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高齢者が働く理由は「体に良い」「老化を防ぐ」 介護中の離職は深刻

キーワード: 健診・保健指導 厚生労働省の調査

厚生労働省「中高年者縦断調査」特別報告
 厚生労働省は、「中高年者縦断調査」(中高年者の生活に関する継続調査)の10年分のデータを用いて、同一個人を追跡する縦断調査の特性を生かした分析を行った結果を公表した。
 男性の場合、独身で介護をしている人は、独身で介護をしていない人に比べ、離職率が約1.5倍高いことが明らかになった。高齢者は働くことを「健康維持」および「老化防止」の機会としても捉えている傾向があることも示された。
介護を始めて仕事を続けられなくなる高齢者が多い
 厚生労働省は「中高年者縦断調査」で、団塊の世代を含む中高年者世代の男女を追跡して、その健康・就業・社会活動などを継続的に調査している。国民生活基礎調査をもとに。平成17年時点で50〜59歳の全国の男女を抽出して継続して調査している。第11回調査(2015年)では、60〜69歳が対象となり2万2,595人から回答を得た。

1. 中高年者の就業継続と介護

就業している中高年者が介護を開始すると就業継続確率が低くなる傾向がある。
介護の開始後に就業継続確率が低くなる傾向があるのは男性より女性。

 調査では、男性の場合、独身で介護をしていない人に比べ、独身で介護をしている人は離職率が約1.5倍に上昇した。一方、介護の実施の有無に関わらず、配偶人がいると離職確率は低い傾向があることも分かった。配偶者がいて介護をしている人では離職率は0.75倍にとどまった。

 女性の場合、独身で介護をしていない人と独身で介護をしている人の離職確率に統計的に有意な差はみられなかった。一方、独身で介護をしていない人に比べ、配偶者がいて介護をしていない人では1.3倍、配偶者がいて介護をしている人では1.6倍、それぞれ離職率が上昇した。
2. 高齢人の就業行動が健康意識の推移に与える影響

1年前に就業していない人より、就業している人の方が、「健康」を維持している確率が高い。
また、「不健康」が「健康」へ改善される確率も高い。

 男性の場合、ある年次に就業していて「健康」だった人が、翌年も「健康」を維持している確率は92.0%、就業していなかった人では89.2%だった。一方、就業していて「不健康」から「健康」へと改善がみられたのは39.1%だったのに対し、就業していなかった人では26.0%にとどまった。

 女性の場合、ある年次に就業していて「健康」だった人が、翌年も「健康」を維持している確率は92.6%、就業していなかった人では 91.2%だった。一方、就業していて「不健康」から「健康」へと改善がみられたのは41.5%だったのに対し、就業していなかった人では31.3%にとどまった。

 男女ともに、1年前に就業していない人より、就業している人の方が、「健康」を維持している確率が高く、「不健康」が「健康」へ改善される確率も高いことが示された。
3. 高齢人の公的年金受給額及び配偶関係別就業確率の観察

配偶人の有無別にみると、男性の場合、公的年金の受給額に関わらず、配偶人ありの就業確率が高い傾向がみられた。
一方、女性の場合、公的年金の受給額に関わらず、配偶人なしの就業確率が高い傾向がみられた。

 男性の場合、配偶者の有無別にみると、公的年金の受給額に関わらず、いずれの年次においても、配偶者ありの就業確率が高い傾向がみられた。

 なお、就業して一定の賃金を得ている場合に厚生年金の支給が停止される在職老齢年金制度があることにより、就業していることで公的年金受給額が低く出ている場合があるほか、公的年金の受給額が低いほど、就業確率が上昇する傾向が、いずれの年次においても共通してみられた。

 女性の場合、配偶者の有無別にみると、公的年金の受給額に関わらず、いずれの年次においても、配偶者なしの就業確率が高い傾向がみられた。また、男性の場合と同様に公的年金の受給額が低いほど、就業確率が上昇する傾向がみられた。
日本人は仕事を「健康維持」の機会と捉えている
 厚労省は調査結果について、「日本の高齢者は、高齢期の就業を、収入確保や自己実現の手段としてだけではなく、健康維持および老化防止の機会としても捉えている傾向がある」と述べている。

 内閣府が2015年に日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの4ヵ国で60歳以上の高齢者を対象に行った「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、高齢者が就業を希望する理由については、日本では「収入がほしいから」(49.0%)ともっとも多かったが、次いで多いのは「働くのは体によいから、老化を防ぐから」(24.8%)で、スウェーデン(16.9%)、アメリカ(14.9%)、ドイツ(14.8%)よりも多かった。

 今回の調査では、就業していた人は、就業していなかった人に比べて、健康維持率および健康改善率のいずれについても高くなった。また、就業行動が健康改善率に与える影響の方が、健康維持率に与える影響よりも大きい傾向もみられた。

 高齢者の就業は、短期的にも長期的にも健康意識を維持・改善する効果がある可能性が示された。これは、多くの日本の高齢者が共有している「働くのは体に良い」「働くのは老化を防ぐ」という認識を裏付ける結果だといえる。

中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)特別報告の概況(厚生労働省 2018年3月23日)

(Terahata)

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