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心身の機能が低下する「生活不活発病」を社会参加で予防 

キーワード: 糖尿病 運動 健診・保健指導

 「動かない」だけでかかる「生活不活発病」という病気がある。生活が不活発な状態が続き心身の機能が低下して発症するのが「生活不活発病」だ。予防するために重要なのは、体を動かし、社会参加でいきいきとした充実した生活をおくることだという。
 社会との関わり合いをもっていると、糖尿病リスクが低下するという研究も発表された。
「動かない」と人は病む
 「最近、歩きにくくなった」「外出がおっくうになった」「疲れやすくなった」など、運動不足が続いたり、社会的な交流が乏しい状態が続いているのは、「生活不活発病」という病気のせいかもしれない。

 生活不活発病は、生活が不活発なことにより生じる全身機能の低下をさす。筋力低下など局所的な症状だけでなく、心肺機能低下などの全身的な症状や、知的活動低下、うつ症状などがあらわれることもある。

 生活不活発病は「心身機能」「生活活動」「社会参加」が相互に関係し、悪化していくと考えられている。リスクの高い人では、まず心身機能全体が低下し、それにより生活活動が困難になる。そうなると、家庭内の役割や社会参加の範囲も狭くなり、さらに生活が不活発になるという悪循環に陥りやすい。

 とくに高齢者は生活が不活発になりやすく、いったん生じると悪化しやすい。また、地震などの災害による環境の変化は、社会参加の阻害条件として大きく、生活機能低下につながりやすい。大分県の調査よると、2016年の熊本地震の後で「身体機能が低下した」と訴える高齢者が増えた。

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生きていくのに役立つさまざまな生活行為
 社会福祉では「日常生活活動」(ADL)という考え方が重視される。つまり生きていくために基本的に必要な、歩いたり、顔を洗ったり、歯を磨いたり、食事をしたり、風呂に入ったり、トイレに行ったり、服を着たり脱いだり、という行為だ。

 「生活不活発病」ではそれに加えて、生活機能を「心身機能・身体構造」「生活活動」「社会参加」の3つの要素で理解しようとしている。「活動」(アクティビティ)とは、「生きていくのに役立つさまざまな生活行為」を指し、個人レベルで「生きること」の側面をとらえたものだ。

 「生活不活発病」という考え方のベースとなっているのは、「ICF」(国際生活機能分類)だ。ICFは「生きることの全体像」を示すために、2001年にWHO総会で採択された指標。ICFは「生活機能」の分類と、それに影響する「背景因子」(環境因子と個人因子)の分類で構成される。
「生活を活発化」すれば予防・改善できる
 「生活不活発病」の提唱者である大川弥生氏(産業技術総合研究所招聘研究員)は、「生活不活発病の予防・改善のポイントは、"生活を活発化する"こと。いきいきと充実した、楽しい生活を送ることがポイントで、それが生活不活発病を予防・改善する手段であり、目的でもある。具体的には"社会参加"が活発な状態」と指摘する。

 運動不足の解消というと、スポーツジムにあるようなマシーンを使って筋トレに励んでいる姿や、みんなそろって体操やレクレーションをしている場面を思い浮かべる人が多いが、とくに高齢者にとっては、生活が不活発にならないよう「生きがい」をもつことも大切だ。

 「生活不活発病を予防・改善するのは、その人が社会参加を通じて、いきいきと充実した生活を送ること。それを達成するために、ウォーキングなどの運動機能や筋トレによる筋力の向上に加えて、"まだまだやれるじゃないか"と心のあり方を変えて自信をもち、"何かやってみよう"という社会参加につなげていくことが大切」と、大川氏は言う。
社会との関わり合いがあると糖尿病リスクは低下
 社会との関わり合いをもっていると、糖尿病リスクが低下することが、筑波大学医学医療系准教授の柴山大賀氏らが、厚生労働省が実施している「中高年縦断調査」に参加した3万1,615人(平均年齢 54.6歳)のデータを解析した研究で明らかになった。

 社会参加が糖尿病リスクを低下させることを日本人で確かめたのは、今回の研究がはじめてだ。糖尿病対策では、食生活や運動、喫煙や飲酒習慣といった生活習慣の改善だけでなく、孤立を防ぎ、社会的なつながりを深くする対策も必要になるという。

 研究では、家族や友人、地域社会、職場といった社会との関わりがあると、糖尿病の発症リスクが低下することが明らかになった。糖尿病の予防に効果的なのは、「同居人がいること」(発症リスクが15%減)、「社会的な活動への参加」(同11%減)、「毎年の健診受診」(同11%減)だった。「友人との付き合い」や「働いていること」も糖尿病リスクを低減させるという。

 厚生労働省の健康日本21でも、「社会生活を営むために必要な機能の維持と向上」を重視している。健康的な食事、運動不足の解消に加えて、就労、ボランティア、近隣や友人との助け合い、家事など、社会的な役割を担う活動を活発に行うことが、糖尿病リスクの低下につながりそうだ。

 研究の詳細は「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に2月11日付で掲載された。

Relationship between social engagement and diabetes incidence in a middle-aged population: Results from a longitudinal nationwide survey in Japan(Journal of Diabetes Investigation 2018年2月11日)
生活機能低下を防ごう! 「生活不活発病」に注意しましょう(厚生労働省)

(Terahata)

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