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「七福神」が糖尿病の重症化予防を助ける 保健指導にIoTを活用

キーワード: 一無・二少・三多 糖尿病 「多接」活動的な生活

 糖尿病患者2,000人を対象にした、これまでにない大規模な研究が日本で開始される。スマートフォンアプリ「七福神」を活用し、「IoT」によって糖尿病患者の行動変容をはかる。
糖尿病患者がIoTを活用 無理なく生活を改善するために
 国立国際医療研究センター糖尿病研究センター(センター長:植木浩二郎)は、「IoT活用による糖尿病重症化予防法の開発を目指した研究(PRISM-J)−2型糖尿病患者におけるIoT活用の行動変容と血糖改善効果の検証−」の臨床研究を開始すると発表した。

 「IoT」(アイオーティー)とは、身の回りの機械がインターネットを通じてつながることで実現する新たなサービスや技術のこと。

 糖尿病患者が血糖コントロールを改善するためには、体重管理や運動を習慣として行うことが重要だ。医師や保健指導者は、診療や保健指導を通して、自己管理のノウハウを提供し、動機づけを患者に行っている。

 しかし、生活習慣病スタイルを変えていくのは患者自身だ。糖尿病患者が治療に対するモチベーションを維持し、治療からの脱落を防ぐために、これまでの医療機関からの一方通行の情報伝達では不十分だ。

 「PRISM-J」は、糖尿病患者がIoTを活用して、無理なく生活改善に取り組みながら、血糖コントロールと生活の質(QOL)を改善できる手法を検証する研究であり、今後の糖尿病治療のあり方に大きな変革をもたらす可能性のある取り組みだ。
「七福神アプリ」を使い血糖コントロールを改善
 研究では具体的に、スマートフォンアプリを日常的に使用している2型糖尿病患者2,000人を研究対象にし、そのうち1,000人の患者に「七福神アプリ」を使用してもらう。研究は1年間行い、HbA1cの変化を比較する。

 研究に参加する患者に、通信機能をもつ測定機器(血圧計、体重体組成計、活動量計)を無償で貸与し、患者自身がスマートフォンを使って、日々の健康情報をセルフモニタリングする。

 さらに、介入群は、「七福神アプリ」により日々の健康情報にもとづいたメッセージを受けることで、血糖コントロールの改善効果を検証する。

 「七福神アプリ」とは、あいち健康の森健康科学総合センターが経済産業省の「IoT推進のための新産業モデル創出基盤整備事業」の結果にもとづき、バージョンアップして開発したスマートフォン専用アプリケーション。
血圧計と体重体組成計、活動量計に連動
 まず患者は、自分のスマートフォンに、「七福神アプリ」に加えて、測定機器のデータを連動する専用アプリをダウンロードする。患者には血圧計と体重体組成計、活動量計が貸与される。専用アプリでこれらの機器を登録し、測定データを無線で転送・記録できるようにする。

 測定データは「七福神アプリ」に連動する。アプリでは、患者が食事や運動をよりよく自己管理できるようにするために、七福神のキャラクターが測定データをもとに励ましのメッセージを呼びかける。

 週2回の応援メッセージを表示するほか、4週間ごとに測定値の平均と目標値との差分などをまとめたサマリーも表示する。測定しない日が続くと、アラートを通知し、脱落を防止する。

「七福神」のそれぞれのキャラクターには担当があり、測定値や記録により褒めたり喜んだり、時に悲しんだりする。たとえば働き者の恵比寿は歩数の管理、少しお腹の出た布袋尊は体重管理など、測定状況に応じて表情などを変えながらコメントする。
七福神が励ましてくれる 医療者にもメリットがある
 週2回届く七福神からメッセージは多彩だ。頑張って効果が出れば「がんばっておられて、うれしゅうございます」と褒めてくれるし、運動を少しさぼった時は「もう少し動かんと体力が落ちるぞ」と激励してくれる。

 毎日の健康管理に伴走してくれるので、楽しみながら続けられる仕掛けになっている。実証研究では、アプリを利用した群では、3ヵ月後、6ヵ月後までのHbA1cの変化量が有意に改善した。

 「七福神アプリ」のデータは、専用クラウドにも転送され、医師や保健指導者が遠隔で患者の様子を確認することもできる。

 医師は提供された健康データや指導者用サマリーレポートにより、診察日と診察日の間の健康状態、生活態度を簡便に把握することができるようになる。
適切にサポートすれば治療中断率は下げられる
 特定健診・保健指導の調査によると、特定健診で受診を勧められても、病院に行かない方の割合は約50%(2,790万人)に上る。積極的に治療を受ける患者の割合は低く、糖尿病でも早期発見・早期治療が十分に実施されていない。

 外来通院中の2型糖尿病患者を対象にした研究では、通常の診療だけでは1年間で8%以上の患者が治療を中断することが分かった。受診しなかった患者に手紙や電話で受診を呼びかけたり、食事と運動のアドバイスなどの診療支援を行ったところ、治療中断率は3%程度に下がることが確認できた。

 しかし、こうした取り組みは人手や時間を必要とするため、多くの医療機関で常に行えるわけではない。そこでIoTを活用することで、糖尿病患者の重症化を防げる可能性がある。

 最初の段階で体重が減ったり、血圧が低下したり、歩くことの気持ち良さを実感できるようになれば、日常の行動が変化して自信をもって生活習慣の改善につなげられる。逆に、最初の段階でサポートに失敗すると、治療から脱落してしまうおそれが出てくる。

 「七福神アプリ」にはゲーム的要素もあり、これまでの参加者からは「治療を楽みながら続けられる」という声も聞かれたという。
IoTで一人ひとりに適合した治療を実現
 この臨床研究「IoT活用による糖尿病重症化予防法の開発を目指した研究(PRISM-J)〜2型糖尿病患者におけるIoT活用の行動変容と血糖改善効果の検証〜」は、国立国際医療研究センターが日本医療研究開発機構(AMED)の平成29年度「IoT等活用生活習慣病行動変容研究事業」の採択を受け、開始するものだ。

 糖尿病を含む生活習慣病の医療費は、医療費全体の11.3%に達するほか、網膜症や腎症、心筋梗塞、脳梗塞などに加え、がん、認知症の発症リスクを高めるため、重症化を予防することは患者の生活の質(QOL)を改善するためにも重要だ。

 課題となるのは治療からの脱落を予防し継続させること、そして糖尿病をコントロールするために生活スタイルの改善を支援することだ。

 今回の取り組みは、2年程度を予定している。あいち健康の森健康科学総合センターでは、今回の実証研究の経験をもとに七福神アプリをさらに改良し、一人ひとりに合った保健指導に役立てていく考えだ。

 日常行動を変えるために、IoTを役立てる試みははじまったばかりだ。成功すれば、IoTの活用が行動を変えるきっかけになり、糖尿病治療を良好に続けられ、糖尿病合併症を防ぐための大きな手助けとなるだろう。

七福神アプリ

IoT活用による糖尿病重症化予防法の開発を目指した研究(PRISM-J)における臨床研究開始について(国立国際医療研究センター 2017年12月27日)

毎日の糖尿病管理を"七福神"が伴走!! IoT(Internet of Things)活用による糖尿病重症化予防プログラム

(Terahata)

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