国立がん研究センターが発表した。
電子たばこは喫煙者の禁煙への意欲を失わせる
 電子たばこは、ニコチンなどを含むたばこや溶液などを加熱し、気化した蒸気を吸うもの。大きく「電気加熱式たばこ」と「ニコチン入り電子たばこ」がある。禁煙ツールになると宣伝されているものもあるが、その効果は証明されていない。

 「電子たばこ」の支持者は、電子たばこには紙巻きたばこによる健康への悪影響を減らす可能性があると主張している。

 それに批判的な意見としては、電子たばこは喫煙者の禁煙への意欲を失わせ、たばこの使用を増加させるリスクがあるという声がある。

 日本呼吸器学会は電子たばこについて、「健康に悪影響がもたらされる可能性がある。使用者にとっても、受動喫煙させられる人にとっても、推奨できない」という見解を発表した。

 一方、禁煙治療の有効性については十分な科学的証拠があり、保健医療サービスの中でも特に費用対効果が優れていることが分かっている。

 日本では2006年度より禁煙治療に対する保険適用が行われており、中央社会保険医療協議会の検証結果では、禁煙治療終了9ヵ月後の禁煙継続率は3割まで抑えられており、国際的にみてみ高い成績を得ている。2016年度には、未成年者や若年喫煙者へも適用が拡大された。
電子たばこ使用により禁煙率は37%低下
 今回の調査は、国立がん研究センターがん対策情報センターが、過去5年間に紙巻たばこの禁煙を施行したことのある男女798人を対象にインターネットで実施したもので、「紙巻タバコの禁煙方法と有効性に関する調査」としてまとめられた。

 調査は、電子たばこ使用による禁煙の有効性は低く、電子たばこを使用した人は、使用しなかった人よりもタバコをやめられた人が37%少なく、電子たばこが禁煙の成功率を3分の1以上低下させているという結果になった。この数値は、米国など海外で発表されているメタ解析の結果と一致している。

 一方、禁煙外来を受診して、薬物療法(ニコチンを含まない薬の処方)を受けた人では、禁煙の成功率が1.9倍に上昇することも明らかになった。

 調査の対象となったのは、過去5年間に禁煙に取り組んだ20〜69歳の禁煙施行者798人。禁煙方法(電子たばこ、禁煙外来の受診、禁煙補助剤、ニコチンを含まない薬の処方など)と禁煙の成功者数/失敗者数をもとに分析した。
電子たばこによる禁煙の有効性を否定
 今回の調査は断面調査であり、さまざまな調査上の限界や制約はあるものの、電子たばこによる禁煙の有効性を否定する結果が示された。

 研究グループは「電子たばこは単に禁煙を奨励するだけで公衆衛生にプラスの影響を与えるとの見方がある一方で、より効果的な禁煙方法から喫煙者を惑わし、逸らすと、結果的に社会へ悪影響を及ぼす可能性があります」と指摘している。

 「電子たばこが喫煙の全体的な減少に大きな貢献をする可能性は低く、禁煙の手段として推奨または促進すべきではありません」と強調している。

 また、電子たばこの危険性について、別の研究でも示されている。米国のピッツバーグ大学などの研究で、電子たばこの使用者は、喫煙者に移行する率が高いことが明らかになった。

 電子たばこ使用者で18ヵ月後に喫煙者になっていたのは47.7%で、電子たばこを使っていなかった者(10.2%)の6.8倍に上ることが分かった。

 研究者らは、喫煙対策として、電子たばこの使用を減少させる取り組みも必要だと主張している。

国立がん研究センターがん対策情報センター
Initiation of Traditional Cigarette Smoking after Electronic Cigarette Use among Tobacco-Naïve U.S. Young Adults(American Journal of Medicine 2017年12月10日)

(Terahata)

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