一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

高血圧・高血糖・高血中脂質 3つが連鎖する「トリプルリスク」の危険性

キーワード: 高血圧 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム がん アルコール 運動 健診・保健指導

 「高血圧」「高血糖」「高血中脂質」の3つが連鎖する「トリプルリスク」。1つだけ数値が高いだけでも危険だが、2つ3つと要因が重なるとさらに危険性が増し、動脈硬化が進行しやすくなる。「トリプルリスクを考える会」は、「トリプルリスク」への注意を喚起する活動を展開している。
1つが該当すると他の2つも悪くなる可能性が
 「メタボリックシンドローム」(メタボ)が提唱されてから10年以上経ったが、生活習慣病の患者数は「高血圧」1,011万人、「糖尿病」1,000万人、「脂質異常症」206万人と、いまもなお増加している。3つの疾患は、初期の段階では自覚症状が乏しく、検査を受けないと体の状態が分かりにくいという共通点がある。

 2型糖尿病などの生活習慣病により動脈硬化が進行すると、心疾患や脳卒中など命に関わる重篤な病気を発症する危険性が増大する。代表的なリスク要因である「高血圧」「高血糖」「高血中脂質」の1つでも該当すると、他の2つも悪くなる可能性があるというのが「トリプルリスク」という考え方。1つだけ数値が高いよりも、2つ3つと要因が重なると重篤な疾患を起こすリスクが高くなる。

 「トリプルリスクを考える会」は、血圧・血糖・血中脂質の3つを同時にケアする必要性について啓発する活動をしている。同会が30〜60歳代の男女1,200人を対象に実施した調査によると、「1つ以上ケアしている」と答えた人は32%と3人に1人だったが、「3つともケアしている」という人はわずか11%だった。

 ふだんの食生活について、摂り過ぎを気にしているもののワースト3は「1位 糖分」「2位 塩分」「3位 脂肪分」で、これらの摂り過ぎを1つ以上気にしている人は7割以上に上った。しかし、「3つとも気にしている」という人は47%にとどまった。
メタボは単なる見た目の問題ではない
 調査を総評した岡部クリニック院長の岡部正氏は、「健康診断では空腹時など条件が限定されていることもあり、"隠れ高血糖"や"早朝高血圧"、"食後高脂血症"などが発見できない可能性があります。たとえ異常なしと言われても油断せずに血圧・血糖・血中脂質、そしてそれらに影響を及ぼしやすい塩分・糖分・脂肪分の3つを同時にケアすることが大切です」と指摘している。

 岡部氏によると、「メタボ(メタボリックシンドローム)=太っていること」と勘違いしている人が多いという。メタボを単なる見た目の問題と安易に捉えるのは危険だ。

 「本来、メタボとは、内臓脂肪の蓄積が原因で高血圧・高血糖・高血中脂質などが重なっている状態を指し、心筋梗塞や脳梗塞など重篤な疾患を予防するために定められたものです。見た目はあくまでもひとつの指標に過ぎません。血圧・血糖値・血中脂質の3つのリスク要因について日頃から意識することをお勧めします」とアドバイスしている。
インスリン抵抗性が3つの症状の共通の要因
 「トリプルリスクを考える会」が2月に東京で開催したキックオフイベントでは、参画メンバーである岡部氏が「高血圧・高血糖・高血中脂質3つが連鎖するトリプルリスクの危険性」をテーマに講演した。

 高血圧・高血糖・高血中脂質の3つの症状には「インスリンの働きが悪くなる」という共通の要因があるという。血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなると、それを補うために膵臓で沢山のインスリンが分泌される。その結果、腎臓がナトリウムの再吸収を促進し、血圧が上がる。また、肝臓で中性脂肪の合成が盛んになって血中脂質が増える。

 「高血圧・高血糖・高血中脂質のどれか1つの数値が高い、ということは、他の数値にも影響するインスリンの働きが悪くなっている状態(インスリン抵抗性)である可能性が高いのです。メタボや生活習慣病の先にある重篤な疾患を防ぐためには、高血圧・高血糖・高血中脂質の3つを同時にケアする必要があります」と、岡部氏は強調する。
トリプルリスクを回避するための食事
 イベントでは続いて、管理栄養士で料理研究家の岩崎啓子氏が講演。トリプルリスクを回避するには、意識的に塩分・糖分・脂肪分を3つ同時にケアする必要がある。副菜を追加するなど、お皿を増やすことで、品目数を増やし全体的にボリュームダウンする工夫が役立つ。単品メニューの場合は、使用する素材品数を増やすことでカバーできるという。

 さらに、▽塩・砂糖・塩分をバランス良く使う、3つを摂り過ぎないように注意する、▽調味料はなるべく仕上げに使う、調味料は調理の後半に使った方が味が出やすい、▽素材の味を最大限に活かす、▽風味で料理に変化を加える、お酢・香辛料・ハーブをうまく活用し、酸味・辛味・清涼感をプラスする、▽食感を演出する、異なる複数の食感を加えて、歯ごたえのある食事を心がける――といったことに注意すると健康的な食事になるという。
 最後にゲストとして、お笑いトリオのパンサーが「血圧」「血糖」「血中脂質」と書かれたTシャツを着て登場。3人の手足が棒で繋がった状態になっているため、1人が転ぶと3人とも転んでしまうなど、うまく動くことができない。3つのリスク要因が連鎖する「トリプルリスク」を笑いでイメージさせた。

