一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム がん 食事

 「超加工食品」の食べ過ぎが、メタボや肥満の増加に拍車をかけている可能性がある。「超加工食品」を多く食べている人は、がんリスクが高いという調査結果も発表された。
超加工食品の多くは栄養バランスが悪い
 「超加工食品」(Ultra-Processed Foods)とは聞きなれない言葉だが、実は私たちの身のまわりにあふれている食品だ。

 米国糖尿病学会(ADA)によると、「超加工食品」とは「糖分や塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。保存料などを添加し、常温で保存できたり、日持ちを良くしてある食品」のことだ。

 果糖や人工油脂などをたっぷり使った菓子パンなどが「超加工食品」だ。他にも、▼スナック菓子、▼カップ麺、▼ピザ・ホットドック、▼ケーキ・クッキー・パイ、▼ドーナツ・菓子パン・マフィン、▼高カロリーの清涼飲料、▼ミートボール・チキンナゲット――などがある。

 調理済みの「超加工食品」の多くは栄養価のバランスを著しく欠いている。高カロリー、高脂肪、高塩分だが、他の必要な栄養素であるビタミンやミネラル、食物繊維などはあまり含まれていない。

関連情報
カロリーの半分以上を超加工食品で摂取
 ハーバード大学の研究チームによると、清涼飲料や菓子類などの「超加工食品」に含まれる果糖ブドウ糖液糖などの人工的な糖が、食品のカロリーを高めるだけでなく、2型糖尿病や心血管疾患の発症リスクも高めているという。

 「超加工食品」には、添加糖以外にさまざまな添加物が含まれる。塩、油などに加えて、通常の調理では使わないものも含まれている。たとえば、香味料や乳化剤、着色料といった、食品を本物らしくするための添加物だ。

 米国人は大量の「超加工食品」を消費しており、驚くことに食事の全カロリーの半分以上(58%)を占めているという調査結果が、医学誌「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」(BMJ)に発表された。

 研究チームは「米国健康・栄養調査」(NHANES)の2009〜2010年の9,000人以上の食事データを使用して解析を行った。
摂り過ぎると糖尿病や肥満の原因に
 調査では、果糖などの添加糖の平均摂取量は、米国人の総カロリー摂取量の10%を超えていることも分かった。これは推奨量の上限を超えている。

 添加糖はほとんどあらゆる食品に含まれる。パスタソースやドレッシング、クラッカー、パン、調理済みのスープ、ソーセージなど、甘いと感じない食品にも、多くの糖質が使用されている。

 糖質の過度の摂取は、高血糖や高血圧、中性脂肪の増加、LDL(悪玉)コレステロールの上昇、HDL(善玉)コレステロールの減少、インスリン抵抗性などを引き起こす。

 米国では2型糖尿病が増えている。米国の糖尿病人口は3,030万人で、糖尿病の有病率は9.4%に上る。糖尿病予備群の数も8,410万人と多い。

 「超加工食品と添加糖の摂り過ぎが、糖尿病や肥満の増加に拍車をかけている可能性があります」と、サンパウロ大学公衆衛生学部のエウリディス マーティン スティール氏は言う。
脳は「糖質+脂質」を含む食品を好む
 そもそも脳は、糖質と脂質の組み合わせを本能的に好むようにできている。脂質と糖質の両方を多く含む「超加工食品」が好まれるのは、脳の働きも影響している。

 米国のイェール大学の研究によると、糖質と脂質のいずれかを含む食品よりも、両方を含んだ食品を食べたときの方が、脳内の報酬系のシグナル伝達が強くなる。

 研究チームは56人のボランティアに、(1)キャンディーなどの糖質を含む食品、(2)ミートボールやチーズなどの脂質を含む食品、(3)クッキーやケーキなどの糖質と脂質の両方を含む食品のいずれかの写真を見てもらった。さらに、オークションで競り落とせば自分が好きなものを食べることができると説明した。
超加工食品を見ると脳の報酬系が活性化
 その結果、ボランティアは「糖質+脂質」を含む食品にもっとも高い値を付けた。MRIによる脳画像検査を行ったところ、そうした食品の写真を見たときに、報酬系を司る脳領域の神経回路が活性化することが分かった。

 「ドーナツ、フライドポテト、チョコレートバー、ポテトチップスなどの加工食品の多くは糖質と脂質の両方を含んでいますが、そうした食品は母乳を除けば自然界には存在しません」と、イェール大学心理学部のダナ スモール教授は指摘している。

 「脳内の報酬系のシグナル伝達を強める高カロリーの食品ばかりを選んで食べていると、肥満や2型糖尿病、心血管疾患が引き起こされます」と注意を促している。
超加工食品ががんリスクを上昇
 「超加工食品」を多く食べる人は、がんのリスクが高いことが、フランスの研究で明らかになっている。

 フランス国立保健医学研究所(INSERM)の研究チームは、フランス在住の10万4,980人(年齢の中央値は42.8歳)を対象に、超加工食品の摂取量と、その後5年間のがん(あらゆるがん、乳がん、前立腺がん、大腸がん)の発症状況を調べた。

 その結果、「超加工食品」の摂取は、がん全体のリスク上昇に影響することが分かった。摂取した食物の総量に占める超加工食品の量の割合が10ポイント増加するごとに、がん全体のリスクは12%増加した。

 がんの種類別に見ると、乳がんのリスクは、10ポイント増加するごとに11%増加した。特に閉経後の乳がんの増加が顕著だった。
加工度の少ない食品は安全
 一方で、加工度の少ない食品(缶詰野菜、チーズ、包装されていない新鮮なパンなど)と、がんのリスクについては関連性がみられなかった。

