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「高血圧」の治療で伝わらない説明 コミュニケーションのズレは深刻

キーワード: 高血圧 健診・保健指導

 高血圧の治療で、医師が患者に説明する時間が短いことや、説明方法の不十分さ、コミュニケーション技術の未熟さなど、課題が多いことが浮き彫りになった。とくに高血圧の初診時では、患者は病気と診断されたことでショックを受け、医師の言うことをすべて理解しきれていない可能性がある。
治療の目的 医師の86%「説明した」 患者の39%「説明を受けた」
 愛媛大学名誉教授の檜垣實男氏(南松山病院病院長)は、製薬会社の日本ベーリンガーインゲルハイムと共同で、「医師および高血圧患者の高血圧治療に対する意識の実態調査」を行い、このほど調査結果を公表した。調査の対象となったのは、高血圧治療を行う医師321人と高血圧患者1,000人。詳細は医学誌「血圧」に発表された。

 高血圧症の診断と治療は進歩しており、医師の高血圧治療に対する満足度は98.9%に達している。しかし、降圧目標達成率は男性30%、女性40%と低く、高血圧が原因となった死亡者数は厚生労働省の推計で10万人を超えている。

 86%の医師が初診時に「治療の目的」を説明したと回答したのに対し、「治療の目的」を説明されたとする患者は39%にとどまった。「何を説明されたか覚えていない」(15%)、「説明を受けていない」(8%)と答えた患者も多かった。

 また、49%の医師が治療選択肢を説明したと回答したが、患者でその認識のあるのは18%にとどまった。95%の医師が「降圧目標値について説明した」と回答したのに対し、44%の患者は「説明を受けていない」「覚えていない」と回答した。

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服薬アドヒアランスも深刻 多剤併用や残薬が課題に
 高血圧治療で降圧目標を達成するに、処方された降圧薬を確実に服用すること(服薬アドヒアランス)が重要だが、服薬アドヒアランスは服用錠数や回数が増えれば増えるほど低下するという報告がある。

 高齢化が進む中で、服薬アドヒアランスは、多剤併用や残薬の発生といった課題につながる。さらに最近では、インフォームドチョイス(患者が医師から説明を受けたうえで、患者自身がどんな治療を受けるか選択すること)という、患者主体の考え方も出てきており、患者と医師との良好なコミュニケーションによる高血圧診療を実現させることが求められている。

 調査では、服薬アドヒアランスを重視すると回答した割合は、医師が78%であったのに対し、患者は48%にとどまり、両者の間に大きな乖離がみられた。

 さらに、患者の58%が残薬はあると回答し、48%は現在の服用薬剤数を減らしたいと思っており、患者が考える良好な服薬アドヒアランスで服用できる薬剤数は医師が考える薬剤数より1種類少ないという結果になった。
患者とのコミュニケーションをチーム治療で改善する必要
 こうしたコミュニケーションギャップについて、檜垣氏らは「(1)説明時間の短さ、(2)説明方法の不十分さ、(3)お互いのコミュニケーション技術の未熟さに加えて、初診時には患者は病気のことが一番心配で、その状態では、一度に多くのことを言われても理解できないことがあり、医師の言うことをすべて理解しきれていない可能性がある」と指摘。

 「医師と患者の間のコミュニケーションギャップを埋め、服薬アドヒアランスを向上させるためには、その時の患者の診療状態を考慮しながら、ステップバイステップで患者とのコミュニケーションを看護師、薬剤師、コーディネーター、ケースワーカーなどを含めた治療チームであたること、コミュニケーションツールを工夫することなどの必要がある」と述べている。

医師および高血圧患者の高血圧治療に対する意識の実態調査(血圧 vol.25 no.5 2018)

(Terahata)

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