 「トリプルリスクを考える会」は、食塩購入量が多くの独自の食生活改善活動に取り組んでいる青森市、長寿1位の奪回を目指し「信州ACEプロジェクト」を展開している長野県、食用油購入量が多く「あぶら控え目」活動を展開している那覇市で、地元在住の管理栄養士や料理研究家によるご当地版トリプルリスク解消メニューの開発、行政食堂やスーパーでのメニュー提供、市民セミナーの開催などに取り組む予定だという。

トリプルリスクを考える会

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ がん

2019年02月19日
アルコールががんや生活習慣病を引き起こす「少酒の勧め」 全国生活習慣病予防月間2019 公開講演会 レポート
2019年02月13日
運動はがん治療でも効果的 健康状態が改善し生活の質も向上
2019年02月04日
大人のがん教育への活用も。がん医療の現状とサバイバーの今をていねいに描くドキュメンタリー映画「がんになる前に知っておくこと」を鑑賞して
2019年01月29日
2月2日より公開、がんの知識を一から学ぶドキュメンタリー映画『がんになる前に知っておくこと』
2019年01月22日
「食物繊維」が糖尿病リスクを減らす インフルエンザの予防にも有用

疾患 ▶ 糖尿病

2019年03月04日
糖尿病と食事 やってみると簡単 自己管理に要する時間は1日15分以内
2019年02月27日
糖尿病で筋肉が減少するメカニズムを解明 世界初「原因タンパク質を特定」
2019年02月25日
運動は「魔法の薬」 健康なエイジングのために運動が必要 食事を改善でき腎臓にも効果
2019年02月14日
低所得が糖尿病リスクに 1.2〜1.4倍の格差 ストレスや就労困難が原因か?
2019年02月12日
流行したダイエット法を一挙に比較 糖尿病リスクをもっとも下げる食事は?

疾患 ▶ 高血圧

2019年01月31日
座ったままの時間を減らして運動を 運動がアンチエイジングの最良の手段に
2019年01月18日
健康について何でも相談できる「かかりつけ医」を検索できるサイトを公開 日本臨床内科医会
2018年12月26日
「10の食品群」の栄養バランスをチェックできる無料アプリ 東京都健康長寿医療センターなど共同開発
2018年12月12日
糖尿病の食事改善をアプリで支援 金沢大学などが新たな保健指導サービス
2018年11月27日
野菜で脱メタボ 宮城県が野菜の摂取を促す「みやぎベジプラス100」

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2019年02月08日
糖尿病対策のアプリを開発 働き盛り世代に「あと1500歩 歩こう」 宮城県
2019年01月31日
座ったままの時間を減らして運動を 運動がアンチエイジングの最良の手段に
2019年01月18日
健康について何でも相談できる「かかりつけ医」を検索できるサイトを公開 日本臨床内科医会
2018年12月10日
糖尿病のある人はコレステロール管理がより重要 米国でGLが改訂
2018年12月07日
毎日30分のウォーキングが乳がんを防ぐ 女性の運動を増やすアイデア7選

テーマ ▶ 健診・保健指導

2019年01月09日
大人のがん教育を始めよう がん患者の就労問題に取り組む企業を支援 がん対策推進企業アクション
2018年12月25日
【保健師対象イベント】参加募集中! 第8回 産業保健プロフェッショナルカンファレンス「健康経営の視点での産業保健活動」
2018年11月25日
【保健師対象イベント】第7回 産業保健プロフェッショナルカンファレンス テーマ「職場巡視〜ありのままの現場を見られる産業保健師になる〜」
2018年11月14日
"防ごう、備えよう!低血糖―低血糖時のアクションプラン"公開 糖をはかる日
2018年10月19日
【健やか21】平成30年度「麻薬・覚醒剤乱用防止運動東京大会」(参加申し込み受付中)

テーマ ▶ 運動

2019年02月25日
運動は「魔法の薬」 健康なエイジングのために運動が必要 食事を改善でき腎臓にも効果
2019年02月08日
糖尿病対策のアプリを開発 働き盛り世代に「あと1500歩 歩こう」 宮城県
2019年02月07日
高齢者は運動をどこまでできる? 強めの運動でも楽しんで続けられる
2019年01月31日
肥満より怖い「サルコペニア肥満」 食事と運動で筋肉低下を予防
2019年01月30日
糖尿病と骨の健康 骨が分泌する「若返りホルモン」は運動で増やせる

テーマ ▶ アルコール

2018年12月13日
糖尿病の人は「アルコール」に注意 年末年始に飲み過ぎないための6つの対策
2018年08月30日
「アルコール」は健康に悪い? 総合的にみて安全な飲酒量はないと結論
2018年05月02日
糖尿病の原因は「酸化ストレス」 肝臓の脂肪蓄積を防ぐ治療
2018年04月24日
「2時間の飲み会」の危険 アルコールのイッキ飲み・アルハラを防止
2018年03月15日
「低糖質 vs 低脂肪」どちらのダイエットが優れている? 議論に決着
全国生活習慣病予防月間2019少酒
大正製薬 コバラサポート
新着ニュース
毎年2月は、全国生活習慣病予防月間
Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
乳がん治療と乳房再建の情報ファイル
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典