 また、生鮮品、加工が最小限の食品(果物類、野菜類、豆類、米、パスタ、卵類、肉類、魚類、牛乳)は、がん全体および乳がんのリスクを下げることが示された。

 「超加工食品は、糖分や塩分、飽和脂肪酸を多く含み、食物繊維とビタミンの含有量は少ない。さらに、加熱により発がん性物質が生成される成分が含まれている可能性がある」と、研究者は指摘している。

 なかには、実験動物や細胞モデルを用いた研究で発がん性が示されているために、ヒトに対する安全性が議論されている添加物を含む食品もあるという。
食品の栄養成分表示を見る習慣を
 「超加工食品」は現代人の生活のすみずみに入り込んでいるが、食べ過ぎにはくれぐれも注意した方が良い。

 米国糖尿病学会(ADA)は、加工食品を利用するときは、栄養成分と原材料の表示をよく見て確かめることを勧めている。これが、加工食品に何が含まれているかを知るための最良の手段だという。

 そうしたうえで、ナトリウム(塩分)、糖分、不健康な脂肪の少ない食品を選択すると安全だ。

Americans Eating Too Much Ultra-Processed Food(米国糖尿病学会 2016年7月)
Fructose and Cardiometabolic Health : What the Evidence From Sugar-Sweetened Beverages Tells Us(Journal of the American College of Cardiology 2015年10月6日)
'Ultra-processed' foods make up more than half of all calories in US diet(BMJ 2016年3月9日)
Ultra-processed foods and added sugars in the US diet: evidence from a nationally representative cross-sectional study(BMJ Open 2016年3月9日)
Fat and carb combo creates stronger food craving(イェール大学 2018年6月14日)
Supra-Additive Effects of Combining Fat and Carbohydrate on Food Reward(Cell Metabolism 2018年6月14日)
Study suggests possible link between highly processed foods and cancer(BMJ 2018年2月14日)
Consumption of ultra-processed foods and cancer risk: results from NutriNet-Santé prospective cohort(BMJ 2018年2月14日)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ がん

2018年11月07日
長寿国ランキング 日本は2040年に2位に転落 社会格差が課題に
2018年10月04日
【講演会レポート】「10月8日は、糖をはかる日」講演会 「"これからの"血糖コントロール」
2018年08月29日
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催
2018年07月26日
東京第1期 「ブレスト・アーティスト養成スクール」開講日程のお知らせ
2018年06月28日
「超加工食品」がメタボ・糖尿病・がんのリスクを高める 保健指導にも影響

疾患 ▶ 糖尿病

2018年11月14日
11月14日は「世界糖尿病デー」 糖尿病とともに生きる人と家族を支援
2018年11月14日
サマータイムは「睡眠障害」の原因に 生物時計に障害 日本学術会議
2018年11月14日
なぜ「朝食を抜くと体重が増える」? 体内時計で解明 名古屋大
2018年11月14日
"防ごう、備えよう!低血糖―低血糖時のアクションプラン"公開 糖をはかる日
2018年11月12日
「糖尿病になったらいくらかかる?」を改訂 糖尿病の医療費

疾患 ▶ 高血圧

2018年11月14日
サマータイムは「睡眠障害」の原因に 生物時計に障害 日本学術会議
2018年11月14日
妊娠中の低栄養やストレスが子の高血圧の原因に 遺伝子レベルで解明
2018年10月26日
2型糖尿病患者の3人に2人に「心血管疾患」のリスク 130ヵ国を調査
2018年10月24日
生活習慣病リスクを予測するAIを開発 100万人の健診データを解析
2018年09月10日
「スマートミール」認証がはじまる バランスの良い健康な食事の証

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2018年11月14日
なぜ「朝食を抜くと体重が増える」? 体内時計で解明 名古屋大
2018年10月26日
2型糖尿病患者の3人に2人に「心血管疾患」のリスク 130ヵ国を調査
2018年10月11日
たった一晩の「不眠」でメタボや糖尿病に 睡眠を改善するための7ヵ条
2018年09月18日
2017年国民健康・栄養調査(2) 食事エネルギー量は60歳代が最多 外出しない高齢男性が低栄養に
2018年09月18日
2017年国民健康・栄養調査(1) 糖尿病・高血圧・コレステロール 多くの項目で目標未達成

疾患 ▶ 脂質異常症(高脂血症)

2018年11月01日
なぜ「朝食」は食べた方が良いのか? 糖尿病や体重の管理が改善
2018年10月24日
生活習慣病リスクを予測するAIを開発 100万人の健診データを解析
2018年09月10日
介護予防に効果がある「百歳体操」の動画 大阪市が吉本興業と共同制作
2018年08月06日
「一般社団法人日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会」が発足
2018年07月10日
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に

テーマ ▶ 食事

2018年11月06日
糖尿病の「三日坊主」を防止するアプリ チームで励まし治療を継続
2018年11月01日
なぜ「朝食」は食べた方が良いのか? 糖尿病や体重の管理が改善
2018年10月03日
「コーヒーは糖尿病に良い」は本当か 何杯までなら飲んで良いのか?
2018年09月25日
「魚」を糖尿病の食事療法に活用 魚の脂肪が不安症状を軽減
2018年09月06日
糖尿病患者さんに向けて「血糖トレンド」啓発キャンペーンを始動/アボット ジャパン
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典